粟島様(あわしまさま)〜2022年七夕に寄す〜
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「おばあちゃん!!外に誰かいる!!」
美里は真っ二つになったほうきを握ったまま、玄関をくぐった。
「そのほうきはどうしたんだい!」
祖母は真っ青になって言った。
「あ!」
美里は今更気付いたようだ。
そういえば唇を切った、そう思いつき指で唇をこすってみたが、出血も痛みもなかった。
二人は恐る恐る懐中電灯で辺りを照らしながら粟島様を祀る石塔まで行ってみた。
桜の木の枝に、結び文がしてあった。開いてみると、人が書いたとは思われぬ、実に流暢な筆で、
「お供物、ありがたく頂戴し候
また推参し、お守り致したく候
惣」
とあった。ラムネのケースを見ると、五本のラムネが空になっていた。祖母は度肝を抜かれ、
「粟島様だ!粟島様がおいでになった!」
と騒いだ。
「おばあちゃん、落ち着いて!何かのイタズラだよ!」
美里は言ったが、祖母はその結び文を両の手の平で押し頂くと
「ああ、ありがたや、ありがたや。」
と何遍も何遍も呟いていた。
翌朝、集会所名を彫った石碑が、斜めに真っ二つに割られているのが発見された。怪異に思った町内会長が、集会所の治安を守るために設置してあった防犯カメラの映像を再生してみた。しかしそこには、何も映っていなかった。
美里は真っ二つになったほうきを握ったまま、玄関をくぐった。
「そのほうきはどうしたんだい!」
祖母は真っ青になって言った。
「あ!」
美里は今更気付いたようだ。
そういえば唇を切った、そう思いつき指で唇をこすってみたが、出血も痛みもなかった。
二人は恐る恐る懐中電灯で辺りを照らしながら粟島様を祀る石塔まで行ってみた。
桜の木の枝に、結び文がしてあった。開いてみると、人が書いたとは思われぬ、実に流暢な筆で、
「お供物、ありがたく頂戴し候
また推参し、お守り致したく候
惣」
とあった。ラムネのケースを見ると、五本のラムネが空になっていた。祖母は度肝を抜かれ、
「粟島様だ!粟島様がおいでになった!」
と騒いだ。
「おばあちゃん、落ち着いて!何かのイタズラだよ!」
美里は言ったが、祖母はその結び文を両の手の平で押し頂くと
「ああ、ありがたや、ありがたや。」
と何遍も何遍も呟いていた。
翌朝、集会所名を彫った石碑が、斜めに真っ二つに割られているのが発見された。怪異に思った町内会長が、集会所の治安を守るために設置してあった防犯カメラの映像を再生してみた。しかしそこには、何も映っていなかった。