62話
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いっくんとかっちゃんの試合は二人がゴールゲートを潜ってクリアした。だが怪我が酷く保健室へと直行する。ウィスパー達はそれを見て自分達もぼろ雑巾のようになってしまうのではないかと恐々としていた。
轟くんと百ちゃんのチームは結構早くクリアしたし、峰田くんも意外と強かった。
三奈ちゃんと上鳴くんのチームと、切島くんと砂藤くんのチームが失格となったが他のチームは概ね問題なくクリアしていた。
そして私の番となり、戦闘場所へと移動する。
「緊張するな~っ。」
「強いとは分かっていましたが、自分の生徒をあんなにするなんて…。
絶対に戦闘は避けてくださいよ?!」
いっくん達の戦闘を見てしまったからなのか手から汗が噴き出す。
かっちゃんでさえ動けなくなるほど痛め付けられていたのだ。恐くないはずがない。
それでもテストなのだからやらなければならない。
空気を深く吸って精神統一する。
頭をクリアにして、予測出来ない遭遇が来ても対処出来るように。
<<妖見霊和vsオールマイト、戦闘開始!>>
放送が入ってすぐにカイムに取り憑いてもらう。
いっくん達はビル街、百ちゃん達は住宅街など皆ステージが違ったように、このステージも変わっていた。
直径4メートルくらいのトンネルのような場所で、道は一本道になっている。灯りは豆電球のようにオレンジ色の灯りが点々と壁に埋め込まれている。
しかも湿度が高いのか山の中にあるのかわからないが、頭上から雫が垂れて地面が濡れている。
「薄気味悪い所ですね~…。」
「妖怪ニャンだから暗いとこくらい慣れろニャン。」
「そういうあーたこそ自分で歩ったらいいじゃないですか!!」
「嫌ニャン!オレっち濡れたくニャいニャン!」
ジバニャンは私の背中に引っ付いている。
フゥ2を見ると、フゥ2もホラーは苦手なので恐る恐る付いて来ている。
「道が一本しかない…。
絶対に敵と当たるようにしてるでしょコレ…。」
戦うことなくゴールゲートを潜ったチームはいない。絶対に先生達の妨害が入る。
だが、5分歩いてもオールマイトもゴールゲートも視界に入らない。
時間制限があるので悠長に歩いている場合ではないと判断し、足音をなるべく立てないように小走りで進んだ。
それから数分、前方に光が見え足を止める。
「あれはゴールですかね!?確かめてきます!」
ウィスパーが飛んで行ってしまった。
だが、ウィスパーが小さくなったと思ったらすぐに戻って来た。
「ゴール前にオールマイトいましたー!
めちゃくちゃ怖い顔していましたよ!子供なら泣いてチビっちゃいますよ!」
「ウィスパーもチビってるニャン?」
ジバニャンの冗談にウィスパーは必死で否定する。
ゴール前にいるということはオールマイトの横を通らなければいけない。
カイムの力は強力だから姿を見られることはないと思う。
だが全てのチームの組み合わせはそれぞれの苦手な個性の教師になっていて、私はオールマイトということになる。
私が姿を見えないようにすることを見通して相手にするほどだから、オールマイトには何か秘策があるのではないか?
考えていても時間が過ぎてしまうだけなので、息を殺してゴールへ近付く。
視界にオールマイトが入ると一度足を止め、ゴールへの道を定める。
『(極限まで壁を伝っていこう。端っこならオールマイトから一メートルは離れられる。)』
壁を触りながら一歩足を出した。
「漸く来たね。待ちくたびれたよ。」
『!』
オールマイトの発した言葉に息を呑む。
バレたのか?それともハッタリか?
「君は姿を認識しないように出来る。戦闘訓練で見たようにね。
だがね、見えないようになるだけでそこに実体はあるんだ。
それならば見えなくても他の方法で姿を感知すればいい。」
認識しなくても感知出来る?
「どういうこと?
カイムの力は本物。わかるはずない。」
フゥ2も横で不思議そうな顔でオールマイトを睨み付ける。
「どうした?
ゴールは目の前だよ。
来ないから此方から行くぞ!」
オールマイトは姿勢を引くして此方へ迫って来ていた。
「霊和ちゃん!ジバニャン!」
突然の攻撃に私は手も足も出なく吹き飛ばされてしまった。
数十メートル飛んで地面に叩き付けられる。
『ぃ…~っ、』
「痛いニャン!」
「見えたよ!」
痛みに耐えているとオールマイトの発した言葉に急いでジバニャンを掴みその場からずれる。
そこを見るとオールマイトの拳が地面にめり込んでいた。
「カイムがヤられた!
すぐに召喚して!」
フゥ2がオールマイトに取り憑こうと近付くが、オールマイトは察知したのか直ぐに移動した。
『フゥ2一度戻って!』
「ごめん霊和ちゃん。
俺ホント役立たずだ~!」
泣きべそをかきながら私の所に来る。
またゴールゲートを塞ぐように前に立つオールマイト。
「どうしてバレたのか不思議そうな顔だね。
簡単な事だよ。
ここには空気の反響を受けやすい構造になってる。
ほんの少しでも空気が動けばそこに何かあると感知出来る。」
「はぁ!?空気で!?
風の個性を持っているわけじゃないのにどんな超人ですか!!?」
「更には地面に水の膜がある。水溜まり程水が張ってるわけじゃないが、それでもそこに物質が加われば垂れ落ちる水滴の波紋は途切れるんだよ。」
地形が合わないってのもあるのだが、やはりオールマイトにカイムの力が効かないと思い知らされた。
「さて、時間も余りないしね。
さっさと片付けようか。」
ドンッと音とともにオールマイトが目と鼻の先に来ていた。
避けようとしたら、ジバニャンが飛び出しオールマイトに必殺技を叩き込む。
刹那オールマイトの動きが止まったが、直ぐにジバニャンを押し退けてやってきた。
「ホント見えないモノ相手は厄介だ。
体育祭の爆豪少年には同情したよ。」
私はジバニャンが作ってくれた刹那の間に飛び退き、メダルを妖怪ウォッチCに入れる。
『私の友達、力を貸してコマじろう!妖怪メダルセット・オン!』
「させない!」
私の周りに紫の靄が覆い被さる直前に、迫り来るオールマイトの手が間近にあった。
R01.06.16