このサイトは1ヶ月 (30日) 以上ログインされていません。 サイト管理者の方はこちらからログインすると、この広告を消すことができます。

誕生日【荒銀淋】



「リンの誕生日...?」


スケさんが不思議そうな顔で尋ねた。
私とスケさん、カクさん、
そして旦那と一緒にみよしのの台所で
こっそりと密談していた。



「うん!そうなの誕生日!
みんな誕生日を祝う
機会がなかったみたいだから
調べるの苦労したんだけど」


「それを皆で祝おうと言うことですか?」


「そうなのカクさん!
淋はカクさんのこと尊敬してるし
何して祝えばいいか
一緒に考えてほしくって!」


「......しかしなぜこんな場所で...」


旦那がゆっくりと辺りを見回す。
台所の奥の隅で四人で小さくうずくまっている。



「だって隠れる場所ないんだもん」


「だったら団子屋でも...」

「あ!だめ!」

「うわっ!」


スケさんが立ち上がりそうになるのを
私は思いきり引っ張り下げる。
バランスを崩して再び座り込むスケさん。


「ケンスケ!
お前は姫に協力しようと思わないのか!」


「いや、俺だって祝うのには賛成だぜ?
でも何もこんな場所で」


「団子屋にわざわざ集まっちゃ
何話してるか聞かれちゃうかもしれないし
リン鋭いから勘づかれちゃうかもって」


「......わかりました。
では、どんな誕生日にするか...」


旦那は腕を組んで考える。
スケさんも場所については
許してくれたみたい。
やれやれ...と言いながら楽しそうだ。


「そうですね......。
姫、その誕生日とやらですが...
姫の時代ではどのような祭りを?」


「ま、祭ってほど豪華ではないんだけど...
まあ、ケーキは食べるかな?」

「けぇき?」


スケさんもカクさんも旦那も
みんな揃って豆鉄砲でも受けたように
口を開けてポカンとしている。


「ああ!えーと、ケーキは...
洋菓子?そうだなあ...
あ!カステラの豪華版みたいな!」

「カステーラの、豪華版...」



旦那はさっきより
深く考え込んでしまったみたいだ。
腕は組み直し、
眉間にはシワも増えてしまった。


「密、作れそうか?」

「そうですね...どんな形なのか...」

「......ここはセイジに
聞いたほうが早そうだな。

よし!そうと決まれば行くか!」



スケさんは次こそ立ち上がった。
1/6ページ
スキ