第五夜
夢小説設定
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「.....ハァハァ..。」
「なんだよ、抵抗しないのか?」
しないんじゃない、出来ないんだと
座り込んではじめて知った。
思うように動かない手足は小刻みに震えて
とうとう体を起こし続けることもできずに
スバルくんに倒れこんだ。
「お前...んッ....っ...ん...ッハァ」
溢れた血をなめとられて
再び牙が突き刺さる。
何とも表現しがたい痛みと共に染み渡る快楽。
さっきまで立って走っていた自分の体が
まるで魔法でもかかったように感じられる現状。
亀ほどの速度でしか動かず
痛みと疲労に耐えかねて
手を持ち上げることすらできない。
逃げられないことを悟って
スバルくんの牙に翻弄されかける。
ーーここで理性まで手放してしまえば
もう、
それだけは...
「誰だ!」
突然廃屋の中から飛んできた声。
驚きのあまり頭が真っ白になって目を丸める。
「フン、気付いたか。」
スバルくんはまたニヤリと笑うと
立ち上がって私を担ぐ。
「な、に!?」
「うっぜ、静かにしろ!
暴れんなぶっ殺されてえのか!」
「っ.....。」
死角で見えなかったけど
近くの木が一本倒れたのは
恐らくスバルくんが振りかざした拳のせいだろう。
「こっちにくるな...このまま帰るぞ。」
廃屋から何者かが出てくるのを見て、
スバルくんはさっきと真逆に走り出す。
屋敷の方向。
さっきと比べられないほどのスピード。
それを見て私の足に合わせてくれていたことがわかる。
担がれながら移動している私には、
スバルくんの行動に理解できないことが多くて
私は何度も尋ねそうになる。
しかしその質問の答えがうっすら頭に浮かぶと
どうしても口をつぐんでしまう。
あの廃屋は何?
あの中にいた人は?
思い付く答えには後ろめたさしかない。
声をかけて立ち止まるより、
早くあの場から連れ去ってほしかった。
抵抗できなかったからなんて、
言い訳は通用しない。
私とスバルくんは共犯者。
今はこうして担がれて彼から遠ざかるしかなかった。
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