本棚
XXXX/XX/XX
数日前、インペリオという都市で“夜明け”の面子の息抜きをしたんです。
ヴィンスとギルバートはともかくとして、表の仕事もこなさねばならぬ関係上、残り3人との意思疎通のしやすさは大事になってきますからね。
そしたら、最近どうもまともな人間の感性を楽しみつつあるらしいヴィンスが、とうとう境界が曖昧になったようでして。
次の仕事先に夜明けを連れて行って大丈夫か下見がしたい、と言い出したんです。
あの他人を己の検体かアンデッドとして使役するのに有用かどうかでしか見ていなかった、ヴィンスがですよ?
しかもそれを聞いて元々はまともな人間代表だったらしいギルバートが反対するわけも無く、あれよあれよという間に自然に夜明けと別れて依頼を受けた後、こっそり下見に行くことが確定しちゃったんですよ。
もう馬鹿としか言いようがないっていうか、なんでそこまで他人に気を使えるのかというか。
彼らが私たちの偽装工作に必要な証人であることは理解を示しているつもりですが、だからといってそこまで深く気を使ってやる必要も無いでしょうに。
どうせ冒険者なんてもの、元々は利害が一致するかどうかの間柄の筈。
まだ始まったばかりだとばかり思っていましたが、このパーティーでの冒険も案外早く終わるのかもしれませんね。
私は死霊術師としてめざましく鋭い貴方と戦いたかったのに。