高麗国
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
次なる世界への狭間は、まるで深海のようだった。ボコボコと気泡が通り過ぎまた生まれる中で、一匹の蝶々がその気泡達とは逆に、私と同じ方向へ進む。
「貴方はまだ力を欲してる」
『あなた、いい加減正体を見せたら?蝶々じゃなくて、本当の姿を』
「あら?これが私の本来の姿よ?」
『その喋り方と、内容でもう丸分かりなのよ!!あんた、次元の魔女でしょ!?』
その乱暴な問いに、黄金の蝶々
は惑わす様にひらひらと私の周りを飛ぶ。何にも、囚われずに。
「私はただ、貴方が望むならこの力、貴方に継続して持たせてもいいと思ってるわ」
『…あなたの持論じゃ、対価はもらい過ぎても与え過ぎてもいけないんじゃなかったの?』
「いいえ、これは貴方には少なすぎるくらいよ。それを個別に事細かく払っているの」
『………私は、何を支払ったの?』
「さぁ?他言しないで、と言ったのも貴方だから私は言えないわね」
そう言った後、蝶々は私の前をひらひらと消え去って行った。その瞬間、目の前が眩しくなって、気づいた時には大きな落下音と、痛みだけ。
『え?次の、世界…?』
「ああー?次はどこだ?」
「わー、なんだか見られてるみたいー」
「モコナ注目のまとー!」
次の世界はなんだったか、と思考を巡らせながらキョロキョロと辺りを見回す。その中で多くの民衆の目が恐怖と動揺で彩られ、こちらを見ている。モコナの意見も当たらずしも遠からず、って感じかな。
そんな私達一行に一番最初に話しかけたのは、どんな民衆より体格も態度も一回り大きな男だった。
「なんだこいつら!どこからでてきやがった!!」
無造作に、無意識にお姫様の手を選び、見せしめに力強く握る大男。
そんな大男を、小狼が見過ごすわけなかった。
さっきまであわあわしていた小狼は、大男の左頬に見事綺麗な飛び蹴りをお見舞いした。
「お」
「あ」
『あら』
「わ♡」
私達は嬉しそうな顔(特に黒鋼とモコナ)をする中、兵と民衆と大男は違う反応を見せた。そりゃそうか。
けど、私は少し安心した。こっちの小狼もあんな見事な飛び蹴りが出来るだなんて。今度手合わせをお願いしようかしら。
なんてのんびり考えていると、高い塀の上から可愛らしい女の子の張り上げた怒声が聞こえた。
(春香る日の出会い)