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きみが愛しかった

好きだった人の結婚式。親友だからとぜひ来て欲しいなんて言われて嫌だなんて言えない。もちろん行くよ、おめでとうなんて言いたくないのにこの口は嘘ばかりでこの子の事を喜ばせたかった。

結婚式当日、1番に見せたかったんだと太陽のような笑顔で迎えてくれた。

あぁ、なんて綺麗なんだろうと思うのと同時に複雑な気持ちだった。
結婚なんてしなけりゃいいのに、って。酷い奴だと自分を呪った。
この子にとって今が一番の晴れ舞台なのに、自分にとっては一番最悪の日だった。
隣に相手が来た時、現実に嫌気がした。もう、好きでいてはいけないんだと。

そもそも、実るはずの無い恋だった。
もう終わったんだ。いや最初から無かった事にしよう。


「おめでとう、」
「ありがとう、また後でね」



二人で歩いていく背中を見送って自分も反対方向に歩いていく。



耐えに耐えた涙が零れて、手で顔を覆った。



「俺はお前が...、」


遠くから聞き覚えのある声で振り向いてしまった。



「ヒョンジナーー、」



こんな顔見せたくなかったのに、声に反応してしまった。
泣いてる顔を見て、駆け寄ってくる。
新婦にちょっと待っててなんて言葉をかけたんだろう、俺の方に走ってきた。




「ヒョンジナ、...どうしたの?」



心配そうに言うもんだから、嬉しいからだよなんてまた嘘をついた。
すると俺を抱きしめて、



「僕がずっと大好きなヒョンジニ、ありがとう」



そう言って懐に入ってくる。
"親友"としてのハグ。背中に手を回すと、最後になってしまうであろう彼の香りにまた切なくなった。



「俺も、...大好きだよ」




伝えたけど届かない気持ちを届け、彼を離した。

もう二度と、触れることのない体温と優しい香りを想い出にしまった。







きみを愛していたんだ



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