82.5話
夢小説設定
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~no side~
神奈川県神野区某所。ビルの暗い一室で、"敵"連合が合宿をしている高校の生徒を襲うというニュースが流れていた。
一度ではなく二度も"敵"に襲われ学校の管理体制がどうなっているんだとコメンテーターが一方的に責め立てている。
「俺らのこと盛大に宣伝してくれて本当有り難いよ。
なあ、そう思わないか?爆豪勝己くん。」
テレビの真ん前に陣取っていた、手のマネキンを顔に付けた男・死柄木弔がリモコンでテレビを消した。
死柄木の周りには雄英高校を襲撃した開闢行動隊と自称する"敵"のメンバーが囲んでいる。
少し離れた所に拘束された爆豪がいた。前から見ると分からないが、爆豪と椅子の背もたれの間には赤い猫の妖怪・ジバニャンが情けないことに挟まって気絶していた。
「ヒーロー志望の爆豪勝己くん。俺の仲間にならないか?」
「寝言は寝て死ね。」
死柄木の勧誘に爆豪は間髪入れず毒を吐いた。
断られる事を分かっていた死柄木は何事も無かったようにお酒のビンが並んでいるカウンターへ身体ごと向けた。
「ま、勧誘は後々してやるからさ…"これ"の使い方教えてくれないかな?」
ポケットから片手に収まるほどの物を取り出し爆豪に見せる。
少し大きめな腕時計だった。
爆豪は直ぐに自分の幼馴染みで大切な存在である霊和の所持品であることに気付いた。
「何でてめえが持ってやがる!」
「ボタンを押してもメダルを挿してもなんも起きないんだよなー。」
腕時計を腕に装着し、猫が載っているメダルを腕時計の溝に差し込むと使えません。と機械的な声が発せられた。
爆豪が前のめりになり身体を動かしたことで、挟まっていたジバニャンが身動ぎをする。
「ン、ニャー…ウィスパー重たいニャン…。」
寝惚けているのかウィスパーが乗っているのだと勘違いしていた。段々と頭が覚めてくると周りの状況がわかり、深刻な場面に遭遇しているのだと知った。
「ニャッ!?此処何処ニャン!酒臭いニャン!
アイツ何処かで……ってニャンですとー!!?
それは霊和ちゃんのニャン!返せニャン!──ッンニ゙ャ!?」
死柄木の持っている腕時計を取り返そうと、爆豪と椅子の背もたれの間をグリグリと身体を捻らせて抜けようとする。
頭が抜けて身体も抜けて椅子から降り、着地をしようとしたが何かにつっかえて頭から地面にダイブしてしまった。
下半身は地面に付くことなく、尻尾が爆豪の尻に挟まって宙ぶらりんの状態になっていた。
どうにか抜けようと尻尾を引っ張るが、自分の尻尾が痛いだけで抜けることはなかった。
ジバニャンは恨みがましく爆豪を睨み付け退くように横腹を蹴るが、肝心の爆豪は痛みに顔を歪ませる程度で身動ぎもしなかった。
ジバニャンは諦めてそのまま死柄木を見る。
死柄木はぶつぶつと呟きながら妖怪ウォッチCを弄っている。
メダルを入れても動かないのは死柄木に妖力がないのもあるが霊和が妖怪ウォッチを使う時の召喚呪文を唱えていないからだ。それを知っているジバニャンは一先ず安心と、今まであったことを思い起こした。
「(オレっちのメダルニャン…。)
確かカツキが狙われててオレっちが守ってたはずニャン。
途中で視界が真っ白になって……そこから記憶がないニャン…。
ニャーン霊和ちゃんー。帰りたいニャーン。
カツキニャンかじゃなくて霊和ちゃんのお膝の上で寝たいニャーン!」
誰にも見られることのないジバニャンは独りぼっちになってしまったように感じ、ご主人である霊和を恋しく思い感情を高ぶらせた。
だが死柄木の言葉に焦ってしまう。
「使えねー…。
黒霧これ壊していい。」
「止めろニャンンンッ!せめて疑問符付けろニャン!」
止める行動が出来ないので口だけで止めさせようとするが、ジバニャンの声は誰にも届かない。
黒霧に止められて、死柄木は興味を無くしたように黒霧に放り投げた。
投げるのは遺憾だが、壊されることはなかったのでジバニャンはホッとした。
ジバニャンが爆豪から解放されたのは、何時間も経って爆豪が拘束を解かれた時だった。
R02.03.04