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誕生日【荒銀淋】


ーーリンにあげたいもの...リンに...


「ん?お嬢?どないしたん?」

「甲姫!」

「ふーん?
さてはまたおリンのことか?」

甲姫は随分面白そうに笑って見つめてくる


「なんで!?」

「だって最近お嬢おリンのことばーっかり!
今も顔真っ赤っかやで?」


「な!だって...」

「まあ恋する乙女はみんなそんなもんよ!
さてさて、仕事するかなあ!」


腕捲りする甲姫。
それをみて私は

「あ!料理!」

「へ?」


ーーあ、でも私...お好み焼き前にしたし...


「お嬢?」

「何でもない!外行ってくるね!」

「はいよー。
暗くなる前に帰っといでやー?」

「うん、ありがとう!」


私も甲姫に見送られる形で台所、
そしてみよしのから出た。


ーーリンに、プレゼント。
リンに、プレゼント。
リンに...。




町をゆっくり見回る。
まだ昼になったばかりだ。
日は高いし、時間もまだまだある。



ーーだけどせっかくの誕生日だし、
何か私がしてあげられるようなことを...



「いかがですかー?」


いつもは行かない少し離れた場所まできた。
こちらの通りも賑やかで
目新しいものがたくさんあった。

でも、


ーー私があげたいんだよね...。
うーん...。



なかなかいいものが見つからない。
それ以前に、
町に売っているものを買う気になれなかった。



ーー私がリンに贈りたいもの。
何か、何かないかな?




「いかがですかー?」

「あ!それだ!!」


  
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