第二夜
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「なぜ急に服をこんなに買い揃えたのですか?」
「そ、れは...」
ーー忘れてた...。
覚醒の話ですっかり頭から抜けてた。
本題はこっちだったのに!
「それに香水も......
こんな下賤な人間の作ったもので
貴女の血の匂いがかき消されるなど
許せるものではございませんね。」
「...」
ーーそうだった。
店を出てからすぐ会ったんだ。
香水つけられてない。
けど、大丈夫かな?気づかれてなさそう?
前はシュウさんの匂いがしただけで
酷くされたのに
今日は優しいし、やっぱりバレてない!
「か、買い物だって
立派なストレス発散に!」
「ほう...貴女は私の隣にいることが
ストレスだと?」
「い、いえそういうことではなくて!」
「.....時間の無駄です。
早く本当のことを言いなさい。」
「.............本当の、こと」
「私に嘘をついた罰は、
そのあと与えて差し上げます。」
もう鞭は飛んでこない。
寧ろレイジさんは床に座る私に目線を合わせ
優しい目でこちらを見ている。
「.......」
「この私をいつまで待たせるおつもりで?」
「あ......く、.......いや、でも....」
「はあ......。
ユイ、こちらを向きなさい。」
「はい?」
右頬をレイジさんの左手に包まれて
上を向かされる。
膝折になったレイジさんの顔が。
昨日のデジャヴだと思いながら
今度は目を閉じてそれを待った。
「......ん..........っ」
「.............っ...。」
幸せで甘くとろけそうなキス。
唇から離れて息をつくレイジさんが
いつも以上に綺麗で格好よくて
思わずもう一度と言いたくなるほどに。
「さあ、言いなさい。」
柔らかい声色で彼は微笑む。
胸が痛くて苦しいのは、
罪悪感と幸せと...
たくさんの感情でせめぎあっているからか。
「レイジさんの部屋から、出たあと、」
「はい」
ーー本当の、こと、
本当の....
アヤトくんに捕まって、
ライトくんも来て、
そのあと来たシュウさんに........
..........血を
..........................吸われて、
「..........さ、寒くなって!」
「..........」
「もう、冬だなーって!
冬服も揃えなきゃと思って!
で、その、久々に日光も浴びたいし
買い物にでも……って!」
レイジさんの表情は変わらない。
というか、一度真顔になってから
固まってしまったような......
ーーでも、本当のことなんて絶対に言えない。
言ってもバレても、
本当に殺されちゃいそう。
また、前みたいに怒ったレイジさんなんて見たくない。
怖くて怖くて考えたくもない
「それがあなたの答えですか...?」
「.........ごめんなさい。」
ーー言えない。ごめんなさい。
「私は全て、知っていますがね。」
「...............」
身体が途端に硬直する。
貼りつけた作り笑いが一気に剥がれ
コーデリアが暴れていた時くらい
心臓が痛いほど高鳴る。
ーーどういうこと?
.......知ってる?
見てたの?
レイジさんが、シュウさんに
血を吸われる私を......見てた
「何を、ですか?」
「ハハハ!
それをわざわざ聞く必要があるのですか?」
「でも、でも!」
ーーなら、どうして
助けてくれなかったの?
「言い訳はよろしいです。
私はこれでも温厚な方だと
自負しているのですが、
...流石に今回は
抑えようがありませんね!!!!!」
「.......ッ!!!」
ーー痛い、なに、これ?
「ふふふ、腹が煮えくり返るとは
このことですね。
もういっそ殺してしまいましょうか。」
「レイジ、さん」
ナイフが私の腕を突き刺している。
拷問部屋に置かれていたものだ。
以前に私が磨かされたものでもある。
「黙りなさい!!!!!」
部屋中響き渡る怒声。
その声に震える器具達が
私には早く使ってくれと
叫んでいるように見えた。
ーー怖い怖い怖い怖い怖い怖い!
痛い、けどそれ以上に
もう、駄目なのかもしれない...。
「せっかく私はこうして
貴女の言い訳を聞いて差し上げる機会を
与えたというのに、
非常に不愉快ですね」
大きくないのに私の身体を
硬直させるには十分の声だ。
低音で澄んだいつもの声のはずなのに
私は金縛りにでも合うように
そこから動けなくなる。
「おや?
もう動くことも出来ないのですか?
腕にナイフを刺したまま...ふふふ
滑稽ですね
ですが貴女にはお似合いですよ!!!!」
「ッ!!!」
ナイフを勢いよく抜かれる。
血が出て私の身体が紅く染まった。
「おやおや、貧血だったのでしたね。
ふふ、このままでは本当に
死んでしまうかもしれませんね。」
「.......っ、レイジさん」
「黙れと、何度も言わせないでください。」
ーーレイジさん、レイジさん、
私は死ぬなら最後に
貴方に血を吸われて死にたい...
他の人に座れたままなんて…
「今更泣いたところで、
同情する価値もありませんね。
不愉快です。
いつも言っていますが、
貴女は私の物なのですよ。
ですから殺すも殺さないも私の勝手。
今貴女は私の気分で生き長らえているだけなのです。
だからこうして、
貴女の心臓にこの刃を突き立てることだって...」
胸に先程のナイフをあてがう。
冷たい切っ先と、私の血が胸につたう。
牙とは違うその感触に
私は哀しみを覚える。
ーーだめ、まだ、死にたくない。
こんな形で、別れたくない。
せめて..........
頭がぼんやりとしてきて
また真っ白になってくる。
貧血。
倒れそうなところを気力で保たせる。
「......。
死ぬのですか。」
「や....だ....」
「そうだ、後悔しなさい。
貴女が私を拒否する権利などなかった。
離れていいなど、
私は一言も言わなかった!!!
ふふ...
存分に苦しみなさい。」
「レ...イジ...さん」
ーー大好き。
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