87話
夢小説設定
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やって来る人々の質問に答え、着々と出口に近付いた。その間蒸気機関車は2度来たがどちらとも乗らなかった。
犬の散歩をしたお兄さんの質問に答えて数メートル歩くと、前方から眩い光が洩れてやっと出口に着いた。
「やっと着きましたー!」
何度見ても慣れない幽霊に怖がっていた三人が一息ついていると、桜の木の裏から銀髪の少女、えんえん少女が出てきた。
『会いに来たよ!この人が担任の相澤先生だよ。』
相澤先生の紹介をして、ずっと持っていた箱を渡す。中身はショートケーキで、お茶請けと供養を兼ねている。
甘い物が好きなようで心なしか嬉しそうに見える。
相澤先生は周りの絶景に驚いている。清んだ水が池の底まで写し、キラキラと光を反射している。人界は夏真っ盛りなのに此処は淡い桃色の桜が満開で一面が綺麗な花化粧で染まっていた。
「凄いな。」
『綺麗ですよね。
夏休みにえんえん少女とお花見をするのが楽しいんで、怖いトンネルを通ってでも毎年来ちゃってます。』
「やっぱりトンネル慣れてないんじゃん!」
『えへへっ。』
えんえん少女に先導され、近くにあるテーブルを囲んだベンチに座る。
ケーキを分け紅茶を入れてくれて、ティータイムと洒落こんだ。
─────
お喋りや池周辺を散歩したりして時間はあっという間に経っていった。来た時から太陽の位置が全く変わらないので正確な時間はわからないが、体内時計で5~6時間はいただろう。
もうそろそろお開きにしようと、えんえん少女がうんがい鏡を呼び出してくれた。
「またね。」
『うん!
今度は…来年来れるか分からない。でもヒーローになったら会いに来るよ。絶対にね!』
「そう…。
沢山会えないのは寂しいけど、友達が夢を叶えるのは嬉しい。えんえん応援しているわ。」
『ありがと!またね。』
えんえん少女に手を振り、相澤先生と一緒にうんがい鏡に飛び込む。次に足を付くとそこはトンネルの前だった。蝉の鳴く音が演奏を奏で夏の風物詩を描いている。
後ろを向けばトンネルの入り口は固く閉ざされていた。
「太陽の位置が変わってない…?もしかして1日経っているのか…(仕事が…)。」
相澤先生は空を見上げて項垂れている。
『ううん。トンネルに入ってから一秒も経ってませんよ。霊界の時間は人界と比例してません。
霊界によって流れが全く違って、えんえんトンネルはほとんど時が流れないんです。』
相澤先生はホッとしたように息を吐いた。
バス停まで歩き、うんがい鏡で家まで飛ぶ。ベランダから玄関に行き、今日付き合ってくれた相澤先生に頭を下げる。
『相澤先生のおかげで今日は楽しかったです。付き合ってくれてありがとうございました。』
「ああ。随分歩いたが、此方も久しぶりに休息が取れた気がする。ありがとな。」
「皮肉入ってません?」
相澤先生はついでだから…と、昨日頼んでいたもう一ヶ所の遠出も許可を出してくれた。今日の事を経験しうんがい鏡の利便性を知って、"敵"と遭遇する確率はほぼないに等しいと判断したからだ。
『本当ですか!?
やったー!』
「やりましたね!
いつ行きます?明日とか?いや今行きますか!?」
気の早いウィスパーは行く準備をするために部屋に戻っていった。
「じゃあな。それ以外は家から出るなよ。移動にも人に目撃されないようにな。」
『はい!』
返事をして手を振って相澤先生を見送る。
部屋に戻り、今度の遠出の為に準備を始めた。
R02.04.27
※注意
今作品としての解釈でした。
他の作品で違う解釈もあります。どちらも間違いではないと思います。誹謗中傷は止めてください。