徒然
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そんなことが何年も続いた。
徒然亭は押しも押されもしない、立派な寄席になった。しかし徒然亭は、相変わらず前衛的な新人達の登竜門であり続けた。それはそうした空気を愛する芸人、客、運営者の、協力体制あってのものであった。徒然亭は、ギリギリの疾走感で、今日も客を笑わせていた。
そうしたある日のことだった。
いつものように徒然亭で笑い転げた後、甘味処でお汁粉を食べていた藍染と茜だったが、藍染が茜に、頓狂な話題をふった。
「青木君、王宮の道化師になる気はないかい?」
「は?」
茜は話が飲み込めずに、箸を口から離して、餅を噛みながら藍染の言葉を反芻していた。
「王宮…って、四大貴族のお屋敷とか、ですか?」
「そんなところかな。」
藍染は小豆を口に入れた。それを咀嚼し終えると、
「それでは言葉を変えよう。斬魄刀を振るっているのとお笑いを演じるのとでは、どちらが自分に向いていると思う?」
と尋ねた。
「そりゃあ、お笑いやってる方が、断然向いていると思いますよ。」
茜はあまり戦闘能力の高い死神とは言えなかった。出世はもうあきらめていると言っていい。
しかし護廷隊に、除隊、という道は無い。藍染の言っていることが、茜にははっきり見えなかった。
「それでは決まりだね。」
ごちそうさま、と言うと、藍染は箸を置き、空になった椀に蓋をして、お茶に手を付けた。
「何が決まりなんです?」
茜は何となく不安になって藍染に尋ねた。
「君は運が良いよ。生き残れるんだから。」
藍染の口調に、心なしか冷えを感じた。
「あの…何をおっしゃって…。」
「もう夜も遅いね。送って行こう。」
藍染はさっと立ち上がると、茜を促した。茜は慌てて立ち上がり、藍染の元へ寄った。
この日を最後に、藍染は徒然亭に姿を現さなくなった。
そして事態は、動いた。
双極の丘へ隊士達を誘う、虎徹勇音の天廷空羅が響き渡った。