高麗国
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次なる世界への狭間は、まるで深海のようだった。ボコボコと気泡が通り過ぎまた生まれる中で、一匹の金色の蝶々が気泡達の流れに逆らい私と同じ方向へ進む。
「貴方はまだ力を欲してる」
『あなた、いい加減正体を見せたら?! 蝶々じゃなくて、本当の姿を』
「あら?これが私の本来の姿よ?」
『その喋り方と内容で丸分かりなのよ! あんた、次元の魔女でしょ!?』
その乱暴な問いに、黄金の蝶々は惑わす様にひらひらと私の周りを飛ぶ。何にも、囚われずに。
「私はただ、貴方が望むならこの力を継続して持たせてもいいと思ってるわ」
『…あなたの持論じゃ、対価はもらい過ぎても与え過ぎてもいけないんじゃなかったの?』
「いいえ、これは貴方には少なすぎるくらいよ。それを個別に事細かく払っているの」
『………私は、一体何を支払ったの?』
「さぁ? 他言しないで、と言ったのも貴方だから私からは言えない」
そう言った後、蝶々は私の前をひらひらと消え去って行った。その瞬間、目の前が眩しくなって気づいた時には大きな落下音と痛みだけ。
『え?次の、世界…?』
「ああー?次はどこだ?」
「わー、なんだか見られてるみたいー」
「モコナ注目のまとー!」
次の世界はなんだったか、と思考を巡らせながらキョロキョロと辺りを見回す。その中で多くの民衆の目が恐怖と動揺で彩られ、こちらを見ている。モコナの意見も当たらずしも遠からず、って感じかな。
異物感丸出しな私達一行に一番最初に話しかけたのは、どんな民衆より体格も態度も一回り大きな男だった。
「なんだこいつら!どこからでてきやがった!!」
無造作に、無意識に一番弱そうなお姫様を選び、見せしめに細腕を力強く握る大男。
そんな大男を、小狼が見過ごすわけなかった。
さっきまであわあわしていた小狼は、大男の左頬に見事綺麗な飛び蹴りをお見舞いした。
「お」
「あ」
『あら』
「わ♡」
私達は各々嬉しそうな顔(特に黒鋼とモコナ)をする中、兵と民衆と大男は違う反応を見せた。なんだ、こっちの小狼もあんな見事な飛び蹴りが出来るだなんて。今度手合わせをお願いしようかしら。のんびりぼんやりしていると、高い塀の上から可愛らしい女の子の張り上げた怒声が聞こえた。
(春香る日の出会い)