サンストーンのあなた
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いきなり瑞月が教会の入り口をぶち抜いたと思ったら、陽介を花婿扱いした。
目撃者であり当事者である陽介自身も、もはや何を言っているのか分からない。しかし、事実である。
もう少し遡ってみよう。
陽介は、相棒である鳴上悠と共に『運命の人』とやらに選ばれたのだ。
直後に花畑へと落とされて、途中『愛のメモリアルフォトグラフ』とかいう新婚写真の雑コラを見せつけられた(陽介が花嫁側であったのは大変に遺憾である。けれど、相手が悠なら仕方がないと納得してしまった自分が悲しい)。
一通り探索したが出入口も見つからないため、仕方なく相棒と怪しげな教会へ向かったら、軽いノリで結婚させられる羽目になった。
ふざけんな人権と自由意志を蔑ろにしてやがる。と叫んだが、やにわに相棒が教会の扉を開いてしまったのだ。脱出の手がかりを得る意味でも、入らざるを得なかったのだが。
そうしたら、教会に閉じ込められた。
しかも、内部には異貌のシャドウがいた。棺と胴体を接着した、2対の腕を持つ、口を乱雑に縫い留められた悍ましい神父の姿をした怪物が。
「悠、アイツは……!」
「ああ、陽介。この迷宮の『番人』だろう」
禍々しい気配から、迷宮『ごーこんきっさ』の番人だと直感的に悟った。強力なペルソナ使いである悠が共にいるとはいえ、とても2人で勝てる相手ではない。陽介は死を覚悟した。なんとしても、切り札である悠だけは生かさなければいけない。
たしかに、悠と陽介は相棒同士だ。対等な関係であると、陽介自身も自負している。けれど、もし、2人のうち1人しか生き残れない状況になったとしたら。
陽介は絶対に、悠を取る。
それは悠が、陽介にとって“特別”だから失いたくないという意味も含んでいる。けれど、もっと現実的な意味でも、悠は死なせられない。悠のペルソナ能力は突出している。しかも人望と賢明さと勇敢さを備えた特捜隊のリーダーで、今はもっと大きな集団の司令塔だって務めていた。
この先、みんなが無事に謎の異世界から脱出するためにも、悠の存在は必要不可欠だった。死ぬのも、傷つくのも恐ろしいけれど、それでも陽介は悠を守らなければいけない。
死ぬかもしれないと思ったそのとき。不意に、脳裏をある女性の笑顔がかすめた。その人は、いつも凛と凪いだ面立ちだけれど、雪解けを告げる春の風のように柔和に笑うのだ。こんな事態になるのなら、もう一度彼女の笑顔を見たかったと、陽介は奥歯を噛む。
きっと彼女は——瀬名瑞月は、陽介が傷ついたのなら泣くのだろう。それだけ、彼女は陽介を好いてくれている。好きな女の子を、笑わせるどころか、泣かせるような目に遭わせるなんて、つくづく自分はガッカリだと、陽介は自嘲気味に頬を歪める。締め付けられた胸から、思わず気持ちがこぼれてしまった。
——ごめんな、瀬名
『病める時mooo! 健やかなる時mooo! 変わらない愛を誓いナ・サーイッ!!』
『さぁ、愛を誓いナ・サーイ!』
神父がけたたましく叫ぶ。攻撃の予兆かもしれない。苦無を引き抜き、陽介は精神を集中した。悠も片手を掲げる。場の緊張が高まった。神父が1つの腕に持った聖書を振りかざした、その瞬間だった。
目撃者であり当事者である陽介自身も、もはや何を言っているのか分からない。しかし、事実である。
もう少し遡ってみよう。
陽介は、相棒である鳴上悠と共に『運命の人』とやらに選ばれたのだ。
直後に花畑へと落とされて、途中『愛のメモリアルフォトグラフ』とかいう新婚写真の雑コラを見せつけられた(陽介が花嫁側であったのは大変に遺憾である。けれど、相手が悠なら仕方がないと納得してしまった自分が悲しい)。
一通り探索したが出入口も見つからないため、仕方なく相棒と怪しげな教会へ向かったら、軽いノリで結婚させられる羽目になった。
ふざけんな人権と自由意志を蔑ろにしてやがる。と叫んだが、やにわに相棒が教会の扉を開いてしまったのだ。脱出の手がかりを得る意味でも、入らざるを得なかったのだが。
そうしたら、教会に閉じ込められた。
しかも、内部には異貌のシャドウがいた。棺と胴体を接着した、2対の腕を持つ、口を乱雑に縫い留められた悍ましい神父の姿をした怪物が。
「悠、アイツは……!」
「ああ、陽介。この迷宮の『番人』だろう」
禍々しい気配から、迷宮『ごーこんきっさ』の番人だと直感的に悟った。強力なペルソナ使いである悠が共にいるとはいえ、とても2人で勝てる相手ではない。陽介は死を覚悟した。なんとしても、切り札である悠だけは生かさなければいけない。
たしかに、悠と陽介は相棒同士だ。対等な関係であると、陽介自身も自負している。けれど、もし、2人のうち1人しか生き残れない状況になったとしたら。
陽介は絶対に、悠を取る。
それは悠が、陽介にとって“特別”だから失いたくないという意味も含んでいる。けれど、もっと現実的な意味でも、悠は死なせられない。悠のペルソナ能力は突出している。しかも人望と賢明さと勇敢さを備えた特捜隊のリーダーで、今はもっと大きな集団の司令塔だって務めていた。
この先、みんなが無事に謎の異世界から脱出するためにも、悠の存在は必要不可欠だった。死ぬのも、傷つくのも恐ろしいけれど、それでも陽介は悠を守らなければいけない。
死ぬかもしれないと思ったそのとき。不意に、脳裏をある女性の笑顔がかすめた。その人は、いつも凛と凪いだ面立ちだけれど、雪解けを告げる春の風のように柔和に笑うのだ。こんな事態になるのなら、もう一度彼女の笑顔を見たかったと、陽介は奥歯を噛む。
きっと彼女は——瀬名瑞月は、陽介が傷ついたのなら泣くのだろう。それだけ、彼女は陽介を好いてくれている。好きな女の子を、笑わせるどころか、泣かせるような目に遭わせるなんて、つくづく自分はガッカリだと、陽介は自嘲気味に頬を歪める。締め付けられた胸から、思わず気持ちがこぼれてしまった。
——ごめんな、瀬名
『病める時mooo! 健やかなる時mooo! 変わらない愛を誓いナ・サーイッ!!』
『さぁ、愛を誓いナ・サーイ!』
神父がけたたましく叫ぶ。攻撃の予兆かもしれない。苦無を引き抜き、陽介は精神を集中した。悠も片手を掲げる。場の緊張が高まった。神父が1つの腕に持った聖書を振りかざした、その瞬間だった。