火鉢〜藍染様お誕生日記念2026〜
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藍染に隊主室へと呼ばれても、それは任務上のことだと誰もが思うだろう。席官の依莉は、怖気づきもしないし、誰も後ろ指を指したりもしない。毎日ではないが、たまに二人きりの時間が訪れる。藍染と依莉は、策謀について語る間も、二人きりの時間を密にして楽しんだ。今は早春で、まだ寒い日が続く。隊主室には火鉢が据えられ、隊長たる藍染が、部屋の奥の真ん中で、火をおこした火鉢の縁に手をかけて、依莉を待っていた。
堅苦しい挨拶と無表情を周囲の者へと見せ、偽りの身分の差をよそおうと、依莉は隊主室へと身をすべらせた。
「待っていたよ。」
藍染は笑って、彼女だけのものになる顔をした。依莉も少し気を緩めて、艶っぽく微笑んだ。藍染は火鉢から体を擦って身をずらし、ぽんぽんとあぐらをかいた自らの太腿を軽く叩いた。依莉に、ここに座れ、というのである。彼女は遠慮もなく体を寄せると、藍染が髪を撫でてくる。日の光は明るいが、暖かさはなく、火鉢の暖かささえ足りなく感じる。しかし二人で寄り添い合っていれば、少しでも暖かい。お互いの匂いに近さを感じると、二人は暖かさが増していくのを感じた。
今日も大逆の計画について、少し話をした。いつまでも続く平和などない。いつまでも続く愛もないのかもしれない、とその度依莉は思う。そのことが彼女の心を常に少しく重くしていて、もういい歳だ、面倒な女になりたくない、と思いつつも、彼女は顔を曇らせる。
藍染はその心の機微に敏感に気付いている。彼女を抱き締めると、その不安をすくい取ってやろうとする。抱き締められたままになりながら、依莉はため息混じりに、
「いつまで想っていてもらえるのかしら?」
と、常にある不幸な結果への覚悟を強めながら言った。嗚呼、また言ってしまった、また困らせる、と彼女は自己に対する嫌悪で、体までだるくなるのを感じた。
藍染は分かっているだろう、ふと右手を離し、火鉢の灰に刺さっていた火箸を手に取った。そして火鉢の中の灰を、三周、くるくると掻き混ぜた。彼は火箸を手にしたまま、依莉に明朗に微笑みかけた。
灰になるまで、と言ったのだ。
彼女は驚き、泣きたくなる程幸せを感じた。そして藍染を抱き締め返した。
こんなにも想ってくれている―。
「幸せだわ。」
死ぬまで尽くす、そう彼女も決めた。
白い光は、部屋に射し込み、辺りを清浄にする。暗い計略の先に待っているものまでをも照らす光は、何万年後も降り注ぎ続けるだろうか。
例え光が消えても、胸の中で光り続けるものがあるだろう。
彼女はそれを信じて、生き続けることに決めた。
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