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本棚

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陵焔から命からがら逃げだして、さてどれほどたっただろうか。
半年は間違いないが、あの日の記憶が定かじゃないせいで正確な日付まではよく解らん。
だというのに、帝になったというあの男からの追手は絶えることを知らず、いくら斬り捨てようとも沸いて出る始末だ。
そのうえ最近は奴らの物資を逃亡の糧にさえしているのだから我ながらなんと質が悪い事だろう。

………いい加減、この名を捨てるべきなのかもしれない。
逃亡の最中、時々出くわす死体を嬉々として持ち去っていくあの男の言ったように「復讐だけ」に重きを置くなら、今の俺は邪魔でしかないのだろうから。
とりあえずは、あそこに見える大きな町まではこの名と共に生きていようと思う。
あの町に着いたら、俺は思い出になるのだ。
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