粟島様(あわしまさま)〜2022年七夕に寄す〜
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「今日も遅かったねえ、また残業かい?」
老婆は孫娘に夕飯を供しながら尋ねた。
「最近新しいプロジェクトの責任者を任されてね、残業続きなんだ。」
若い女はスーツからTシャツとデニムに着替えると、髪を一つに結わえて、
「頂きます!」
と手を合わせ、祖母の作ってくれた夕飯を食べ始めた。
「なんだ、デートじゃないのかい。」
老婆は落胆したようだった。
「はん!デート?」
女は憤慨していた。
「あんな男、こっちから願い下げよ!!」
女は箸で茶碗の米をかきこんだ。
「私、結婚してもおばあちゃんと一緒に住みます、っていう男じゃないと、ずぇったいに、嫌!!」
若い娘はかぼちゃの煮物を大口で口に入れた。
「そんなこと言っていたら、お前、おばあちゃんが死ぬまで結婚出来ないよ。おばあちゃんはコブなんだから。」
と老婆は力無く言った。
「おばあちゃんは一人になっても大丈夫。またそのうち流行病(はやりやまい)がなくなったら、駄菓子屋で細々と暮せばいいんだから…。」
そうは言ったものの、老婆は不安げだった。最近は腰が曲がって、物の上げ下ろしが難儀になった。ラムネ一ケースが持ち上げられなくなって久しい。
「おばあちゃん!」
娘は祖母に向き直った。
「おばあちゃんを邪魔者扱いする男なんかと、私絶対結婚しない。おばあちゃんは女手一つで私を育ててくれた。その恩に背いてまで、私絶対に結婚しない。」
娘は祖母の手を両手で握った。
「おばあちゃんは何も心配しないで長生きして。私しっかり稼ぐから。」
老婆は最近涙もろくなった。
「嗚呼、粟島様。孫をどうか守ってやって下さい…。」
老婆は上を向いて涙をこらえた。
おばあちゃん、と娘は祖母の肩を抱いた。
娘は美里という。今日、プロポーズ寸前のところ、男をボコボコにしてきた。
老婆は孫娘に夕飯を供しながら尋ねた。
「最近新しいプロジェクトの責任者を任されてね、残業続きなんだ。」
若い女はスーツからTシャツとデニムに着替えると、髪を一つに結わえて、
「頂きます!」
と手を合わせ、祖母の作ってくれた夕飯を食べ始めた。
「なんだ、デートじゃないのかい。」
老婆は落胆したようだった。
「はん!デート?」
女は憤慨していた。
「あんな男、こっちから願い下げよ!!」
女は箸で茶碗の米をかきこんだ。
「私、結婚してもおばあちゃんと一緒に住みます、っていう男じゃないと、ずぇったいに、嫌!!」
若い娘はかぼちゃの煮物を大口で口に入れた。
「そんなこと言っていたら、お前、おばあちゃんが死ぬまで結婚出来ないよ。おばあちゃんはコブなんだから。」
と老婆は力無く言った。
「おばあちゃんは一人になっても大丈夫。またそのうち流行病(はやりやまい)がなくなったら、駄菓子屋で細々と暮せばいいんだから…。」
そうは言ったものの、老婆は不安げだった。最近は腰が曲がって、物の上げ下ろしが難儀になった。ラムネ一ケースが持ち上げられなくなって久しい。
「おばあちゃん!」
娘は祖母に向き直った。
「おばあちゃんを邪魔者扱いする男なんかと、私絶対結婚しない。おばあちゃんは女手一つで私を育ててくれた。その恩に背いてまで、私絶対に結婚しない。」
娘は祖母の手を両手で握った。
「おばあちゃんは何も心配しないで長生きして。私しっかり稼ぐから。」
老婆は最近涙もろくなった。
「嗚呼、粟島様。孫をどうか守ってやって下さい…。」
老婆は上を向いて涙をこらえた。
おばあちゃん、と娘は祖母の肩を抱いた。
娘は美里という。今日、プロポーズ寸前のところ、男をボコボコにしてきた。