TV Syndrome 〜サイト開設10周年記念〜
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藍染が麻巳子の姿を再び目にしたのは、隊長になり少し経ってからのことだった。動乱が落ち着き、涅マユリが十二番隊の隊長となり技術開発を推し進め、霊子テレビジョンを完成、普及させた後のことである。藍染は朴念仁をよそおっていて、世間の流行に疎いふりをしていたが、本当は謀叛のために、誰よりも情報収集に余念がなかった。霊子テレビジョンのことも、先に開発された伝令神機を使い、詳しく調べ上げていた。
そんな矢先、瀞霊廷の大通りに、大型霊子街頭テレビジョンが設置された。人々はせわしなく道を歩きながら、それでも霊子街頭テレビジョンの映像を気にしていた。
藍染は所用でその大通りを通りかかった。
刻限は申の刻ー。
藍染は浮かれ騒ぐバラエティ番組の映像に、何気なく目をやった。
七人の若い娘が思い思いに手を振る。
その中に、真っすぐに拳を突き出し、何かをつぶやく娘の姿をみつけた。
まさか、と思った。
その娘はだいぶ大人びたものの、幼い頃の面影を残していた。その白い顔は、忘れたことのない懐かしい面差しだった。
「Suiちゃん!」
と仲間の若い娘が彼女を呼ぶ。
しかしそれは、見まごうことなく、麻巳子だった。
まるで、音声も映像も、全てが止まったかのようだった。
調べ尽くしたと思っていたのに、今まで芸能などに頓着しなかったために気付かなかった。
最近巷を騒がすデビューしたてのガールズアイドルグループ『Seven Seasons』―そのダンス担当のアイドル『Sui』は、成長した麻巳子だったのである。
やっと時が重なった―。
藍染は往復に立ち止まり、隊長羽織が風にはためくのにまかせたまま、霊子街頭テレビジョンの画面を見つめていた。Sui、いや麻巳子は、美しく輝いていた。その炎のような意思を、彼女は貫いたのだ。
「もうこれからは目を離さない―。」
藍染は呟き、心に誓った。
やっとみつけた、なのにどうして君は画面の向こう側にいる―。
触れようと手を伸ばしても、君はスクリーンいっぱいの偶像―。
藍染は切なさを覚えた。
自分は後ろ暗い身となった。
時が経ちすぎた、と思った。