天使第八巻の雑感

2021年10月1日

 はじめに。第七巻までは「第◯巻のスキャン作業をしながらの雑感」というタイトルだが、第八巻は単なる「雑感」とする。スキャン作業から3ヶ月以上が経過しているため、この第八巻でそのタイトルは嘘になるためだ。第六、七巻も恐ろしい枚数を抜粋していることからお察しの通り、スキャンしながらどころでない作業量になっている。とはいえ六、七巻は一冊通しての雑感部分に関してはスキャンした直後に書いたと記憶しているので、「ながらの雑感」で良しとする。 

 第八巻は扉絵が描かれた日付は不明ながら、執筆期間は1997年10月1日〜1998年2月28日もしくは3月初旬。高校2年生後半の作品群。手書きの文字は多少の癖はありながらも整っている。七巻より落ち着いた印象がある。挿絵が全巻を通して一番少ないかもしれない。その絵というのも、19章の扉絵なんて一筆書きのような山脈を描いているだけである。最初の扉絵もシンプル。20章21章の絵を見るになぜか画力が向上していることがわかる。実はもっと描けるのに描かないという、ひけらかさない感じがこれまでと違う。クライマックスのうねりから終幕へと鎮静化していくような、ある種の静謐がある。実際、巻末おまけにキャラの会話数を競う「エースをねらえ」コーナーはこれまでどおり継続してあるが、他に企画はなく、あとがきは比較的客観的に書かれてある。作者に何かあったのかと勘ぐるかもしれないが、現実世界において特筆すべきことはなく、それなりに小さく山谷ありつつ平穏に日常を送っていたと記憶している。ただ、先の18章で作者は大きなカタルシスを得たのだと思われる。

 当小説は21章まで存在する。構想上ではさらに続いているので、21章は第三部が始動した、あるいは番外編的な位置にある。しかしながら20章で物語のテーマは決着しており、20章が実質の終章である。このため予定していたプロットを見直すことになり、21章以降のエピソードを前倒しに入れ込んで20章を終わりに持ってくる構想の改訂版がこの後作成される。

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