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ハルジオンが咲く頃に



9月15日。今日は僕の誕生日だ。
15日に日が変わる夜中に、みんなでたくさん食べた。
たこ焼き、カニ、...その他にも色んなものを食べて、久々の夜食にとても気分も良かった。
朝になれば、メンバーから"Happybirthday"と声をかけられてイエニからはパーカーを朝早くに貰った。



「ヨンボギヒョン!誕生日おめでとう〜!」
「イエナ〜♡ありがとう〜!これからの季節めっちゃ使うからすごく嬉しいよ!ありがと〜♡」


感謝の気持ちをと、めいいっぱいのハグをする。
いつもなら、やめて〜と言わんばかりの顔をするが今日は僕が誕生日だからなのか素直にハグされている。



「誕生日はいいね〜イエニが嫌がらないから」
「きょ、今日だけ特別ですーっ」
「ふふふっ、可愛いねぇ〜イエニ〜♡」



やっぱりマンネは可愛いのだ。
毎日こうやってウリウリしてあげたいが、イエニが嫌がるので今日だけ念入りにやっておこう。
う〜、と唸りながらも素直になっているイエニと僕を見ているメンバーと目が合う。



「ヒョンジナ〜?どうしたの〜?」
「え、あ、...ううん、何でもない」



そう言って、自分の部屋に戻ってしまった。



「...僕なんかしたかな?」
「大丈夫ですよ、きっとなんでもないです」
「なんで分かるの?」
「うーん、...なんとなくです」



にっこりと目を細めて笑うイエニ。
もう充分イエニを堪能したので離してあげれば、わぁ〜と言って逃げていった。
その姿を見送って、少し気になるヒョンジンの元へ行くことにした。



ヒョンジン達が寝ている部屋の前まで行くと、タイミング良くヒョンジンが出てくるとこだった。


「「あ。」」



声が揃う。
ヒョンジンは手元に大きめの木枠のキャンバスを持っていた。
ふと見た感じだともう色が塗ってあり、完成しているかのようだった。



「ヒョンジナ、さっきどうして______」



言い終える前に、ヒョンジンに遮られる。



「ヨ、ヨンボガ!!」



目がキョロキョロと動いて、耳が赤くなっていた。
落ち着かない様子がいかにも分かって、どうしたんだろうと心配になる。
熱でもあるのかと、ヒョンジンのおでこに手をやろうとしたところで意を決したのかまた遮るように緊張したような口調で、ヒョンジンは言う。


「ぁ...あの、さ...今日、お前...誕生日じゃん...」
「う、うん...そうだね」


ぎこちない会話の後、ヒョンジンは手元にある大きめのキャンバスを目の前に持ってきた。



「だから、さ...これ...受け取ってくれる、かな?」



その絵を見た瞬間、心臓がギュッとなった。
あぁ。この絵はあの時の写真。
僕とヒョンジンが小さな白い花を持っている写真だった。
僕に持たせて、妖精みたい、と言って写真まで撮ってくれた小さな白くて可愛らしい花。



「ヒョンジナ...これを僕にくれるの?」
「嫌じゃなかったらいいんだけど」


目線をずらして言うヒョンジン。




「嫌なわけないじゃん...バカだなぁ」



嬉しくって嬉しすぎて、ヒョンジンを思いっきりギュッと抱きしめた。
僕のためにこれを描いてくれたことも、この写真を選んでくれたことも、世界に一つしかない大切なプレゼントを嫌がるわけない。



「ヒョンジナ...ほんとに嬉しい、ありがとうっ」
「ほんとに...?」
「もちろんだよ!僕のために描いてくれたんでしょ?」
「そ、そりゃもちろん!...お前の幸せそうな顔が見たくって」
「すごく、...すごく幸せだよヒョンジナ」


泣かないようにしてたけど、鼻の奥がツーンと痛くなって僕の目から溢れ出しそうになっていた。
ヒョンジンも僕の肩にもたれるようにして、腕を背中に回してくれた。



「俺も...お前にたくさん助けられたから...」



少しだけ声が震えていた。
あぁ。きっと泣きそうになってるな、とそっと頭を撫でてあげた。


「僕こそ、たくさん助けて貰ってるよ...」


僕達は抱きしめ合っていた。
お互いの涙が落ち着くまで、少しの間。



「ねぇ!これ飾ってもいい?!」
「え?!飾るの?!そんな飾るほどでも...」
「もう僕のだから、僕が決める!飾る!」
「...なんか、お前の幸せそうな顔見てたら俺の方がプレゼント貰ったみたいに幸せだよ」


とろけるような優しく微笑むヒョンジンに、僕もにっこりと返す。



「ほんっとに嬉しいよ!僕幸せだ〜♡」





ヒョンジンのくれた"僕達の絵"をそっと抱きしめた。








ねぇ、ヒョンジナ。
僕がこれ以上に愛してしまったらどうする?
もう充分過ぎるほど愛してるけど、こんなに愛のこもったプレゼントを貰ったらさ、もっと好きになっちゃうよ。










「ねぇ、ヒョンジナ」

「んー、なに?」






振り向いたのと同時に、頬を手で挟む。







「好きになってもいい?」








触れるか触れないか分からないくらいのキスをヒョンジンの唇にそっとした。










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