小さなアクアリウム
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(番外編)
*二年前の状態で、親密度アップ軸。
アンリちゃんは、いつも可愛い顔しておれの様子を伺ってくる。
おれはその視線を奪っていたくて、本当は見られてるのを知っててあえてちょっとだけゆっくりと用事を済ませる。おれの手元がひと段落ついたところで、アンリちゃんの鈴の音みたいな声が低い位置から聞こえるんだ。
「ねえ、サンジさん。
…今、ちょっとだけおしゃべりしてもいい?」
「ああ、勿論大丈夫だよ。
どうしたんだい?」
メロリンラブな恋のハリケーンを目一杯抑えて、遠慮がちな彼女に向けてとびっきりの笑顔で対応する。するとおれの顔を見た途端、ぱああっと表情が明るくなるのは多分無意識なんだろうが、他の野郎の前ではやんねェでほしい。
絶対アンリちゃんに好かれてると自惚れちまう。当然、おれも含めて。
「あのねあのね!
昨日ナミがね、良いほしつパック?を貸してくれて、そのおかげで今日すっごいおはだもちもちなの!」
「ッだから今日は特別輝いて見えるのか…!!?!」
そうだ、確かにいつもより健康そうに輝き、透き通る肌はさらに磨きがかかっている気がする…!!毎日生きてくれるだけで可愛さと美しさを更新していく存在がレディという尊い生き物だが、その裏にも弛まぬ直向きな努力に、雷に打たれた時のような衝撃がおれの全身を襲う。
「えっへん!
…って、ナミのおかげなんだけどね。あ、もちろん栄養管理してくれるサンジさんや、体に異常があればすぐにみてくれるチョッパーのおかげでもあるけどね!」
「ゔ…!!」
アンリちゃんにとっちゃあ、ここでの生活は夢のよう、らしい。美味いメシに、あったかい太陽、賑やかなヤツら。勿論、海賊だからこその危険もあるが、生きてるか死んでるかも分かんねェ状態で海の中、1人漂っている時には全然想像もつかなかった、と前に話してくれた。
状況は違えど、暗くて冷てェ場所ってのは誰でも嫌なもんなんだな、なんてガラにも合わねェことを思い出したりしたもんだが。
「それでね、サンジさん。
さわってみる?」
「ああ。………………ンン????」
「はい、どーぞ」
ゆで卵のようにつるりとしたアンリちゃんの顔が、いきなり目の前にあった。しかも青く輝く海のような瞳を閉じて、アンリちゃんは何かを待ってる。なっ、なっ、なんて可愛らしいんだ…!?いや、じゃなくて、なにを触らせてくれるのか、彼女の言葉は一言一句取り逃がさないはずのおれだが、聴覚は機能していてもアンリちゃんの可愛さの前で思考能力がお粗末になっていたに違いない。
ドキドキそわそわと期待に満ち溢れた雰囲気で、羽のように長いまつ毛が陶器の肌に影を落としている。
その光景に、何故だかおれの喉がこくんと物欲しげに音を鳴らした。定まらない指先が、本能のままに宙を彷徨う。
さっき言っていたように、何かを施しているのか?そうだったら理解できる。
だって、彼女からはおれや他の野郎とは全く別の、とても清らかな何かでできているに違いないと、錯覚するほど良い匂いで、柔らかそうな頬を緩ませて、甘い林檎のような赤い唇がうっすらと開いているのだから。
これが天然物で息づいている場合、彼女はまさしく神に愛された天使、もしくは女神そのものだ。
だ、駄目だ。別のことに意識を逸らしたいのに、どうしても目の前にいるプリンセスの事を考えてしまう。というか、「触っていーよ♡(物凄いフィルターと幻聴をかけて)」って、一体どこを触ってもいいんだ??
下手に間違うと嫌われるかもしれん…!!
「………ッ…!!」
「…………えーっと、ちょっとはずかしくなってきた。まだ?」
「あああもうちょっと待ってくれ!
心の準備をさせて欲しい!!」
「そんなおおげさなものじゃないよ〜…」
それでも目を開けずに待ってくれるアンリちゃんが好きだ……!!!
すぅーー、と気取られない程に細く透明な息を吐き、同じ要領で吐く。さっきまでしていた会話の内容を思い出せ。レディとの、それもアンリちゃんとの会話なら頭ん中で再生するのは容易いはずだ!!
確か、「サンジさんっ」といつもみたいに可愛くおれを呼んでくれて、それでナミさんからもらった保湿クリームで肌の調子がいいって、あまり見られない自信たっぷりな表情を浮かべてたんだ。あの、どーだ!と言わんばかりのアンリちゃんは可愛かった……。
「ッ……!!!(つまり、正解は頬っぺただァァ〜〜!!)」
ウオオオオ!!!もしやこれは、アンリちゃんからおれへのご褒美なのか…!?
おれの冴え渡る脳ミソが導き出した答えに興奮したのか、指先まで熱くなってきた。クッソ、じんわり汗もかいてきやがった。
アンリちゃんから嫌われてはねェと思いたいが、恥ずかしがり屋な彼女からこうしたスキンシップは滅多にない。戦闘中や咄嗟の事に一言置いて触れる、なんてのは割と多いが、こうして面と向かってしかも恥ずかしがり屋な本人からオッケーが出ると…。
「………」
「ね、今日のおはだもちもちなの!」
「あ、あぁ… 手が吸い付くみてェだ……」
おれの無骨な両手が、アンリちゃんの優しく暖かな体温を包む。
焼きたてのパン、つきたての餅、子ウサギ、ゼリー。どれも似てて、どれでもない。もにもにと動かすつもりはなくてもずっと揉んでいたくなる。なるほど、これが魔性ってヤツか。
きょとんとした大きな瞳が、水鏡のように目の前にいる物欲しげな危ねェ野郎を映す。
「…………」
「…あ、あの、サンジさん、もうはなしても、いいんだよ…?」
「(ここから大人な悪戯したら、アンリちゃんでも怒るだろうなぁ…)」
ちょっと前に手首に触れるだけのキスをしたら、真っ赤になって怒ってたのを思い出すが、それでも本能に抗えず下唇を親指でなぞる。
すると、びっくりしたみてェに細い肩をピクリとゆらした。
じわじわと熱が上がる感覚をアンリちゃんの肌から直接感じ取って、おれは思わず聞こえないくらの笑い声をこぼした。
おれには何もされないと思ったのか、それともそこまで考えが回らなかったのか。どちらにしても考えが甘くて可愛いには違ェねぇ。
「アンリちゃん」
「なっ、なんでしょう…!?」
「……おれだけ、にしてね」
なにを、とは口に出さずに、名残惜しいがそっと頬から手を離した。未だにハテナマークを頭の上に浮かべているアンリちゃんに、苦笑いを浮かべてしまった。
きっとこんなに甘くシビれる恋のスパイスは、悪魔だって預かり知ずだ。
*二年前の状態で、親密度アップ軸。
アンリちゃんは、いつも可愛い顔しておれの様子を伺ってくる。
おれはその視線を奪っていたくて、本当は見られてるのを知っててあえてちょっとだけゆっくりと用事を済ませる。おれの手元がひと段落ついたところで、アンリちゃんの鈴の音みたいな声が低い位置から聞こえるんだ。
「ねえ、サンジさん。
…今、ちょっとだけおしゃべりしてもいい?」
「ああ、勿論大丈夫だよ。
どうしたんだい?」
メロリンラブな恋のハリケーンを目一杯抑えて、遠慮がちな彼女に向けてとびっきりの笑顔で対応する。するとおれの顔を見た途端、ぱああっと表情が明るくなるのは多分無意識なんだろうが、他の野郎の前ではやんねェでほしい。
絶対アンリちゃんに好かれてると自惚れちまう。当然、おれも含めて。
「あのねあのね!
昨日ナミがね、良いほしつパック?を貸してくれて、そのおかげで今日すっごいおはだもちもちなの!」
「ッだから今日は特別輝いて見えるのか…!!?!」
そうだ、確かにいつもより健康そうに輝き、透き通る肌はさらに磨きがかかっている気がする…!!毎日生きてくれるだけで可愛さと美しさを更新していく存在がレディという尊い生き物だが、その裏にも弛まぬ直向きな努力に、雷に打たれた時のような衝撃がおれの全身を襲う。
「えっへん!
…って、ナミのおかげなんだけどね。あ、もちろん栄養管理してくれるサンジさんや、体に異常があればすぐにみてくれるチョッパーのおかげでもあるけどね!」
「ゔ…!!」
アンリちゃんにとっちゃあ、ここでの生活は夢のよう、らしい。美味いメシに、あったかい太陽、賑やかなヤツら。勿論、海賊だからこその危険もあるが、生きてるか死んでるかも分かんねェ状態で海の中、1人漂っている時には全然想像もつかなかった、と前に話してくれた。
状況は違えど、暗くて冷てェ場所ってのは誰でも嫌なもんなんだな、なんてガラにも合わねェことを思い出したりしたもんだが。
「それでね、サンジさん。
さわってみる?」
「ああ。………………ンン????」
「はい、どーぞ」
ゆで卵のようにつるりとしたアンリちゃんの顔が、いきなり目の前にあった。しかも青く輝く海のような瞳を閉じて、アンリちゃんは何かを待ってる。なっ、なっ、なんて可愛らしいんだ…!?いや、じゃなくて、なにを触らせてくれるのか、彼女の言葉は一言一句取り逃がさないはずのおれだが、聴覚は機能していてもアンリちゃんの可愛さの前で思考能力がお粗末になっていたに違いない。
ドキドキそわそわと期待に満ち溢れた雰囲気で、羽のように長いまつ毛が陶器の肌に影を落としている。
その光景に、何故だかおれの喉がこくんと物欲しげに音を鳴らした。定まらない指先が、本能のままに宙を彷徨う。
さっき言っていたように、何かを施しているのか?そうだったら理解できる。
だって、彼女からはおれや他の野郎とは全く別の、とても清らかな何かでできているに違いないと、錯覚するほど良い匂いで、柔らかそうな頬を緩ませて、甘い林檎のような赤い唇がうっすらと開いているのだから。
これが天然物で息づいている場合、彼女はまさしく神に愛された天使、もしくは女神そのものだ。
だ、駄目だ。別のことに意識を逸らしたいのに、どうしても目の前にいるプリンセスの事を考えてしまう。というか、「触っていーよ♡(物凄いフィルターと幻聴をかけて)」って、一体どこを触ってもいいんだ??
下手に間違うと嫌われるかもしれん…!!
「………ッ…!!」
「…………えーっと、ちょっとはずかしくなってきた。まだ?」
「あああもうちょっと待ってくれ!
心の準備をさせて欲しい!!」
「そんなおおげさなものじゃないよ〜…」
それでも目を開けずに待ってくれるアンリちゃんが好きだ……!!!
すぅーー、と気取られない程に細く透明な息を吐き、同じ要領で吐く。さっきまでしていた会話の内容を思い出せ。レディとの、それもアンリちゃんとの会話なら頭ん中で再生するのは容易いはずだ!!
確か、「サンジさんっ」といつもみたいに可愛くおれを呼んでくれて、それでナミさんからもらった保湿クリームで肌の調子がいいって、あまり見られない自信たっぷりな表情を浮かべてたんだ。あの、どーだ!と言わんばかりのアンリちゃんは可愛かった……。
「ッ……!!!(つまり、正解は頬っぺただァァ〜〜!!)」
ウオオオオ!!!もしやこれは、アンリちゃんからおれへのご褒美なのか…!?
おれの冴え渡る脳ミソが導き出した答えに興奮したのか、指先まで熱くなってきた。クッソ、じんわり汗もかいてきやがった。
アンリちゃんから嫌われてはねェと思いたいが、恥ずかしがり屋な彼女からこうしたスキンシップは滅多にない。戦闘中や咄嗟の事に一言置いて触れる、なんてのは割と多いが、こうして面と向かってしかも恥ずかしがり屋な本人からオッケーが出ると…。
「………」
「ね、今日のおはだもちもちなの!」
「あ、あぁ… 手が吸い付くみてェだ……」
おれの無骨な両手が、アンリちゃんの優しく暖かな体温を包む。
焼きたてのパン、つきたての餅、子ウサギ、ゼリー。どれも似てて、どれでもない。もにもにと動かすつもりはなくてもずっと揉んでいたくなる。なるほど、これが魔性ってヤツか。
きょとんとした大きな瞳が、水鏡のように目の前にいる物欲しげな危ねェ野郎を映す。
「…………」
「…あ、あの、サンジさん、もうはなしても、いいんだよ…?」
「(ここから大人な悪戯したら、アンリちゃんでも怒るだろうなぁ…)」
ちょっと前に手首に触れるだけのキスをしたら、真っ赤になって怒ってたのを思い出すが、それでも本能に抗えず下唇を親指でなぞる。
すると、びっくりしたみてェに細い肩をピクリとゆらした。
じわじわと熱が上がる感覚をアンリちゃんの肌から直接感じ取って、おれは思わず聞こえないくらの笑い声をこぼした。
おれには何もされないと思ったのか、それともそこまで考えが回らなかったのか。どちらにしても考えが甘くて可愛いには違ェねぇ。
「アンリちゃん」
「なっ、なんでしょう…!?」
「……おれだけ、にしてね」
なにを、とは口に出さずに、名残惜しいがそっと頬から手を離した。未だにハテナマークを頭の上に浮かべているアンリちゃんに、苦笑いを浮かべてしまった。
きっとこんなに甘くシビれる恋のスパイスは、悪魔だって預かり知ずだ。