68話
夢小説設定
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ガサガサと揺れる草むらをジッと見る。
ソレは段々と此方に近付いてきて、私達に一番近い草を掻き分けて来た。
ついに姿が現れ見えたソレはおぞましいモノだった。
可笑しな方へ曲がっている右腕と右足、複雑骨折をしているために見えている太い骨、背骨も折れているのか腰も曲がっている。右側頭部が凹み、眼球まで真っ赤に染まる程のおびただしい血が全身を濡らし、皮膚は腐ってしまったのか爛れ悪臭が漂ってくる。
『…ッッ!!』
悲鳴をなんとか飲み込んだものの、全身が強ばり下手に動かせない。
こんなもの人間でも妖怪でもないだろう。死んだ姿のままさ迷っている幽霊なのだと思う。
ゾンビなのかと勘違いしてしまうほど残酷な姿の幽霊がふらふらと覚束無い足取りで歩いていたが、私に気が付いてしまったのか振り向き目が合ってしまった。
瞬時に逃げなければいけないと判断し、足を下げた時だった。
「いやぁぁあぁああ!!!」
「うわぁあぁああぁああ!!」
「化け物ニャァァアァア!!!」
「殺されるぅぅぅぅう!!」
お金ナイダーもウィスパー達も幽霊に背を向けて逃げ出していた。
『えっ…皆!?』
逃げていく皆の背中を唖然としながら見ていたが霧のせいですぐに見えなくなり、迫って来ている幽霊から逃げるために私も皆を追う。
どうして皆にも見えたのだろう。
あれは幽霊じゃないのか?皆と触れあっていた?……いや、皆私の後ろにいたけど触られていなかった。だから幽霊が見えるはずがない。
なら、追ってきている幽霊は幽霊ではなく妖怪か人間になる。
後ろを振り返るとまだ追って来ている。
逃げているが逃げるばかりではどうにもできない。だからと言ってアレと対当するなんて怖い。
走っていると前方に人影が見え警戒したが、知った顔が見えて安心した。
『お父さん!』
「霊和!良かった。
怪我はしてない?」
『そんなことより逃げて!』
何がなんやらわかっていないお父さんは呆然と立っていたが、私の後ろから迫って来ているモノを見て悲鳴を上げる。
「幽霊か。そんな姿で娘に近付こうなんて許さないよ!」
「気持ち悪っ!
日本にゾンビなんて生息してたの!?」
お父さんの後ろに居た幽霊の女の子が顔を青くする。