あなたの好きなところを五十音
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「ボク、自分のこと好きじゃない子好きやねん」
この時の“自分”というのは、話している本人
市丸のことを指す、というのを忘れてはならない
「じゃー、私のこと大好きじゃないですか」
「せやね、凛のことは大好きやね」
「吉良副隊長よりも?」
「んー、イヅルとはまた違うタイプの好きや」
じゃあ、松本副隊長よりも?なんて
意気地なしの私は聞けやしない
「私は、市丸隊長のこと嫌いです」
「えぇー、なんでなん?」
「……隊長だから、ですね」
「あらま、そりゃずっと嫌われたままやね」
さらりと、私を縛り付けるその言葉
私は、一生市丸隊に所属することになる。
たとえそれが、嘘だとしても。
「ずっと、私の隊長なんですね」
「せやね、今までも移動の話とか出てきたんやけど
ぜーんぶ断ってしもうた」
「……なぜ」
「言うたやん、ボクは凛のこと大好きやから」
そう微笑みかける糸目の顔
狐が私を騙しに来ているのなんてわかっているし
本気になったら絶対に駄目。
なのに、いとも簡単に踊らされる自分が滑稽で仕方がない
「あ、松本副隊長」
「ほんまや、また隊長さんから逃げてるんやろか」
「そうかも知れませんね」
「相変わらずやなぁ、乱菊は」
愛おしそうに見つめる
私に向けられる笑みとは、全くの別物で
私の入り込める隙間なんて何も、ない。
市丸隊長の、そういうところが大嫌い。
私を手のひらで転がしておきながら
ブレない芯が、どうしても、ずるくて、羨ましくて
私にこんな感情を生んだ、市丸隊長が
大嫌いで、どうしようもなく、好き、なのだ
「市丸隊長は、松本副隊長を自分の副隊長にするつもりはなかったのですか?」
「……そないなことしたら、その隊潰れんで?」
書類が山積みになって、総隊長さんカンカンに怒ってまう〜と、よよよ、なんて泣いたふり。
「イヅルがいてるから、凛とこうやって堂々とサボれてるわけやから。イヅルは大切や」
「………そうです、か」
「もちろん、一緒にサボってくれる凛も大切や」
後付。
私なんで、どうと思いってないくせに。
私の機嫌なんか取らなくていいのに。
「じゃ、真面目に仕事しますね」
「なんでやぁ、ほら、干し柿あげるからもう少しここにおって、な?」
「市丸隊長のサボりの理由に使われるのはごめんです」
ふと、手を重ねてくる
あまりにも簡単に振り払える力なのに
じんじんと指先から熱を送り込まれて
足の筋肉が溶けてしまったのかと思うほど
力がはいらなくなる
「な?もう少しだけやから」
「………そういうところ、本当に嫌いです」
「ボクは、好きやって言うてるやん」
重ねられた手のひらに少し力が入る。
不意に市丸隊長の香りが近づいたのは
嘘か本当か
「ボクのこと嫌いな凛がだいすきやで」
この時の“自分”というのは、話している本人
市丸のことを指す、というのを忘れてはならない
「じゃー、私のこと大好きじゃないですか」
「せやね、凛のことは大好きやね」
「吉良副隊長よりも?」
「んー、イヅルとはまた違うタイプの好きや」
じゃあ、松本副隊長よりも?なんて
意気地なしの私は聞けやしない
「私は、市丸隊長のこと嫌いです」
「えぇー、なんでなん?」
「……隊長だから、ですね」
「あらま、そりゃずっと嫌われたままやね」
さらりと、私を縛り付けるその言葉
私は、一生市丸隊に所属することになる。
たとえそれが、嘘だとしても。
「ずっと、私の隊長なんですね」
「せやね、今までも移動の話とか出てきたんやけど
ぜーんぶ断ってしもうた」
「……なぜ」
「言うたやん、ボクは凛のこと大好きやから」
そう微笑みかける糸目の顔
狐が私を騙しに来ているのなんてわかっているし
本気になったら絶対に駄目。
なのに、いとも簡単に踊らされる自分が滑稽で仕方がない
「あ、松本副隊長」
「ほんまや、また隊長さんから逃げてるんやろか」
「そうかも知れませんね」
「相変わらずやなぁ、乱菊は」
愛おしそうに見つめる
私に向けられる笑みとは、全くの別物で
私の入り込める隙間なんて何も、ない。
市丸隊長の、そういうところが大嫌い。
私を手のひらで転がしておきながら
ブレない芯が、どうしても、ずるくて、羨ましくて
私にこんな感情を生んだ、市丸隊長が
大嫌いで、どうしようもなく、好き、なのだ
「市丸隊長は、松本副隊長を自分の副隊長にするつもりはなかったのですか?」
「……そないなことしたら、その隊潰れんで?」
書類が山積みになって、総隊長さんカンカンに怒ってまう〜と、よよよ、なんて泣いたふり。
「イヅルがいてるから、凛とこうやって堂々とサボれてるわけやから。イヅルは大切や」
「………そうです、か」
「もちろん、一緒にサボってくれる凛も大切や」
後付。
私なんで、どうと思いってないくせに。
私の機嫌なんか取らなくていいのに。
「じゃ、真面目に仕事しますね」
「なんでやぁ、ほら、干し柿あげるからもう少しここにおって、な?」
「市丸隊長のサボりの理由に使われるのはごめんです」
ふと、手を重ねてくる
あまりにも簡単に振り払える力なのに
じんじんと指先から熱を送り込まれて
足の筋肉が溶けてしまったのかと思うほど
力がはいらなくなる
「な?もう少しだけやから」
「………そういうところ、本当に嫌いです」
「ボクは、好きやって言うてるやん」
重ねられた手のひらに少し力が入る。
不意に市丸隊長の香りが近づいたのは
嘘か本当か
「ボクのこと嫌いな凛がだいすきやで」