あなたの好きなところを五十音
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「はぁ………また、兄か」
「すみません……」
はい、私は絶賛呆れられています
今回の怒られている理由は、来客用の茶碗を盛大に割りました。
来客の前で、おいし〜い緑茶が入ったお茶を
しかも、まぁ、その来客というのが
「大丈夫かい?怪我してない?」
「……申し訳ございません、総隊長」
「僕は平気だよ、」
滅多に隊舎に来ない京楽総隊長がお見えになり
緊張がもう、すごくて。
本当なら銀九席あたりがお茶出しを素敵に行ってくださるのに、生憎非番。
致し方なしに、暇な私が出したのだけども
このザマとなった
「緊張、しちゃいました」
「ボクに?いいのに〜」
「………」
視線が痛い。
割れた茶碗を触ろうとしたが、そっと京楽総隊長に止められる
「手で触るとケガをしてしまうよ」
「あっ、すみません!!お足元気をつけててくださいませ!!」
濡れた床、割れた茶碗。
片付けねば!とそそくさと給湯室へももどり
床拭きとほうきの準備。
ひとまず、それが終わらないと新しいお茶の用意はむずかしい。
多分、また失態を犯してしまう。
「今のが、小鳥遊凛ちゃんかな?」
「………あぁ、そうだ」
「今回の現世への長期任務にどうかな?」
「兄の目は節穴か」
「もちろん、一人じゃないさ。ほかの隊の子たちと5人ぐらいで組んで、1年から3年ぐらいなんだけど」
「やつはまだ早い、他のもののほうがいいだろう」
「若いうちに色々経験させておくといいって思ったんだけど」
「それは一理あるが、まだ、その時ではない」
用意できたほうきと床拭きを持って再度
2人の待つ部屋に戻るが、何やら話が、重い
「小鳥遊は出さぬ」
その言葉がやけに、力強くって
嬉しかって、幸せ。
ミスが多い私だけど、朽木隊長の側にいていいんだって
そりゃ、現世に送られて任務を全うするのが本来の死神のあり方、なんだろうけど……
「んもぉ、そんな怖い顔しないでよ〜?
凛ちゃんが怖がって部屋に入れていないよ」
「………入れ」
ぎゅ、と持っていたほうきを握りしめ
もう一度、2人のいる部屋に入る
「失礼、します」
「どうぞ〜」
部屋に入り、京楽総隊長の足元でこぼれたまんまの
緑茶を拭いて、ほうきで散らばった茶碗を片づける
「凛ちゃんは、六番隊が好きかい?」
「大好きです」
「どんなところが好きなんだい?」
「どんなところと言われると、なかなかまとめるのが難しいのですけど」
「じゃあ、質問変えようかな。朽木隊長のことは好きかい?」
「はい!大好きです!」
そう答えると、京楽総隊長は嬉しそうに笑っていた
なにか間違えたかと思い、朽木隊長に視線を合わせると、すこし目を見開いていたようだが
一つ咳払いをして、目を細めて微笑んだ
「大好きなら、あきらめようかな」
「そうしてくれ」
「じゃぁ、ボクは帰るかな」
京楽総隊長は立ち上がり、私の横を通り過ぎていく。
残されたのは私と朽木隊長。
「すみません、お茶の一つもうまくお出しできなくて」
「茶を出すのもの用でもない、ということだ」
まさかのお咎めなし。
むしろ、割れた茶碗を朽木隊長がそっとすくい上げた
ぎょっとして、ちりとりを隊長の方に向けた
「ケガしてしまいます。こちらに」
「そうだな、」
かちゃり、と破片同士が重なる音
「来客用の茶碗、割ってしまって申し訳ございません」
「安物だ、もとより作りも弱かろう」
朽木隊長は、気にする名と
すごく遠回しに言ってくださっている。
言葉一つ一つが強くて綺麗で遠回りで伝えてくるから
きっと、朽木隊長って怖い人と思うが多いけど
「どんな相手にも緊張しないよう最高級の茶碗を手配しよう」
「え、」
「そうしたら、割ることはないだろう」
だけど、今みたいに冗談言ってくださったりするし
顔を見ると少しだけ楽しそうに笑ってくださる
「うぅ、朽木隊長の意地悪。もう、お茶汲み恐怖症です……!」
「ならば、自身の湯呑みから慣れればよい」
「……まった、怖いことをおっしゃいますね!」
高圧的な態度言動の中にも
隠されている優しさを知っているから、私は
朽木隊長が大好き。なのです。
後日、六番隊の給湯室には
金に縁取られた来客用の茶碗が6点と
私の机の上に、桜の柄が施された湯呑みが置いてあったのは、また、別話。
(え、これ………)
(自分の湯呑みから慣れてゆけ)
(冗談じゃなかった…!)