長からむ〜藍染様お誕生日記念2025〜
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その、「まるで絹のような」、という言葉が、陳腐に感じられる程の心地よい手触りの長い黒髪を撫でていると、心底心が安らいだ。
滑らかでひんやりとした、蕩けるような感触の長い髪は、女を一際美しく見せる。
しかし女の性状は、人を安らがせるというより、人の心を騒がせるような美質で、内面だけでなく、見た目もそれに添う程の麗質の持ち主だった。
藍染は、一人になりたい時や、誰かと密会したい時等、何にでも使っていると言えば何にでも使っていて、何にも使っていないと言えば何にも使っていないような空き部屋を一室、目立たぬ界隈に持っていた。そこに女を招くのは、自分の領分に入ってきても良い、という者に出会った時だけである。藍染の胸に頬を付け、手の平を当て、しかし「しなだれかかる」という、馴れ馴れしい不潔さの無い、どことなく警戒心を解いていない様で、女は微笑んで、黙って少しの間大人しくしていた。藍染が女の髪の感触を楽しんでいる、それを少しの間は許しておこう、という、気を許したわけではない、「気遣い」の形を表したまま、女は藍染の胸の中にいる。
女が黙っているので、藍染はなんとなく何かを口にするのがはばかられて、ただ心ゆくまで女の髪を楽しんでいた。頭頂から床まで、撫でても撫でても飽き足らない。これ程美しい髪の持ち主がいるだろうか、と感嘆しかない。女は、特別な髪の手入れはしていない、と言っていた。それは藍染も知っていた。女は同じ隊の隊士で、起き伏しを共にしているので噂は聞こえてくる。「美質」とはそうしたもので、いくら他の女が躍起になって髪の手入れをしても、天与のものにかなうものなど滅多にない。残念ながら、人は与えられた長所を伸ばすのが最善か、と、彼女の髪を見ていると思う。女は膝まで髪を伸ばしていて、まるで宮中の美女のようだった。末摘花の髪に、紫の上の顔がついたような女は、次の「五番隊小町」と言われている。先代の小町が六番隊の席官と結婚して職を辞したため、五番隊一の美女の名は、今は空位だった。
綾華、と名を呼ぼうとして、しかし呼び出せず、髪を撫でる手を休めるのも惜しく、沈黙の時間が続く。髪越しに伝わる、美体であろうと容易に想像のつく背中を意識すると、今日こそはもう良いだろう、と藍染は意を決しているのだが、何故だか女の態度は不穏だ。もう何回もお茶も飲んだ、食事も共にした、女とて初めてではあるまい、色々鑑みて、そんな空気になっても良いだろうと思うのだが、何が足りないのだろうか?もっと贈り物でも贈れば良かったか、などと下世話な事を考えていると、女が不意に体を離した。藍染が顔を上げると、女は懐から髪結紐を取り出し、おもむろに髪を一つにきつく結わえた。
何をする気だろうか、と藍染が思っていると、女は懐から懐刀を取り出し、突然、ざっくりと、首元で、髪を、断ち切った。
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