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美しく青き

4.






「ベス、ベス、ごめんな」
アーサーは泣いていた。
自分の半身だと豪語する相棒の古銃を、レジスタンスに置いて去らなければならないことを悔いていた。
俺は、そんなアーサーの弱さが嫌いだ。
「君は馬鹿だな。独立戦争おれのことで懲りただろうに、まだ感情で物事を判断するのかい?」
「うるせえ」翠色の双眼が、きっと鋭く俺を睨んだ。「お前なんかに、分かってたまるか。お前なんか……」
それでもアーサーは、レジスタンスには戻らなかった。俺の意見に従って、世界帝にその身を預けた。彼にしては、賢明な判断だと評価できる。
もう、あの兄は頼りにならない。
俺がしっかりしないとダメだ。
現状を、将来さえも見据えて、『家』と『民』が生き残る手段を確保しなければ。
そのためなら、俺はいくらでも卑劣になる。
俺をこんな風にしたのは、アーサーだ。






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