バブ8
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『ふー──
やっとしずかになったネ』
霧雲は清々しい顔で汗を拭く
ベル坊は楽しそうに笑っていた
「ウィー─ッ」
『ベル坊もゲンキになったー!』
「霧雲、来い」
霧雲は男鹿の下へと走る
『なに?』
首を傾げる霧雲
顔からポタッと血が垂れた
「無茶すんなよ」
『ハーイ…』
叱られた子供のようにうなだれる霧雲
男鹿は霧雲の血をワイシャツの袖で拭く
自分の服に血が付くのは気にしない
『よしっ!
続きしよ!』
霧雲は邦枝の方に向き返る
「ん?」
『あのね、』
霧雲は男鹿のワイシャツを引っ張り、男鹿の耳に顔を近付けた
『勝ったらベル坊あずけらるかもしんない』
「!ほんとーか!?」
『たぶん
サイショから私のトコロにきなさいよって言われたから。僕がそう思った』
「……」
男鹿は受け取ってくれ!と切実に思った
霧雲と男鹿は邦枝を見る
「──…六道
私の負けよ」
『え、』
「──…いえ、そうじゃないわ
ごめんなさい、私…
何て言ったらいいか──…」
俯く邦枝に霧雲と男鹿は見つめ合った
『じゃあ…──』
「──……ああ」
霧雲は持っていたベル坊を邦枝に近付けた
『はい!!』
ニコッと笑う霧雲
「は…?
はいって…?」
『ん?
だってキミのこーげきに堪えきったらベル坊の事もらってくれるんでしょ?』
……………………
何?そのルール
邦枝と寧々は眉を潜めた
男鹿はやっぱ違ったのか…と思った
『もう、キミ女の子だからきつかったよ~』
「ちょ、ちょっと待って…
もらうって何?
その子、あんたの子じゃないの?」
『? 僕のコドモじゃないよ
辰巳だって一緒に育ててるし』
「ムリヤリおしつけられて育ててるだけだぜ?」
霧雲の言葉に続けるように男鹿が喋る
「えぇ!?じゃ、あの一緒にいた金髪の人は!?」
『何って…』
「悪魔だよ悪魔」
「「(悪魔!!!)」」
邦枝と寧々は目を白黒させた
だが悪魔といわれて本当に悪魔だとは思わず、悪魔のような女、悪女だと思い込んだ
「いつまで下らん話をしている」
ヒルダは壊れた扉の上を跳び、霧雲の下へ向かう
「帰るぞ
その女は親にはなりえん」
「え?
いやー、でも…」
「さぁ、帰るぞ」
『うわっ』
ヒルダは霧雲の腕を掴み校舎の中へと連れていく
『ちょっ…』
「だっ…待てこら
待ちなさいっ!!」
男鹿も二人を追い掛けた
邦枝はヒルダと霧雲の背を見る
「あなた恥ずかしくないの?
自分の子を人に押し付けたりして…」
霧雲と男鹿は立ち止まって邦枝を見る
「──フン
文句があるなら腕をみがいて出直してくるんだな」
邦枝とヒルダの間に火花が飛ぶが霧雲は訳わからず首を傾げた
──────
───
─────────
次の日の帰り道
雨が降る道の端を歩いていた
「──結局、今回もダメだったな……」
霧雲から屋上であったことを聞いたが、実は実際に見ていたなんて霧雲達には言えなかった
言ったら殺されること確実だ
「あぁ
だが心配するな古市、オレ達はあきらめん
次の目星もついてるしな」
「次ってーと…石矢魔最強…『とーじょー!』被るな」
男鹿と相合い傘をしていた霧雲は古市の傘の中に入る
『でもね、とーじょーってどっかで聞いたことあるよーな気が…』
「?」
俯いて歩く霧雲
古市は転ばないように腕をつかみながら歩く
「ちょっ…待って下さいよ姐さん!!」
後ろの方から聞き覚えのある声に三人は後ろを向く
「これくらい当然よ
私が浮ついたせいで皆に迷惑をかけたんだもの」
「だからって何もやめなくても」
三人の女性の足が地面にある水を踏む音がどんどん近付いてくる
「──それに、前々から考えてた事なのよ
そろそろレッドテイルは寧々に任せてもいいんじゃないかって…
──だからカン違いしないでよね」
一番前にいた女性は3人の隣に並んで霧雲に顔を向ける
「ケジメよ」
少し顔が赤くなった邦枝だった
昨日までの白ランにさらし姿ではなく、ワイシャツにネクタイ、学校指定のスカートをはいていた
霧雲は首を傾げ、男鹿と古市は唖然とした
邦枝はそれだけ言うと歩いていってしまった
寧々と千秋も邦枝を追って行ってしまった
『かわいかったなぁ~』
霧雲は今だに動かない男鹿と古市を引っ張って歩き出した
更新10.04.10