59話
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中間テストが終わった頃、根津からお呼び出しを貰った。
以前話していた怪我人を治すためだ。
いつ来ても校長室は緊張するなぁと思いながら入ると根津の隣に座らされた。
「少し遅れるそうなんだ。
それまでお茶をどうぞ。」
お茶といいつつ前回通りオレンジジュースをジバニャン達にも配る。
「ありがとニャン!チョコボーあるニャン?」
「あーたね…。図々しいにも程がありますよ。」
「ジバニャンくんの為に用意してあるよー。
ウィスパーくんはどら焼きでいいかな?」
「私の口ですか?私の口がどら焼きみたいって事ですか?」
そんな事ないからね。自意識過剰だよ。
カップに角砂糖を入れてティースプーンでかき混ぜると根津は口を開く。
「──…そうそう面構くんから聞いたよ。
職場体験の時は"無茶"したみたいだね。」
『ゔっ、』
根津の言葉に思わず肩を揺らす。
多分言われるんだろうなと察していたがいざ言われると返す言葉もない。
『無茶ってほどじゃ…、』
「肋骨にヒビなんて無茶しなければ普通ならないんじゃないかな?」
高校に入る前に、"ヒーローになるまでは無茶しない"と約束していたのに約束を破ってしまった事で相当お怒りのようだ。
ごめんなさい…。と謝ると根津はため息を吐いて、想定内だったと教えてくれた。
「君は妖怪に指示するだけだと思っていた。けど入試や体育祭を見て君自身が闘えると知ったよ。
君の戦闘は個性ではなく借り物だから法的にも問題はない。だからいつかこうなるんじゃないかとさ。」
約束して半年もしないうちに破るとは思わなかったけどね。と肩を竦める。
お父さんにもいつかやらかすなんて言われたし、そんなに単純かなぁ?と呟いたら全員に頷かれた。
ヒーロー殺しに妖怪が取り憑けばよかったんじゃない?と聞かれたが、あの時は私自身浮かれてた。
新しいオモチャを使いたくなる子供みたいだと自分でも呆れてしまったが、戦闘中フゥ2にヒーロー殺しに取り憑いてもらうようにしていたがヒーロー殺しが速すぎて取り憑けなかったから。だから他の妖怪でも無理だっただろう。
『変身もジバニャンじゃなくて他の妖怪だったら結果が変わっていたかもしれないけど…。』
後悔先に立たずだ。
「オールマイトから聞いたよ。
妖怪と合体するんだってね。」
『うん。
あ、変身って言えば私にも妖怪と同じ妖気があるんだって。
たぶん妖気も個性の一部で、コレの力で変身出来るの。』
「個性は霊視じゃなくて霊能力ってとこか…。」
『霊能力?』
個性の歴史の中で勉強した事があったはずだ。
昔個性が無い頃にも個性に代わる"第6感"というものがあった人がいた。
見えないものが見える透視や直感が高確率で当たる超直感、幽霊を見られる霊感(霊視)、幽霊を滅したり使役したりする霊能力(勿論霊能力者も幽霊が見える)など。
今では第6感はなくなり個性と言われるようになった。
そして個性の多様性により霊感や霊能力を使える者は極端に減った。
『じゃあ戸籍の個性欄も変えなきゃかな?』
「……いや、ヒーローになるまでは霊視で構わないよ。
君の場合霊能力より"変身"の方があってるけど、その時計を使ってじゃあ霊能力も変身も個性だと思われないだろうさ。」
『そっか。ならこのままでいいね。』
個性登録や個性変更にも個性専門の病院に行かなくてはならなかったから聞いて良かった。
説教という説教もなく、これからも無茶は禁止という事で話が落ち着くと、時間を計らったかのように扉の向こうからノックの音が聞こえた。
「失礼します。
遅くなり申し訳ないです。」
「構わないさ。
霊和ちゃんとお話もあったからね。」
金髪のガリガリに痩せている人が頭を下げる。
あれ?この人って───
『怪我人ってオールマイトなの?』
「「「「「!?」」」」」
全員が私を見てくる。
ウィスパー達が驚いてるのはわかるけど、どうしてオールマイトまで驚いてるんだろ?
「可笑しな事を言いますね~。
このミイラっぽいのがオールマイトなわけないじゃありませんか!」
「変なものでも食べたニャン?」
「…どうしてオールマイトなんて思ったの?」
『んー…なんとなく?』
フゥ2に聞かれたので考えてみたが根拠はない。
見た目は違ってもオールマイトだと思ったから口にしただけだ。
でも何で姿が違うんだろう?
『あ…そっか!
オールマイトは私と同じ変身出来るんだね?』
「オールマイトが変身なんて…。あーた何言ってんですか。」
「この人は八木さん。変身なんて出来ないよ。」
「じ・つ・は、力んでるだけリーナ。」
「ニャっ!?ネタバレリーナニャン!」
バレリーナ衣装を身に纏った女の子がナチュラルに会話に混ざってきてジバニャンが驚いている。
大きな花飾りが頭に乗ったバレリーナ衣装の女の子はネタバレリーナと言い、公表前にも関わらず内容を言ってしまう、つまりネタバレしてしまう妖怪だ。
妖怪メダルがある程度集まらなくては現れないレジェンド妖怪でもある。
「この人は正真正銘のオールマイトリーナ!本名は八木俊典。個性は筋力強化のワン・フォー・オール。人から人へ受け継ぐ形で譲渡の出来る珍しい個性で、オールマイトはこの個性の8人目の後継者で9人目の緑谷出久に譲渡済みリーナ。」
『!』
「なんですとーーっっ!?!?」
「ホントニャン…?」
「オールマイトは"敵"の親玉のオール・フォー・ワンと戦い負傷。内臓の幾つかがなくなり、体格も維持出来なくなったリーナ。だから力んであのゴリマッチョになってるリーナ。
ちなみにフゥ2は数ヶ月前から知ってたリーナ。」
「あ、バカっ!」
『え!?』
ネタバレリーナからネタバレがポンポン出てきて頭の回転が追い付かない。
個性が譲渡できる?それをいっくんが持ってる?フゥ2は前から知ってた?どうして教えてくれなかった?
頭の整理をすればするほど疑問が思い浮かぶ。
「…どうやらバレちゃったみたいさ!」
「え!?何がどうなっているんですか!?」
根津の呟きにガリガリなオールマイトからクエスチョンマークが浮かぶ。
根津とはソファーに座った時から手を繋いでいたが、未だに立っているオールマイトとは触れあっていない。
「てことはネタバレリーナの言った事は本当なんでうぃすか!?」
「そうさ。1つも間違っていないよ。
フゥ2くんが知っていたのは知らなかったけどね。」
「何で言ってくれなかったニャン!?」
ジバニャンがフゥ2に聞くと、出久との秘密だったからね。と返された。
『受け継がれたからいっくんに個性が出来たんだね。』
そういえば最初のヒーロー基礎学があった日に貰ったと言っていた。
いっくんとオールマイトの個性って似てたけど、それはいっくんが真似てるんだと思ってた…。
『オールマイトはいっくんに目を掛けてるって轟くんが言ってたことあったけど、個性を受け継いだいっくんが心配だったんだね。』
「生徒から分かる程贔屓目に見てるようだね…。
生徒は皆平等に接するように気をつけてね。」
「申し訳ありません…。」
オールマイトは縮こまった。