サンストーンのあなた
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「風花、瀬名さんの様子はどう?」
『結城くん! 瀬名さんが、鳴上くんと花村くんの居場所を特定しました。ただ、強力なシャドウの反応も……、状況報告のため、瀬名さんに繋ぎます!』
『聞こえているだろうか。こちら瀬名。一つ報告と要求がある。どうぞ』
「通じてるよ、結城です。鳴上と花村の近くに、強力なシャドウの反応があるって? どうぞ」
ノイズ交じりの通信でも、瑞月の言葉は淀みがなくクリアだ。シャドウとの連戦を単騎で潜り抜けているとは思えない落ち着きぶり。サブリーダーとしての役割に添って冷静を演じる理であるが、内心では彼女のスタミナに舌を巻く。
『その通りだ。報告というのは、鳴上たちとシャドウ——両者の距離が近づいている。接触も時間の問題だ。二人の救助を目的として、私は2人に加勢したい。そのために、サブリーダーである結城くんの承認が欲しい。戦うにしろ逃げるにしろ、私のペルソナが作る氷ならば、足止めくらいはできる。どうぞ』
「了解。瀬名さんはそのまま二人の救援に向かって。風花も引き続き、瀬名さんの支援を続けてほしい。俺たちも遅れて加勢に向かう。その場所までは、瀬名さんが作った氷の壁を伝えば行けるかい?どうぞ」
『ああ、氷の壁は途切れさせないように作っておく。敵もできる限り排除しておこう。懸命な判断、恩に着る。——ッ、有象無象が……!』
「瀬名さんっ?」
『敵だ。戦闘に入るため、通信を切る。健闘を、祈、るっ!——ええい、鬱陶しい!』
スパァアアンと、刃が振りぬかれた。シャドウを両断したのだろう。通信越しでも、彼女が操る斧槍の一撃、その重さが伝わってくる。
『さぁ来い……邪魔者は一網打尽にしてくれる。倒れ伏して、さっさと道を開けるがいい!』
苛烈な気勢をにじませた宣誓を残し、瑞月との通信は終了する。
「ほー、すげーなー。瀬名ちん、無双状態じゃん」
関心したように呟く順平とは裏腹に、理にもたらされた感情は切迫感だ。理は地面を強く蹴った。理に続く一同も速度を上げる。
「クマ、マハスクカジャかけて! 移動速度上げるよ」
「ラジャークマ!」
クマの魔法により、全員の身体にかかる重力が軽減される。身体能力を補強した移動速度によって、瑞月との合流時間が短縮されるはずだ。
通信を切る直前の、瑞月の言葉尻は震えていた。必死で取り繕ってはいるが、かすかな震えに彼女の本音が現れたように、理は感じている。
いなくなった2人——特に陽介への張り裂けそうな不安と焦燥、瑞月自身を奮い立たせるような激情、隠せない疲労、複雑な瑞月の胸の内が、理には切に伝わってきたのだ。
精神力と体力の回復スキルを持つ風花がついていても、じわじわとスタミナを削られているはずだ。上手く隠してはいるが、やはり単独で先遣隊を務める瑞月の負担は大きい。
だからこそ、荒れ狂う感情の全てを、己の力へ変えて瑞月は必死に戦っている。熱と大気のうねりによって発生し、暴風を伴って全てをなぎ倒すハリケーンのごとく。
(だったら、俺たちも早く向かわないと。瀬名さんが持ちこたえられるか)
差し迫った理は脚力のギアを上げた。氷の歩廊をレースカーの勢いで、理たちは駆け抜けていく。
『結城くん! 瀬名さんが、鳴上くんと花村くんの居場所を特定しました。ただ、強力なシャドウの反応も……、状況報告のため、瀬名さんに繋ぎます!』
『聞こえているだろうか。こちら瀬名。一つ報告と要求がある。どうぞ』
「通じてるよ、結城です。鳴上と花村の近くに、強力なシャドウの反応があるって? どうぞ」
ノイズ交じりの通信でも、瑞月の言葉は淀みがなくクリアだ。シャドウとの連戦を単騎で潜り抜けているとは思えない落ち着きぶり。サブリーダーとしての役割に添って冷静を演じる理であるが、内心では彼女のスタミナに舌を巻く。
『その通りだ。報告というのは、鳴上たちとシャドウ——両者の距離が近づいている。接触も時間の問題だ。二人の救助を目的として、私は2人に加勢したい。そのために、サブリーダーである結城くんの承認が欲しい。戦うにしろ逃げるにしろ、私のペルソナが作る氷ならば、足止めくらいはできる。どうぞ』
「了解。瀬名さんはそのまま二人の救援に向かって。風花も引き続き、瀬名さんの支援を続けてほしい。俺たちも遅れて加勢に向かう。その場所までは、瀬名さんが作った氷の壁を伝えば行けるかい?どうぞ」
『ああ、氷の壁は途切れさせないように作っておく。敵もできる限り排除しておこう。懸命な判断、恩に着る。——ッ、有象無象が……!』
「瀬名さんっ?」
『敵だ。戦闘に入るため、通信を切る。健闘を、祈、るっ!——ええい、鬱陶しい!』
スパァアアンと、刃が振りぬかれた。シャドウを両断したのだろう。通信越しでも、彼女が操る斧槍の一撃、その重さが伝わってくる。
『さぁ来い……邪魔者は一網打尽にしてくれる。倒れ伏して、さっさと道を開けるがいい!』
苛烈な気勢をにじませた宣誓を残し、瑞月との通信は終了する。
「ほー、すげーなー。瀬名ちん、無双状態じゃん」
関心したように呟く順平とは裏腹に、理にもたらされた感情は切迫感だ。理は地面を強く蹴った。理に続く一同も速度を上げる。
「クマ、マハスクカジャかけて! 移動速度上げるよ」
「ラジャークマ!」
クマの魔法により、全員の身体にかかる重力が軽減される。身体能力を補強した移動速度によって、瑞月との合流時間が短縮されるはずだ。
通信を切る直前の、瑞月の言葉尻は震えていた。必死で取り繕ってはいるが、かすかな震えに彼女の本音が現れたように、理は感じている。
いなくなった2人——特に陽介への張り裂けそうな不安と焦燥、瑞月自身を奮い立たせるような激情、隠せない疲労、複雑な瑞月の胸の内が、理には切に伝わってきたのだ。
精神力と体力の回復スキルを持つ風花がついていても、じわじわとスタミナを削られているはずだ。上手く隠してはいるが、やはり単独で先遣隊を務める瑞月の負担は大きい。
だからこそ、荒れ狂う感情の全てを、己の力へ変えて瑞月は必死に戦っている。熱と大気のうねりによって発生し、暴風を伴って全てをなぎ倒すハリケーンのごとく。
(だったら、俺たちも早く向かわないと。瀬名さんが持ちこたえられるか)
差し迫った理は脚力のギアを上げた。氷の歩廊をレースカーの勢いで、理たちは駆け抜けていく。