75話
夢小説設定
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走って向かっていると、メリッサさんがそういえば…と思い出したように口にする。
「霊和ちゃんが妖見おじさまの娘さんだったのね。」
『お父さんと会ったことあるの?』
「ええ。小さい頃にたまに遊んで貰ったわ。
パパは仕事仲間と言っていたけどそれ以上に親しく感じたわ。」
少しの間口を閉じる。
「…だけど一番の親友だって言ってたマイトおじさまじゃなく、妖見おじさまを招待したって聞いた時は…その、正直言って何で?って思ったわ。
だから私がマイトおじさまを招待して万事OKなんて楽観していたのだけどパパがこんな事を考えていたなんて…。
妖見おじさまも霊和ちゃんにも酷い扱いになってしまったわ。
パパに代わって謝らせて欲しいの。」
デヴィットさんの行動は決して許される事ではない。
謝って済むような問題でもなくなっている。
メリッサさんの気付いていたら…止めていれば…という後悔の念がひしひし伝わってくる。
『メリッサさんが私に謝る必要はないよ。
私はデヴィットさんからお父さんに謝ってほしいって思ってる。ただそれだけ。
だから謝ってもらうためにデヴィットさんを取り返すよ。』
「……貴女ってとても真っ直ぐなのね。
デクくんの気持ちがわかるわ。」
『??』
メリッサさんはふふっと笑うだけでいっくんの気持ちとは何か答えてくれなかった。
「ところで霊和ちゃんの衣装が変わるのは個性かしら??雲と動物の個性?その腕時計に平たい物を入れてたけどその腕時計って普通の時計じゃないのかしら?後で触って(弄って)みたいのだけどダメかな?」
「ど、怒涛の質問攻め!?
怖いでうぃすぅぅ!!」
「霊和ちゃん迂闊過ぎ…。」
質問に一つも答えられなく顔を背けて企業秘密とだけ答えたのだった。
タワーの屋上へと出ると、頭から血を流しているいっくんがいた。
慌てて駆け寄ると、上空から何かが落ちてきて驚いたがそれはデヴィットさんを抱えたオールマイトだった。
デヴィットさんは怪我をしているものの意識はあるようで安心した。
「やぶれかぶれ院長オールマイトに引っ付いてるんですけど…。」
『オールマイトの回復してくれたんだね。』
オールマイトのスピードに酔ったのか目を回しながらも背中に引っ付いているやぶれかぶれ院長を見て苦笑した。
デヴィットさんが無事でメリッサさんが涙ぐんでいると、オールマイトに何かが勢いよくぶつかって来た。その事でデヴィットさんから手を離してしまい、デヴィットさんは紐に縛られ上空へ引っ張られていく。
「パパ!」
「ああー!」
デヴィットさんの身体にパイプや配線など色々な太さの金属の線が絡まっていき、ついには身体が見えなくなってしまった。
「あいつ博士の…、」
デヴィットさんがオールマイトのためにと今回の計画で盗んだ個性を増幅する装置を"敵"が使ってしまっていた。
オールマイトがデヴィットさんに絡み付く金属を壊そうとするがその前方に分厚い鉄の壁が現れ、必殺技のテキサススマッシュが効かなかった。
"敵"は手で触らないと金属を操ることは出来なかったはずだが、今ではタワーの中からどんどん金属が這い出し瓦礫の山が不気味な巨大ロボのように動く。
その波にメリッサさんがタワーから放りだされそうになりいっくんが助けた。
「オールマイトが力負けしてる…!?」
オールマイトは金属を押し返そうとするが、やぶれかぶれ院長の回復が間に合っていないようで吐血していた。
それを見て私はメダルを取り出し凝視する。
『回復なんてやったことないから力加減なんてわからないけど…やるしかないよね!』
メダルを握り締めて妖怪ウォッチCに嵌め込む。
『私の友達、力を貸して聖オカン!妖怪メダル セット・オン!』
紫色の靄が私を取り囲み、消えた時には丈の長い若竹色の着物で下に生地の薄い足を隠す程のスカート、ファー生地のマフラーを首に引っ掛け、光背のように連なった蓮の花ビラと無数の雲が浮いている。
『"聖母の微笑み"!』
手を組み背中の蓮のわっかを天空へ飛ばし、タワーを囲めるほどの大きさとなりその輪から光が屋上へと降り注ぐ。
『ぐ…きつぃ。』
体力が一気に抜ける感覚がする。
「ま、待って!今すぐ技を止めて!」
焦りながら必死に止めさせる声に意識をずらす。
フゥ2が"敵"を指差す。
「あれ見て!"敵"も回復してるように見えるんだよ!」
オールマイトの吐血は止まったが、同時に"敵"の破壊力も増しているように見えた。
このままではいけないと思い技を止める。
『この技は無差別なんだっ。どうすればオールマイトだけ回復出来るのっ!?』
まだ上空にある蓮の輪を小さくしようとするが小さく出来ない。
どうすれば…
ふと目の前を横切る小さな雲が見えた。
この雲は聖オカンとの合体で発生したモノで、雷オトンの時の雲とは違い漂っているだけのように見える。
『これだ!』
雷オトンの時と同じように雲をいくつも飛ばす。
それはオールマイトの周りに漂い小さな光を灯した。
「…!
身体が軽く…、」
「君か。
私だけでは足りなかったというのに…さすがだ。」
やぶれかぶれ院長がオールマイトから降りて此方に避難してくる。そして疲れたからと一度帰ると言って消えた。
そしてすぐにかっちゃんや轟くん、切島くん、お茶子ちゃんに百ちゃん達も皆屋上に集まった。
私は皆にも雲を飛ばし回復させ、それからはオールマイト怒涛の攻め、そしていっくんもオールマイトと同じ技を二人で使い"敵"を倒した。
瓦礫の山からデヴィットさんは救出され、メリッサさんが泣きながら喜んでいる所に近付く。
『デヴィットさん、傷を塞ぎますね。』
オールマイトの回復で幾分か減ってしまった雲をデヴィットさんとオールマイトの周りに飛ばす。
「私のような者にまで…ありがとう。
私は君何と言ったらいいか…、」
『私はデヴィットさんに何もされてませんよ。人質を助けたい為に動いただけです。
でも危険な事にお父さん達を巻き込んだ事は許せません!』
「そう、だよな。
わかっている。どんな罰でも受ける覚悟は出来ている。」
真剣な顔で私の目を見てくる。
だから私はメリッサさんに言った事をデヴィットさんにも言う。
『はい。
だからお父さんに"ごめんなさい"って言ってくださいね!』
「………それだけかい?」
目を点にして見つめてくる。
『はい!
悪いことしたらごめんなさいしなくちゃダメです!』
「フフッ。霊和ちゃんったらお父さんに謝らせる為だけにお父さんを助けようとしていたのよ。」
「……ハハッ、
君はなんて…とても愉快な子なんだ。
本当に彼そっくりで純粋だ。」
笑いなら脱力して瓦礫に背中を預ける。
何か可笑しな事を言ったなと疑問に思っていると、I・アイランドの警備隊やヒーロー達が続々と集まってきた。
その後パーティー会場で人質となっていた人達も解放され、傷口の塞がったデヴィットさんはお父さんに頭を下げて今回の事件は幕を閉じたのだった。
R01,11.23