52話
夢小説設定
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取り出して見てみると、妖怪を探す光を付けるボタンがなく、他は色や細かな形が違うだけで今付けている妖怪ウォッチと何が違うのかわからない。
「新しい妖怪ウォッチですねー。
ドリームリンクとか何か機能があるんですか?」
「まあね!霊和ちゃんに合わせた特別製よ!
霊和ちゃん、一番仲の良い妖怪のメダルを出して。」
召喚する時の言葉を教えて貰い、私は時計を腕に付けた。
一番仲の良い妖怪ならジバニャンかな。
『いきます!
──私の友達、力を貸してジバニャン!妖怪メダル、セット・オン!』
メダルを妖怪ウォッチに挿し込むと紫色の靄が広がり、私の身体が見えなくなるくらい濃い靄に包まれた。
靄は数秒で散り、皆が私を見ておお!と驚いている。
『?』
『「どうしたニャン?」』
ん?
今私"ニャン"って言った?
「嘘ー!え、これって、え、現実!?」
「良かった成功よ!」
「人間と妖怪が…!」
「成功したって報告してるねー!」
バニー・ミントが出ていく。
私はどうなっているのかわからず首を傾げると、頭に違和感を感じた。
触ってみると頭に何か生えていて、ソレは触られた感覚もあった。
「霊和ちゃん、こちらをどうぞ!」
ウィスパーから全身鏡を用意されて見てみると、なんと私の頭には赤い耳がはえていた。
しかも格好も制服から変わっていた。手のひらまである長袖の赤い服に、背中に蝶々結びにされた帯、赤い短パン、V字になっているブーツ。ジバニャンを思わせる格好になっていた。
『あぇ!?嘘!なんで!?』
『「ニャニャッ!?オレっち霊和ちゃんになってるニャン!」』
『ジバニャン!?』
勝手に口が動いたらジバニャンの声が出ていた。
「説明しましょう!
この妖怪ウォッチは"合体ウォッチ"。妖怪と妖怪を合成させるように、妖怪と人間を合体することの出来る妖怪ウォッチなのよ!」
『合体?』
『「合体ニャン!?」』
合成とは、例えばジバニャンとウィスパーが合わさったらパワーアップしたブチニャンという妖怪になる。
それを私ともさせようとしたのがこの合体ウォッチ。
そのウォッチでジバニャンを召喚したので、今私はジバニャンと身体が合体した状態になっているので私の口からジバニャンの声も発せられている。
「霊和ちゃんの口からジバニャンの声が出るの嫌なんだけど。」
「主導権は霊和ちゃん(召喚する側)になってるから、霊和ちゃんがジバニャンに身体を動かさないよう身体に指令すればいいのよ。
霊和ちゃんが脱力してると最悪身体が乗っ取られちゃうから注意してね。」
『は、はい。』
乗っ取られるとは怖い。召喚する相手は選ばないといけないみたいだ。
「合体していればその妖怪の能力を使えるようになるわ。
合体を止めたい時は合体ウォッチからメダルを外せば離れるわよ。」
妖怪の能力を!?
ジバニャンの取り憑きは暴走、必殺技は百烈肉球、妖術は火花だったよね。
『ウィスパー防御してね!
─百烈肉球!!─』
「うぃす!?」
防御力だけは強いウィスパーを的にして必殺技を打ってみた。
振りかぶった拳は目に見えない速さでウィスパーにぶつかり、刹那の間に柔らかな身体に凹みができた。
吹っ飛ばされたウィスパーを見て感嘆する。
『凄い…っ!
私も必殺技使えた!』
「俺も!俺とも合体しよー!」
フゥ2が手をあげて立候補してくるので、私は時計からジバニャンのメダルを取る。するとまた紫色の靄が私の身体を覆い、晴れたら制服に戻っていた。
『よし、次はフゥ2とだね。』
ウィスパーは端に寝かせて、フゥ2のメダルを時計に挿し込み靄が身体を覆う。
晴れて鏡を覗き込むと、胸元に水色の星マークのある白いTシャツに七部丈ジーパンにブーツと、何処にでもいそうな普通の格好だった。
「普通ニャン。」
「普通ね。」
「いたって普通だな。」
『うん。普通だね。』
『「メダル取って……。」』
フゥ2に言われメダルを外すと、フゥ2は部屋の隅でどんよりと縮こまってしまった。
「どうせ俺は普通だよ…。フゥ2だもん。普通以外にはなれないんだよ…。」
「面倒臭いヤツニャンね~。」
『普通なのがフゥ2の取り柄なんだからそんな落ち込まないで。ね?』
「これ以上心を抉らないでよー!」
泣き叫ぶフゥ2。
励まそうとしたのだが間違えてしまったみたいだ。
今度は復活したウィスパーと合体することになった。
『あ、でもウィスパーのメダル持ってないよ。』
「私が持ってますよ!霊和ちゃんがずっと受け取ってくれないんですもん!」
ごめんごめんと平謝りしてウィスパーからメダルを受け取る。
ウィスパーのメダルを時計に挿し込み、変身したので鏡を見る。が、
『あれ?格好変わってない?』
「おかしいわね。不調かしら?」
「いや、待って!
霊和ちゃんの頭見て!」
鏡に近寄って頭を見ると、ウィスパーの頭のふよふよが私の頭にあった。
指で摘まんでみると触られる感覚はある。
『これだけ?』
「うーん…ウィスパーの力が弱すぎるから頭しか出てこなかったのかしら…。」
頭からソフトクリームが生えたみたいで嫌だったから時計からメダルを外し、そのままメダルはウィスパーに返却した。
「そんなー!
メダルだけでも持っていてくださいよー!!」
H31.03.11