準備〜バレンタインデー2023〜
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小一時間もせず、小夜子は再び目を覚ました。もう朝も遅いのではないか、藍染を朝食の場に向かわせる邪魔になっているのではないか、と気付き、彼女は重い体を起こした。女官根性である。
「おはようございます。」
小夜子はようやく言葉を発した。藍染はまだ隣で彼女に寄り添っていて、心配げに彼女を見た。
「藍染様、今は何刻でしょうか?ご朝食に遅れます。私のせいで申し訳ございません。」
小夜子は体の痛みに耐えて頭を下げると、藍染が彼女の体に腕を回してきて、また横にならせて抱き締めた。
「君に一つ大切な事を伝えるのを忘れていた。」
藍染は真剣な顔で小夜子と向き合って、彼女の目をじっと見つめた。何事だろうか、と小夜子が不安な顔でいると、突然、
「愛している。」
と告げられた。驚きや照れや嬉しさより、「は?」という気持ちに小夜子はなった。何故今?、と戸惑い、肩が挙動不審のように小さく左右に揺れた。
「愛している。」
藍染はまた同じことを言った。この言葉も、女官に聞かれているのだろう。藍染の身を守るためとはいえ、彼はこんな生活が嫌にならないのか、と小夜子は困惑した気持ちになった。
「そんな顔を出来た義理ではないと思うけどね。」
藍染は突然、ふざけた口調になった。
「君は初めてだったんだろう。痛がっていたのに、『愛している』と言う度に、その言葉だけで何度もいっていたようだから、きちんと聞いていなかったんじゃないかと思って。言い損だったかな。」
藍染は余裕たっぷりにそう言った。小夜子は途中からわあわあと言って、藍染の口をふさごうとしたが、強く抱き締められて、手も足も出なかった。
「騒がしい皇妃様だ。」
藍染はおかしそうに笑った。
「どうせみんな聞かれているんだから、今更だよ。」
藍染は小夜子の体を再び抱き締め直すと、耳元で
「愛している。」
と再び囁いた。その腰にくる声は、真剣で、小夜子は思わず黙ってしまった。
(嗚呼、このひとのことが好きだ。私も好き。)
小夜子は胸の中だけで思った。
「いつか君の口からも聞いてみたいものだ。」
藍染は自分を想ってくれている、小夜子はようやく確信した。きっと今の藍染は、いつもの何を考えているのか分からない冷静な藍染ではなく、素顔の藍染だろう、と初めて思えた。
「藍染様…。」
小夜子は自分も想いを伝えようとしたが、どうしても出来なかった。
「体まで交わしたのに無理かい?もっとも君は何年も待ったんだろうから、私も何年でも待とう。」
藍染は目を細めて笑うと、一度だけ、と言って、小夜子に口付けた。
「続きはまた今夜。いいね。」
藍染はそう言って一人で決めると、手を二回打った。女官達がぞろぞろと入ってきて、朝の挨拶をし、あれよあれよという間に着換えをさせられた。小夜子は髪を結い上げられ、おしろいをはたかれ、眉を引かれ、紅を差され、幾重にも幾重にもパニエを履かせられ、ヒールの高い靴を履かせられ、重たい程チュールのひだをとり、目が眩む程宝石を縫い付けた白いドレスを着させられ、これまた頭にも耳にも首にも腕にも指にも、重たい程のアクセサリーを身に着けさせられた。動きにくいことこの上ない。こんなことが毎日続くのか、と滅入っていると、小夜子の着替えを満足そうに見つめていた藍染が、彼女に向けて手を差し伸べた。
「つかまって。」
藍染はエスコートをしようというのである。
(これが皇妃…。)
小夜子は黙ってその手に自らの手を載せた。
「上出来だ。」
藍染が不敵に笑った。
藍染に支えられ、体の痛みに耐えながら、小夜子は女官達にお礼のお辞儀をした。
「ご立派です。」
女官長と思われる、年かさの女官が満足げに応えた。
うまくやっていけそうだ、と藍染と小夜子はお互いに思った。
「中原 小夜子」という木の勤務札が、女官の控室から外された。
「おはようございます。」
小夜子はようやく言葉を発した。藍染はまだ隣で彼女に寄り添っていて、心配げに彼女を見た。
「藍染様、今は何刻でしょうか?ご朝食に遅れます。私のせいで申し訳ございません。」
小夜子は体の痛みに耐えて頭を下げると、藍染が彼女の体に腕を回してきて、また横にならせて抱き締めた。
「君に一つ大切な事を伝えるのを忘れていた。」
藍染は真剣な顔で小夜子と向き合って、彼女の目をじっと見つめた。何事だろうか、と小夜子が不安な顔でいると、突然、
「愛している。」
と告げられた。驚きや照れや嬉しさより、「は?」という気持ちに小夜子はなった。何故今?、と戸惑い、肩が挙動不審のように小さく左右に揺れた。
「愛している。」
藍染はまた同じことを言った。この言葉も、女官に聞かれているのだろう。藍染の身を守るためとはいえ、彼はこんな生活が嫌にならないのか、と小夜子は困惑した気持ちになった。
「そんな顔を出来た義理ではないと思うけどね。」
藍染は突然、ふざけた口調になった。
「君は初めてだったんだろう。痛がっていたのに、『愛している』と言う度に、その言葉だけで何度もいっていたようだから、きちんと聞いていなかったんじゃないかと思って。言い損だったかな。」
藍染は余裕たっぷりにそう言った。小夜子は途中からわあわあと言って、藍染の口をふさごうとしたが、強く抱き締められて、手も足も出なかった。
「騒がしい皇妃様だ。」
藍染はおかしそうに笑った。
「どうせみんな聞かれているんだから、今更だよ。」
藍染は小夜子の体を再び抱き締め直すと、耳元で
「愛している。」
と再び囁いた。その腰にくる声は、真剣で、小夜子は思わず黙ってしまった。
(嗚呼、このひとのことが好きだ。私も好き。)
小夜子は胸の中だけで思った。
「いつか君の口からも聞いてみたいものだ。」
藍染は自分を想ってくれている、小夜子はようやく確信した。きっと今の藍染は、いつもの何を考えているのか分からない冷静な藍染ではなく、素顔の藍染だろう、と初めて思えた。
「藍染様…。」
小夜子は自分も想いを伝えようとしたが、どうしても出来なかった。
「体まで交わしたのに無理かい?もっとも君は何年も待ったんだろうから、私も何年でも待とう。」
藍染は目を細めて笑うと、一度だけ、と言って、小夜子に口付けた。
「続きはまた今夜。いいね。」
藍染はそう言って一人で決めると、手を二回打った。女官達がぞろぞろと入ってきて、朝の挨拶をし、あれよあれよという間に着換えをさせられた。小夜子は髪を結い上げられ、おしろいをはたかれ、眉を引かれ、紅を差され、幾重にも幾重にもパニエを履かせられ、ヒールの高い靴を履かせられ、重たい程チュールのひだをとり、目が眩む程宝石を縫い付けた白いドレスを着させられ、これまた頭にも耳にも首にも腕にも指にも、重たい程のアクセサリーを身に着けさせられた。動きにくいことこの上ない。こんなことが毎日続くのか、と滅入っていると、小夜子の着替えを満足そうに見つめていた藍染が、彼女に向けて手を差し伸べた。
「つかまって。」
藍染はエスコートをしようというのである。
(これが皇妃…。)
小夜子は黙ってその手に自らの手を載せた。
「上出来だ。」
藍染が不敵に笑った。
藍染に支えられ、体の痛みに耐えながら、小夜子は女官達にお礼のお辞儀をした。
「ご立派です。」
女官長と思われる、年かさの女官が満足げに応えた。
うまくやっていけそうだ、と藍染と小夜子はお互いに思った。
「中原 小夜子」という木の勤務札が、女官の控室から外された。