84話
夢小説設定
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ウィスパーが手を差し伸ばしているのが視界の端で見えたが到底届く距離ではない。融通の訊かない宙ではほんの少し身動きするくらいで抵抗出来なかった。
そのままオール・フォー・ワンから1メートルの距離まで近付いた時……横からの力で私はオール・フォー・ワンから離れた。
私を物のように掴んでいたのはエンデヴァーだった。
「いないと思ったらこんな所に……無駄な迷惑を掛けさせるんじゃない。」
『ご、ごめんなさい。』
私を地面に降ろし、全身の炎をたぎらせながらオールマイトを睨み付ける。
「何だ貴様…その姿は何だオールマイト!」
「どうにか間に合ったな。」
エッジショットも来ていた。
「ほお…全てミドルレンジといえ、あの脳無達をもう制圧したか…いや君の指示か妖見霊和?」
私は応えず、横目に見えるフゥ2のOKサインに口角を上げる。
『オールマイト!この辺りの人は全員非難させました!
貴方はこんなとこで膝を付いて終わる人じゃないでしょう?!貴方の力をぶちかまして下さい!』
私は言いたいことだけ述懐し、ウィスパーに片手を握られオールマイト達から離される。
エンデヴァーとエッジショットが攻撃を仕掛けるが全く効いていない。蝿のように集るヒーローに苛立ったオール・フォー・ワンは巨大な衝撃波を放つ。私含め何人もの妖怪が飛ばされるのを、巨大化しただいだらぼっちが受け止めた。
だいだらぼっちにお礼を言っていると、オールマイトが右腕のみをマッスルフォーム化してオール・フォー・ワンの拳を止めた。衝突で爆風が起こり、まただいだらぼっちにダイブする羽目になった。
だいだらぼっちの胴体で私の身体を飛ばないようにしながらオールマイト達を見ると、オール・フォー・ワンを受け止めている右腕が負荷に耐えきれず亀裂が入り血飛沫が舞う。
そのまま体制が崩され…押し負けしそうになった身体を捻り左で顔面を殴った。
「右腕を囮に…!?」
「少し壊してしまったが…受けとれ妖見少女!!」
オールマイトは何かを此方に投げてくる。キャッチすると、それはオール・フォー・ワンが付けていた妖怪ウォッチだった。
『妖怪ウォッチ!
これならオールマイトを助けられる!』
ベルト部分が引きちぎられてしまったが、髪を縛っているリボンをベルト代わりにして腕に巻き付けた。
回復の妖怪なら何でもいいから…とポケットに手を突っ込むと、横からメダルが差し出された。
オールマイトにメダルを渡していたやぶれかぶれ院長だった。
「あやつはこんな非常な時なのに私を呼ばんかった。一言二言言いたいことはあるが、今は止してやろう。
私のメダルを使ってくれたまえ。」
『やぶれかぶれ院長も回復使えるの?』
「合体してみないとわからん。だが、私の能力のままなら役に立つ回復になる。」
少々不安だが、今は四の五の言ってられない。やぶれかぶれ院長のメダルを妖怪ウォッチCに挿し込み変身する。
パンツスーツに2つのウエストポーチ、上に白衣を着ている。頭には耳鼻科で見るような額帯鏡を付けていた。
『ココロ補給!!』
手から小さなハートが沢山出てきてオールマイトの周りに飛び、ハートが割れると小さな光の粒子がオールマイトに降り注ぐ。体力が回復しているようだが一つ一つのハートの回復量は少ない。
『他の術は、ええと……ココロチェンジ!!』
必殺技を発動すると、私の妖力が上がったような気がした。私の妖力とやぶれかぶれ院長の妖力、必殺技で上がった妖力が全て回復する力となり、オールマイトは急激に回復していった。
それでもオールマイトはオール・フォー・ワンを跳ね返すまでにはいっていない。
『まだ力が足りない…っ。
もっと出力上げなきゃ!』
気合いの込めて妖力の出力を上げる。
隣で、パタンッ…と音がして、フゥ2とウィスパーが地面に伏せていた。
よく見ると私の近くにいた妖怪達が皆地面に膝を付けている。
『皆どうしたの!?』
回復を止めてフゥ2の下に行こうとしたが、フゥ2に止められた。
「俺達は大丈夫だから続けて!」
『でも…っ、』
「俺達の妖力が霊和ちゃんに吸われてて立ち眩みしちゃったんだ。でも手を止めないでもっと力をこめて!
オールマイトに勝って欲しいのは人間だけじゃない。妖怪だって願ってるんだ!その為なら俺達も力を貸すよ!」
フゥ2の掛け声と共に何十何百もの妖怪が私に力を与えてくれた。その中にはオール・フォー・ワンによって伸されていたはずのフユニャン達までいた。
私は光を点つ妖力で溢れ、心なしか妖怪ウォッチも熱く光っているような気がする。妖力の出力を最大まで上げてオールマイトに力を送った。
『はああああぁぁぁっ!!!!』
「UNITED STATESOF OF SMASHッッ!!!!」
オールマイトの必殺技で地面がめり込み、風圧で周りの物が全て遥か上空に飛ばされ竜巻が出来る程の威力だった。
二人の姿が砂煙で見えなくなったが数十秒もすれば薄くなった。
凹んだ地面の上でノックダウンしたオール・フォー・ワンと、今気付いたがカメラを持ったメディアらしきヘリコプターに拳を掲げるオールマイトが見えた。
勝った…。
オールマイトがオール・フォー・ワンを倒したのだ。オールマイトの個性"ワン・フォー・オール"の因縁が満を持して決着した。
マッスルフォームになって勝利のポーズをしているオールマイトを見て、私は張り積めていた神経を弛め腰を下ろす。
「勝った!オールマイトが勝ったんだ!」
「私達妖怪の敵も取ってくれました!!何と言うことでしょう!!」
『うん…。ありがとうオールマイト。』
皆興奮して盛り上がってる。でも私は一人、オールマイトを見つめていた。
これがオールマイトの最後のヒーロー姿だから……。
初対面で私の言葉を信じてくれたのはオールマイトが初めてだった。嬉しくて、格好良くて、平和の象徴として努力していたのも知った。私の目標になるのは必然だった。
個性が消えたオールマイトはもうヒーロー活動が出来なくなる。
オール・フォー・ワンを倒す事が出来て嬉しいのに、少し……ほんのちょびっとだけ悲しくなって顔を歪めてしまう。
『…お疲れ様でした。
オールマイトの意思は私達が繋ぎます。』
まだまだ弱くて有精卵なんて言われてしまうくらいだけど、私達はこれからもっと努力して強くなる。そう、オールマイトの背中に誓おう。
R02.03.23
そのままオール・フォー・ワンから1メートルの距離まで近付いた時……横からの力で私はオール・フォー・ワンから離れた。
私を物のように掴んでいたのはエンデヴァーだった。
「いないと思ったらこんな所に……無駄な迷惑を掛けさせるんじゃない。」
『ご、ごめんなさい。』
私を地面に降ろし、全身の炎をたぎらせながらオールマイトを睨み付ける。
「何だ貴様…その姿は何だオールマイト!」
「どうにか間に合ったな。」
エッジショットも来ていた。
「ほお…全てミドルレンジといえ、あの脳無達をもう制圧したか…いや君の指示か妖見霊和?」
私は応えず、横目に見えるフゥ2のOKサインに口角を上げる。
『オールマイト!この辺りの人は全員非難させました!
貴方はこんなとこで膝を付いて終わる人じゃないでしょう?!貴方の力をぶちかまして下さい!』
私は言いたいことだけ述懐し、ウィスパーに片手を握られオールマイト達から離される。
エンデヴァーとエッジショットが攻撃を仕掛けるが全く効いていない。蝿のように集るヒーローに苛立ったオール・フォー・ワンは巨大な衝撃波を放つ。私含め何人もの妖怪が飛ばされるのを、巨大化しただいだらぼっちが受け止めた。
だいだらぼっちにお礼を言っていると、オールマイトが右腕のみをマッスルフォーム化してオール・フォー・ワンの拳を止めた。衝突で爆風が起こり、まただいだらぼっちにダイブする羽目になった。
だいだらぼっちの胴体で私の身体を飛ばないようにしながらオールマイト達を見ると、オール・フォー・ワンを受け止めている右腕が負荷に耐えきれず亀裂が入り血飛沫が舞う。
そのまま体制が崩され…押し負けしそうになった身体を捻り左で顔面を殴った。
「右腕を囮に…!?」
「少し壊してしまったが…受けとれ妖見少女!!」
オールマイトは何かを此方に投げてくる。キャッチすると、それはオール・フォー・ワンが付けていた妖怪ウォッチだった。
『妖怪ウォッチ!
これならオールマイトを助けられる!』
ベルト部分が引きちぎられてしまったが、髪を縛っているリボンをベルト代わりにして腕に巻き付けた。
回復の妖怪なら何でもいいから…とポケットに手を突っ込むと、横からメダルが差し出された。
オールマイトにメダルを渡していたやぶれかぶれ院長だった。
「あやつはこんな非常な時なのに私を呼ばんかった。一言二言言いたいことはあるが、今は止してやろう。
私のメダルを使ってくれたまえ。」
『やぶれかぶれ院長も回復使えるの?』
「合体してみないとわからん。だが、私の能力のままなら役に立つ回復になる。」
少々不安だが、今は四の五の言ってられない。やぶれかぶれ院長のメダルを妖怪ウォッチCに挿し込み変身する。
パンツスーツに2つのウエストポーチ、上に白衣を着ている。頭には耳鼻科で見るような額帯鏡を付けていた。
『ココロ補給!!』
手から小さなハートが沢山出てきてオールマイトの周りに飛び、ハートが割れると小さな光の粒子がオールマイトに降り注ぐ。体力が回復しているようだが一つ一つのハートの回復量は少ない。
『他の術は、ええと……ココロチェンジ!!』
必殺技を発動すると、私の妖力が上がったような気がした。私の妖力とやぶれかぶれ院長の妖力、必殺技で上がった妖力が全て回復する力となり、オールマイトは急激に回復していった。
それでもオールマイトはオール・フォー・ワンを跳ね返すまでにはいっていない。
『まだ力が足りない…っ。
もっと出力上げなきゃ!』
気合いの込めて妖力の出力を上げる。
隣で、パタンッ…と音がして、フゥ2とウィスパーが地面に伏せていた。
よく見ると私の近くにいた妖怪達が皆地面に膝を付けている。
『皆どうしたの!?』
回復を止めてフゥ2の下に行こうとしたが、フゥ2に止められた。
「俺達は大丈夫だから続けて!」
『でも…っ、』
「俺達の妖力が霊和ちゃんに吸われてて立ち眩みしちゃったんだ。でも手を止めないでもっと力をこめて!
オールマイトに勝って欲しいのは人間だけじゃない。妖怪だって願ってるんだ!その為なら俺達も力を貸すよ!」
フゥ2の掛け声と共に何十何百もの妖怪が私に力を与えてくれた。その中にはオール・フォー・ワンによって伸されていたはずのフユニャン達までいた。
私は光を点つ妖力で溢れ、心なしか妖怪ウォッチも熱く光っているような気がする。妖力の出力を最大まで上げてオールマイトに力を送った。
『はああああぁぁぁっ!!!!』
「UNITED STATESOF OF SMASHッッ!!!!」
オールマイトの必殺技で地面がめり込み、風圧で周りの物が全て遥か上空に飛ばされ竜巻が出来る程の威力だった。
二人の姿が砂煙で見えなくなったが数十秒もすれば薄くなった。
凹んだ地面の上でノックダウンしたオール・フォー・ワンと、今気付いたがカメラを持ったメディアらしきヘリコプターに拳を掲げるオールマイトが見えた。
勝った…。
オールマイトがオール・フォー・ワンを倒したのだ。オールマイトの個性"ワン・フォー・オール"の因縁が満を持して決着した。
マッスルフォームになって勝利のポーズをしているオールマイトを見て、私は張り積めていた神経を弛め腰を下ろす。
「勝った!オールマイトが勝ったんだ!」
「私達妖怪の敵も取ってくれました!!何と言うことでしょう!!」
『うん…。ありがとうオールマイト。』
皆興奮して盛り上がってる。でも私は一人、オールマイトを見つめていた。
これがオールマイトの最後のヒーロー姿だから……。
初対面で私の言葉を信じてくれたのはオールマイトが初めてだった。嬉しくて、格好良くて、平和の象徴として努力していたのも知った。私の目標になるのは必然だった。
個性が消えたオールマイトはもうヒーロー活動が出来なくなる。
オール・フォー・ワンを倒す事が出来て嬉しいのに、少し……ほんのちょびっとだけ悲しくなって顔を歪めてしまう。
『…お疲れ様でした。
オールマイトの意思は私達が繋ぎます。』
まだまだ弱くて有精卵なんて言われてしまうくらいだけど、私達はこれからもっと努力して強くなる。そう、オールマイトの背中に誓おう。
R02.03.23