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此処は時間を遡って魔界
「わし、明日から人間滅ぼす」
そう言ったのはヒルデの主、大魔王
「なんかさー、あいつらさー、ウザくない?
増えすぎってカンジでさー、見ててキモイんですけど
おっ 16れんさ」
大魔王はぷよ〇よをやりながら大爺に言う
「全部消しとんだ方がスカッとするよねー」
「ですが大魔王様、明日(あす)は冥竜王の結婚式が…」
大爺はメモ帳をパラパラとめくる
「じゃ、明後日!!明後日から絶対やる!!」
「明後日からは地獄チュパカブラ大捜索バスツアーです」
「えー 超多忙じゃん。わし」
「失礼します」
ヒルデがジュースを持って部屋の中に入ってきた
「あー じゃあ、もういいや。あいつにやらせよう。この前生まれたわしの息子
ヒルデ」
「はい」
「お前、あいつ人間界につれてってさー、んで適当な人間に育てさせながら滅ぼせ。なっ!!くそっ サタンつえー」
「──と、いうわけでございまして…」
ヒルデは飲んだコーヒーを机に置く
大魔王…
適当だなーぷよぷよ?
と、男鹿と古市は思った
古市は男鹿と霧雲の肩に手を置き、顔で"ガンバ!!"と伝えた
「ちょ…お前、この状況で逃げんのかよ」
「うん…てーか、帰れ
オレ関係ねーみたいだし」
「おぉいっ!!」
二人は言い争う
「くっ…冗談じゃねーぞ。何が魔王の親だ!!
ちょっとガキになつかれたくらいでふざけんなよ!!
知るか。そんなもん
オレ達はぜってーやらねーからなっ!!」
「つまり断ると…?」
「たりめーだ!!」
「あなたは?」
ヒルデは霧雲の方を向く
『うぇ!?
あ、えと…、魔王とイッショにいるのはうれしーし、まだアソビたいけど、ボクまだコドモだし…、いきなりオトーサンになれって言われても…』
「ほら、霧雲も嫌だってよ!とっとと持って帰(け)ーれや!!」
男鹿は勢いよく、机にベルゼバブを置いた
「そうですか…よかった…
では死んで下さい」
ニコッと微笑みながらヒルデは傘から刀を取り出した
男鹿は霧雲の手を掴み、古市の家から出た
古市も二人の後を追う
そして三人が家から出た瞬間古市の部屋が崩壊した
「おおいっ!!待てこらぁ 男鹿霧雲ちゃん!!
てめぇら、あれ絶対べんしょーさせるからなっ!!絶対だかんなぁ!!」
ヒルデは舌打ちして、三人を追い始めた
「うははははっ
何だこれ…何だこれ!?なんか笑えてきたぞ…」
古市は涙を流し鼻水を垂らし、冷汗がダラダラと出ている
「おちつけ古市。オレは大丈夫だ!!」
そう言う男鹿の脇にはしっかりとベルゼバブがいた
「何持ってきてんだそれぇぇぇっっ」
「ん?何って……ぬがっ!!」
『気付かなかったの!?』
「ぬがっじゃねーよ!!さっさとおいてけよ」
「いや…てゆーか、なんか離れねぇ……っっ」
男鹿はベルゼバブを引っ張るがベルゼバブはがっちりと男鹿のワイシャツを掴んでいた
「あきらめろ」
「『!!』」
「悪魔から逃げられるとでも思ってるのか?」
ヒルデは電柱の先端に乗り、剣を控えた
「うるせーっ!!一生そこでかっこつけてろ!!」
『バーカ』
「パンツ見えてますよー!!」
「─よかろう…」
口端を上げるヒルデ
しかし青筋が見えているので相当怒っているのがわかる
「アクババッ!!」
ヒルデが何かを呼ぶと、ヒルデの上を何かが通った
アクババと呼ばれたそれは真っ黒くて人間界には存在しない生き物だった
アクババが地面につくと、その振動で地面が揺れた
[グゲゲゲゲ]
「(あ…あくまやね…)グゲゲゲって言ってるもん」
そんな事を思っている古市の横を影が通った
『うりゃっ』
霧雲がアクババの顔に跳び蹴りをかました
「(相変わらず躊躇ねーな…!!)」
「何してんだ。行くぞ」
『いっくよー』
アクババが地面に叩き付けられているうちにアクババの横を通って逃げた
三人はヒルデから逃げ、近くに鉄塔がある広場まで来ていた
それを見たのがちょうど広場にいた不良達だった
三人は息を切らし、霧雲と男鹿は膝に手を乗せて休憩していた
「それで逃げたつもりか?」
「「『!!』」」
男鹿と霧雲の背後から聞こえたヒルデの声
そして男鹿には剣が突き付けられた
「…てめぇ、最初(ハナ)からこーするつもりだったのかよ」
「──……悪魔は契約にうるさくてな…
貴様らが断ると言ってくれてよかった…」
男鹿の頬に"赤い線"が出来た
そしてそこから一滴がベルゼバブの頬に垂れた
『!!』
霧雲はそれが見え目を見開く
そして俯き、肩を震わせた
それを見舞わせた不良達はヒルデに加勢しようと走ってきた
しかし、同時にベルゼバブから電撃が流れ出した
瞬く間に膨れあがり、仕舞いには電気が暴走をし出した
不良達は電撃にやられ飛んでいき、不良とヒルデは必死になって避けた
「ぼ…ぼっちゃま…ちょっ…坊ちゃま、だだをこねないで下さいまし!!」
「(だだ…!?)」
ヒルデはベルゼバブに近付き、電撃にやられてしまう
そして電気はいろいろな所に飛んでいき、電柱やフェンスも壊してしまった
「(───ってレベルじゃないぞ、これ…!!
はっ!!そーいや男鹿と霧雲ちゃんは…!?)」
古市は電気の中心を見る
「(気絶してるー──!!ていうか最悪死んでる…!?
──てか霧雲ちゃん…、泣いてんだけど!!え、電気平気なの!?)」
たまたま近くを通った学生が騒いでいる
「ちょっとあんた、なんとかならないんですか、これ!!このままじゃマジでやばいんじゃ…」
古市は放心状態のヒルデに聞く
「ムリです
ああなってしまっては…もう坊ちゃまを止める事は…」
「そ…そんな
ムリって…じゃあ、どーすんですか、あれ!!」
「だからどーしよーもないと言っておろーが!!
…こんな…こんな大泣き、止められるのは大魔王様くらいしか…」
二人が言い争っていた時、フッと電気が消えた
古市とヒルデが見ると男鹿は起きていて、ベルゼバブと霧雲の頭に手を置いている
「男が…ギャアギャア泣くんじゃねぇ
ナメられちまうぞ」
ベルゼバブは泣き止み男鹿をジッと見つめた
「ダ」
「よーし、じゃあもう泣くなよ」
男鹿はまだぐずっている霧雲の手を引いて歩き出した
そんなバカな…
私にも止められなかった大泣きをたったあれだけで……
「おら、もう泣くんじゃねーよ」
『だってー…』
──いや
驚くべきはそこじゃない──…
そもそも魔王の親とは坊ちゃまが人間界でその膨大な魔力を引き出す為のいわば触媒の様なもの
「こんくれー、なんでもねーよ」
『辰巳はっ、ムチャするか、らっ…、あてになんない、…もん』
「少しは信じろや」
──つまり
いくら"かんしゃく"とはいえ、これ程の力を引き出したのは──…
まぎれもなく
この二人の親としての資質────…!!
「アー」
はいはいして近付いてくるベルゼバブ
「おいおい。もうついてくんじゃねーよ」
『もう、バイバイ、だよ…』
目を擦りながら鼻水を啜る霧雲
その時、パラパラと細かいものが降って来た
「お…おいっ
あれっ…」
見ていた学生が指差した方向には今にもベルゼバブの方に倒れてきそうな鉄塔だった
男鹿は気付いてすぐに走ったが、それよりも早くに霧雲がベルゼバブを抱いていた
しかし重力に逆らわない鉄塔に霧雲は逃げる事は出来ずにしゃがみ込んだ
男鹿は慌てて駆け寄り霧雲を腕の中にいれた
その瞬間、三人に何かが押し寄せてきた
三人から光が点り、次の瞬間鉄塔が消えていた
『なに、これ……
って、辰巳!!辰巳っ!?』
そして男鹿だけ気絶していた
更新09.12.20