2つは欲張り
9月14日。
また1つ歳をとった。
メンバーからは、Happybirthday!!!とお祝いの言葉をもらってプレゼントも貰って、とても気分のいい日。
宿舎でボーッとしていると、リノヒョンが僕の名前を呼ぶ。
「ハナ〜」
何?と返せば、暇だから映画見ようとの事。
もちろん季節関係なくホラー映画。
僕とリノヒョンは大のホラー映画好き。
「暇だしいいよ〜何見んの?」
「うーん...今日はお前が誕生日だからお前が決めていいよ」
「うんそれは投げやりすぎない?誕生日っていうことを使おうとしないでよリノヒョン。めんどくさいだけでしょ探すの」
「...遠慮すんなよ」
「違う違うそうじゃないって」
2人でこういう珍劇をしながら、手元と目線は自分のスマホ。何かいいホラー映画が無いか探していた。
リノヒョンが、あ"ーー!!と大きい声を出すのでいいのが見つかったのかと思いきや全然違った。
「洗濯物終わった」
「ねぇ反応の仕方がエグくない?」
「ちょっと洗濯物干してくるから決めてて」
「結局僕じゃんか!!」
もうこうなったら諦めるしかない。
自分でホラー映画を探し始めた。
検索してみると結構な量の口コミをタップしてはスクロールを繰り返し、やっとのおもいで面白そうなのを見つける。
まだ見た事が無くて、結構怖そうなやつだった。
ストーリーもなかなかにどんでん返しがありそうだ。リノヒョンも気に入るだろうと、テレビをつけて検索すれば探してたはずのものがあった。
「ヒョーン!いいのあったからこれにするね」
「おけおけ〜」
せっせと洗濯物を終わらせて、ついでにアイスアメリカーノも2つ作っていた。
「僕の分も作ってくれてんの?」
「違うよ、俺が2つ飲むの」
「...おかわりすればいい話では?」
「はいはいこれはお前の分」
「最初からそれでいいのに...」
リノヒョンのツンデレぶりには叶わない。
だとしても、嫌々言いながらこうやって気を使ってくれるのもヒョンの良いところ。
リノヒョンはそういう人。
「あ、そういや飴食べたくて買ってあるんだった」
「飴?」
「うん、今持ってくる」
「ん」
台所の棚を漁って、見つけた大量の飴。
なんとなく食べたくて買ったのはいいが数がえげつなかった。
1人では食べきれないのでリノヒョンにも手伝って貰おうと取っておいたものだ。
「ヒョン、好きなのどうぞ」
袋を差し出せば、少し考えて答える。
「...2つでもいい?」
「たくさんあるから何個でもいいよ」
するとリノヒョンは飴をひとつ取って、
ちゅ。
「それと、これね」
脳の機能がストップする。
いや、何が起きたのか分からなかった。
「さ、映画見よ」
何事も無かったかのように、飴を口に含んでテレビ画面に集中するヒョン。
(あれなんか今...)
僕はホラー映画を見たかったけど
その後の事は全く覚えてなくて
ホラー映画より、ヒョンの事ばかり気にしていた。
今年の僕の誕生日は、
あまりにも唐突で、忘れたくても忘れられない相当ビッグイベントでした。
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