苺は愛で鯛〜バレンタインデー2016〜
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鈴泥は相変わらず下を向いたままだった。
「水都君、一粒頂いてもいいかい?」
藍染は嬉しそうに彼女に声をかけた。
「ど、どうぞ…。」
鈴泥はやっとの思いで返事をした。
「では頂きます。」
藍染はチョコレートを一粒つまむと、先の細い方を口に入れ、サクリとかじった。中から苺がのぞいた。
「色の対比が綺麗だね。」
藍染はチョコレートを口から放して、じっと見つめると、
「まるで君みたいだ。」
と、鈴泥に甘い言葉をかけた。彼女は滅相もない、と言うと、畳に手を揃えてつき、額をそこにつけ、泣き出した。
「もう、勘弁して下さい…。」
鈴泥は感情の高ぶりを抑えるのが辛くなったらしい。最早それは、藍染に対しての哀願だった。
「少しいじめ過ぎたかな…?」
藍染は鈴泥の体を起こさせると、力強く抱き締めた。
「優しい言葉だけが愛じゃないよ。聞き分けなさい。」
藍染は彼女の耳元に、興奮した熱い息と共に、厳しい言葉を滑り込ませた。
「君を見ているとたまらなくなって、いたぶるような真似をしてしまう。それが愛だと分かるようになれば、一人前の女性だ。分かるね?」
藍染の胸は広く、体は熱かった。鈴泥は藍染が欲情しているのだと悟った。
藍染は鈴泥を、抱かずして「女」にしてしまった。
「一年…一年待ったんだよ。去年、君が私に気持ちを向けてくれているらしいと知った時、それはそれは嬉しかった…。どうして君なのか、考えても答えは出なかった。今も答えは出ていない。でも今年も君は私を思ってくれている。それだけが私の全てだ…。」
鈴泥は大人しく、ただ藍染に抱かれていた。心地良くて、心身共にやわらいでくるのを感じた。
「君は年若いから、私のことは一年経てば忘れるだろうと思っていた。でも君は私を思い続けてくれた…。本当に、感謝しているよ…。」
藍染は静かに語り続けた。そしていつもの調子に戻ると、
「随分待たされたんだから、少し位君をいじめても罰は当たらないと思うけどね。」
藍染はクスリと笑い、抱き締めている腕をゆるめて、鈴泥の顔を見た。彼女は涙目で、緊張した疲れが出たのか、とろんとした顔をしていた。
「抱かれた後みたいな顔だね。」
藍染は微笑んだ。鈴泥はまた赤面した。が、今度は落ち着いていた。
「水都君…いや…鈴泥…。」
藍染は彼女の髪の間に指を入れ、後頭部を支えた。そして腰に手を回し、引き寄せた。
(口づけ…られ…る…。)
鈴泥は柔らかく目を閉じた。藍染の唇が、鈴泥の唇に、そっと、触れた。
初めての口づけは、苺の味がした。