夕
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涙が視界を滲ませて
喉が窮屈なほど上がってくるけど
嗚咽しながら名前を呼んだ
「………」
困った顔をしてるだろうか
涙で顔も見えないけど
それでも、そのほうがいいや
「稲川くん」
「……苗無」
「わ、たし……私!」
あれ?
あれ?あれ?
………抱きしめられてる
「ごめん………
ごめん苗無!」
「稲、川…く」
「俺…っ、ごめん……
今日本当はしたいこと
してやりたいことたくさん…
…………ごめん
今日だけじゃない
ずっと…ずっと……」
「わた、しもっ、ごめっなさ…」
嗚咽が酷くて言葉にならない
だけど初めて彼の口から
私に対しての言葉を聞けた
そんな気がした
考えてくれてた
独りよがりなんかじゃなかった
それがただ嬉しくて…
「あ…あの、女の人は…」
「………げ」
稲川くんは明らかに
嫌そうな声と表情をして
稲川くんの背後に立つ女性を
恐る恐る振り返った
私もそれに合わせて彼女を見る…と
「…………ぷっ!」
堪えられないかのように
腹を抱えて笑い出した
「ちょ、姉ちゃん!
くそ!あっちいけよもう!」
「だってあんた!ハハハハ
私と、私と帰ろって!
ハハハハハ!!」
姉…ちゃん!ああ!
以前話に聞いたことのある…
がさつで見せたくない姉……
「稲川くんの…お姉さん…」
「ごめん苗無、
俺渡したいもんあったんだけど
実は…………
家に忘れました!ごめん
だから、その、」
稲川くんはそこまで言うと
夕日のように真っ赤に染まって
そのまま固まってしまった
お姉さんはようやく
笑いを止められたようで
息を整えつつ耳を寄せて聞いている
「……ちょっと」
「わっ」
それに気付いてか
稲川くんから私に近付き
耳元で囁かれる
「今日また、会ってくれますか?」
顔も心も真っ赤になって
鼓動が痛いほど高まった
硬直する私の肩を2度優しく叩き
返事を求める稲川くん
近付いた距離のせいか
やけに緊張して息がつまる
声の代わりに激しく頭を振って答えると
私の頭上でにっこりと笑ってくれた
「よし、帰ろう!」
すっきりしたかのように
爽やかな笑顔とともに
背を向けた稲川くん
無意識のうち
何か期待していたのか
残念な気がしてしまったけれど
「え!?もうおしまい?いいの?」
「姉ちゃんは黙ってろ
また……連絡する、な」
再び夕日が私達を照らす
喉が窮屈なほど上がってくるけど
嗚咽しながら名前を呼んだ
「………」
困った顔をしてるだろうか
涙で顔も見えないけど
それでも、そのほうがいいや
「稲川くん」
「……苗無」
「わ、たし……私!」
あれ?
あれ?あれ?
………抱きしめられてる
「ごめん………
ごめん苗無!」
「稲、川…く」
「俺…っ、ごめん……
今日本当はしたいこと
してやりたいことたくさん…
…………ごめん
今日だけじゃない
ずっと…ずっと……」
「わた、しもっ、ごめっなさ…」
嗚咽が酷くて言葉にならない
だけど初めて彼の口から
私に対しての言葉を聞けた
そんな気がした
考えてくれてた
独りよがりなんかじゃなかった
それがただ嬉しくて…
「あ…あの、女の人は…」
「………げ」
稲川くんは明らかに
嫌そうな声と表情をして
稲川くんの背後に立つ女性を
恐る恐る振り返った
私もそれに合わせて彼女を見る…と
「…………ぷっ!」
堪えられないかのように
腹を抱えて笑い出した
「ちょ、姉ちゃん!
くそ!あっちいけよもう!」
「だってあんた!ハハハハ
私と、私と帰ろって!
ハハハハハ!!」
姉…ちゃん!ああ!
以前話に聞いたことのある…
がさつで見せたくない姉……
「稲川くんの…お姉さん…」
「ごめん苗無、
俺渡したいもんあったんだけど
実は…………
家に忘れました!ごめん
だから、その、」
稲川くんはそこまで言うと
夕日のように真っ赤に染まって
そのまま固まってしまった
お姉さんはようやく
笑いを止められたようで
息を整えつつ耳を寄せて聞いている
「……ちょっと」
「わっ」
それに気付いてか
稲川くんから私に近付き
耳元で囁かれる
「今日また、会ってくれますか?」
顔も心も真っ赤になって
鼓動が痛いほど高まった
硬直する私の肩を2度優しく叩き
返事を求める稲川くん
近付いた距離のせいか
やけに緊張して息がつまる
声の代わりに激しく頭を振って答えると
私の頭上でにっこりと笑ってくれた
「よし、帰ろう!」
すっきりしたかのように
爽やかな笑顔とともに
背を向けた稲川くん
無意識のうち
何か期待していたのか
残念な気がしてしまったけれど
「え!?もうおしまい?いいの?」
「姉ちゃんは黙ってろ
また……連絡する、な」
再び夕日が私達を照らす