祈り〜藍染様お誕生日記念2024〜
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藍染は娘を見下ろすと、傲岸不遜に笑みを浮かべた。どうせ全て知られているのだ、今更何を恐れることもない、そう思った。娘はまだ成人には遠い若さだった。黒い髪と黒い瞳が、若さ故のみずみずしさをもっていて、いずれ失われる美しさは、年を重ねる故か、それともこの大乱で命を落とす故か、と思うと、どちらにせよ自分には関係ない、と彼は思い、踵を返そうとした。
「手の平を合わせる思いは、みな切に美しいものだと、ずっと思っておりました。でもそんな願いは多くはない。私の絶望は貴方から始まりました。」
この少女は、いつから自分を「視て」いたのか。
娘は藍染を、鈍器で力無く殴るような、鋭さのない、暗い重い声で引き止めた。藍染は何ら痛みをおぼえることもない、といった顔で見ていた。
「祈りましょう、力の限り。全ての美しい祈りのみが叶いますように。この美しい世界を守るのが、託宣の本当の使い途です。」
娘は、金のために先見の力を使わされることに、嫌気が差していたのだろう。誰にも助けを求められない絶望の中、それでも娘は、藍染に助けを求めることもしないし、ましてや藍染の策謀から世界を守ろうとしている。
娘の声に力はなかったが、刺すような目で藍染を見ていた。その恨みのこもった視線のうちに、ふと憐れみのような、羨望のような、複雑なものを読み取り、藍染はおのが敗北を悟った。しかしそれは本当に純粋な敗北なのか。藍染は娘に問おうと思わなかった。
「生きて下さい。貴方がいないと、世界は終わる。」
当たり前じゃないか。
だから、何だというんだ。
藍染は大逆の道から引き返そうと思わなかった。
「何も払っていないのに、良いことを教えてもらった。ありがとう。礼を言うよ。」
藍染は笑って立ち去った。そして御神木の枝に、いつものように絵馬をくくり付けた。
ふと下の方の枝を見ると、「この世界が平和でありますように」という、まるで護廷十三隊を信じ切っていないかのような、浮世離れした、冗談のような願いの書かれた絵馬が目に入った。終わりに「未央」と名が記してあった。
あの娘の名か、と藍染は思ったが、ただそれだけのことだった。
「手の平を合わせる思いは、みな切に美しいものだと、ずっと思っておりました。でもそんな願いは多くはない。私の絶望は貴方から始まりました。」
この少女は、いつから自分を「視て」いたのか。
娘は藍染を、鈍器で力無く殴るような、鋭さのない、暗い重い声で引き止めた。藍染は何ら痛みをおぼえることもない、といった顔で見ていた。
「祈りましょう、力の限り。全ての美しい祈りのみが叶いますように。この美しい世界を守るのが、託宣の本当の使い途です。」
娘は、金のために先見の力を使わされることに、嫌気が差していたのだろう。誰にも助けを求められない絶望の中、それでも娘は、藍染に助けを求めることもしないし、ましてや藍染の策謀から世界を守ろうとしている。
娘の声に力はなかったが、刺すような目で藍染を見ていた。その恨みのこもった視線のうちに、ふと憐れみのような、羨望のような、複雑なものを読み取り、藍染はおのが敗北を悟った。しかしそれは本当に純粋な敗北なのか。藍染は娘に問おうと思わなかった。
「生きて下さい。貴方がいないと、世界は終わる。」
当たり前じゃないか。
だから、何だというんだ。
藍染は大逆の道から引き返そうと思わなかった。
「何も払っていないのに、良いことを教えてもらった。ありがとう。礼を言うよ。」
藍染は笑って立ち去った。そして御神木の枝に、いつものように絵馬をくくり付けた。
ふと下の方の枝を見ると、「この世界が平和でありますように」という、まるで護廷十三隊を信じ切っていないかのような、浮世離れした、冗談のような願いの書かれた絵馬が目に入った。終わりに「未央」と名が記してあった。
あの娘の名か、と藍染は思ったが、ただそれだけのことだった。