粟島様(あわしまさま)〜2022年七夕に寄す〜
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美里は駄菓子屋を営む家の娘に生まれた。昔は近辺に子供が多く、駄菓子屋はそれは繁盛していた。町内の集会所の広場の隣、という立地の良さもあり、子供達はこの店の前庭で育ったようなものだった。
美里の両親は、共働きで一般企業に勤めていた。駄菓子屋は定年後に継ぐ、といつも言っていた。しかしその両親は、美里が中学生の時、揃って事故で亡くなってしまった。祖母一人、孫一人残された二人には、悲しんでいる暇はなかった。生活の困窮がせまっていたのである。美里は中学を卒業したら働く、と言って聞かなかったが、祖母は美里の両親の保険金、戦死した祖父の恩給、自分の年金、そして駄菓子屋の売り上げをどうにかまかなって、美里を大学まで卒業させた。まさに女手一つで、孫娘を育てたのである。
美里は祖母に深く恩義を感じていた。祖母を看取るまで側にいる覚悟をしているのである。祖母も美里も独立心の強い質で、祖母は美里が手を離れてからも元気で駄菓子屋を切り盛りしていた。しかし数年前から、タチの悪い感染症が流行り始めた。子供達は外に出なくなり、駄菓子屋は廃業寸前に追い込まれていた。店の売り上げはなくなり、美里の給料と祖母の年金でなんとか食べていた。美里には奨学金の返済が残っており、けっして生活は楽ではなかった。
美里は明朗な性格で、異性によくもてた。ただいつも祖母をたんこぶ扱いする男に容赦しない、気の強い一面があった。強過ぎる程だったと言っていい。今日は本当は短時間残業の後、付き合っている男と会うはずだった。トイレに入り化粧を直し、隣の男子トイレの入口に近寄った時、若い男二人の会話を聞いた。
「プロポーズしちゃえよ、大丈夫だって!」
それは付き合っている男の同僚の声だった。
「ババアなんてそのうちあの世行きだって!なんなら塩気の強いモンでもくれとけよ、すぐ死ぬから!」
その同僚は笑っていた。
「そ、そうだよな。俺だってコブつきなんて本当はごめんだし。」
付き合っている男は、同僚に同意した。
美里はブチ切れた。
「もういっぺん言ってみろぉ!!このチ○カスがぁ!!」
彼女は男二人の股関をハイヒールのとがった爪先で続け様に蹴り上げ悶絶させると、うずくまっている男二人にひどい罵声を浴びせ、これまたとがった踵でメタメタに蹴りつけ、あざだらけに始末してきた。男二人は美里一人にここまでボコボコにされたことが恥ずかしくて、助けを呼ばなかった。かえってそれによって事態は陰湿な方向へと進み、明日から陰口に晒されるんだろう、と美里は頭を抱えたくなった。
タイムカードを押すと、男二人を始末したのも、私の仕事のうちだ、と顔を上げた。美里は平静を装って帰ってきた。そんなことの繰り返しだと、祖母には言わなかった。
美里の両親は、共働きで一般企業に勤めていた。駄菓子屋は定年後に継ぐ、といつも言っていた。しかしその両親は、美里が中学生の時、揃って事故で亡くなってしまった。祖母一人、孫一人残された二人には、悲しんでいる暇はなかった。生活の困窮がせまっていたのである。美里は中学を卒業したら働く、と言って聞かなかったが、祖母は美里の両親の保険金、戦死した祖父の恩給、自分の年金、そして駄菓子屋の売り上げをどうにかまかなって、美里を大学まで卒業させた。まさに女手一つで、孫娘を育てたのである。
美里は祖母に深く恩義を感じていた。祖母を看取るまで側にいる覚悟をしているのである。祖母も美里も独立心の強い質で、祖母は美里が手を離れてからも元気で駄菓子屋を切り盛りしていた。しかし数年前から、タチの悪い感染症が流行り始めた。子供達は外に出なくなり、駄菓子屋は廃業寸前に追い込まれていた。店の売り上げはなくなり、美里の給料と祖母の年金でなんとか食べていた。美里には奨学金の返済が残っており、けっして生活は楽ではなかった。
美里は明朗な性格で、異性によくもてた。ただいつも祖母をたんこぶ扱いする男に容赦しない、気の強い一面があった。強過ぎる程だったと言っていい。今日は本当は短時間残業の後、付き合っている男と会うはずだった。トイレに入り化粧を直し、隣の男子トイレの入口に近寄った時、若い男二人の会話を聞いた。
「プロポーズしちゃえよ、大丈夫だって!」
それは付き合っている男の同僚の声だった。
「ババアなんてそのうちあの世行きだって!なんなら塩気の強いモンでもくれとけよ、すぐ死ぬから!」
その同僚は笑っていた。
「そ、そうだよな。俺だってコブつきなんて本当はごめんだし。」
付き合っている男は、同僚に同意した。
美里はブチ切れた。
「もういっぺん言ってみろぉ!!このチ○カスがぁ!!」
彼女は男二人の股関をハイヒールのとがった爪先で続け様に蹴り上げ悶絶させると、うずくまっている男二人にひどい罵声を浴びせ、これまたとがった踵でメタメタに蹴りつけ、あざだらけに始末してきた。男二人は美里一人にここまでボコボコにされたことが恥ずかしくて、助けを呼ばなかった。かえってそれによって事態は陰湿な方向へと進み、明日から陰口に晒されるんだろう、と美里は頭を抱えたくなった。
タイムカードを押すと、男二人を始末したのも、私の仕事のうちだ、と顔を上げた。美里は平静を装って帰ってきた。そんなことの繰り返しだと、祖母には言わなかった。