57話
夢小説設定
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気が付くと知らないベッドに寝ていた。
『……(どこだろ)。』
白を基調とした室内に、デジャブを感じる。
身体が痛いし強ばっているしで身体を動かすのが億劫だ。
「やっと起きたニャン!霊和ちゃん大丈夫ニャーン?!」
ジバニャンが泣きじゃくりながら抱き着いてくる。
フゥ2とウィスパー、フユニャンも心配そうな顔をして顔を覗き込んでいる。
「気が付いてよかった!まだ安静だよ?」
「おはようございます。随分と起きないので皆心配してますよ!」
『心配させちゃったんだね……。
今回はどのくらい寝てた?』
「2日間ニャン!前より倍も長いニャン!」
『そ、そう。』
「妖怪ウォッチCの副作用が強いらしく君の身体に負担をかけてしまったな…。
やはり妖怪ウォッチCは改良が必要だな。」
もっと長い時間寝ていたのではないかと思ったがそこまでではなかったのに安堵した。
フゥ2が私の頭の辺りでゴソゴソして一分もしない内に清楚な服を着た女の人と、白衣を着た男の人が入ってきた。そこで此処は病院なんだと察した。
簡単に検査をして、特に問題がないと判断された。
「君が此処に着た経緯は警察の方が説明してくれるとして、運ばれた時には背中側の肋骨に数ヶ所のヒビがあったから治療したよ。それと少々栄養失調になっていたから点滴もね。」
『ヒビ!?』
いつそんな怪我をしたのかと疑問に思ってしまうほどヒーロー殺しとの戦いで痛みを感じていなかった。
背中ということは壁に叩き付けられた時なのかもしれないという想定しかつけられない。
栄養失調なのはこの職場体験中にパンしか食べていないからだろう。
医者の話が終わり部屋を出ていったので、私は起き上がって近くに置いてあった靴を履く。
「ちょちょっ!暫くは安静にしていないとでしょう!」
「動いちゃダメだよ!寝ていないと!」
『でもいっくん達が心配だから。見に行くだけだよ。』
身体に付けられたギプスのせいで動きにくい。
壁伝いに歩いていると呆れながらもウィスパーが支えてくれた。
「仕方ないなぁ…。フユニャン、霊和ちゃんに取り憑いてくれる?」
「ああ。」
フユニャンに取り憑かれると、身体が軽くなった。
『って、浮いてる!?』
ウィスパーに持ち上げられてるわけではないのに足が床から離れていた。
「オレの取り憑きは色々な意味で浮かせることだからな。」
例えばクラスで一人だけ空気が読めずに浮いている人だとか、フラフラして一定のモノに執着しない人だったり、言葉のあやとして使われる"浮く"もフユニャンの取り憑きの一つであり、物を"浮かす"ことも取り憑きに含まれている。
「これでウィスパーが調整して霊和ちゃんが足を動かしていれば歩いているように見えるでしょ。
変な人に見られないし、身体に負担も掛けない。いいアイディアじゃない!?」
『他の人の目を気にすることはないからウィスパーに掴んでもらうのはいいや。』
「そんなぁ!」
指で軽く壁を押せば、力とは反対側へ進む。
これじゃフユニャンが風に飛ばされる訳だと思った。
ウィスパーに案内して貰って同じ階にいるいっくん達の部屋に入る。
『お邪魔します。』
「霊和ちゃん!?」
「起きたのか。」
ウィスパーに手を引かれてベッドまで近付くと、いっくんがウィスパーを押し退けて手を掴まれた。
「結構大きな怪我したって聞いたけど、此処に来て大丈夫だった?僕のベッドに座りなよ。」
手を繋いだことで見えたウィスパーに謝り、優しく私をベッドに座らせてくれた。
「妖見さん、僕が軽率な行動をしたせいで危険な事に巻き込んでしまってすまなかった…。」
飯田くんから、ヒーロー殺しに大怪我をされたインゲニウムこと飯田くんのお兄さんの敵(カタキ)を取るために、怪我をしているプロヒーローを助けるという名目の下ヒーロー殺しに挑んだ事、そして手も足も出なくて助けられた事、敵を取るという私欲に溺れヒーロー殺しに諭された事を教えて貰った。
『そうだったんだ…。
理由がどうあれヒーロー殺しは捕まりネイティブは助かったからいいんじゃないかな。
困ってる人を助けるのが私の夢!それはネイティブも飯田くんもだよ!』
親指を立ててにっこりとする。すると皆して何故か笑う。
「ね。霊和ちゃんも許してくれたでしょ。」
「そうだな…。
本当に君達のような素晴らしい友人が作れて僕は嬉しいよ。」
飯田くんが目に涙を浮かべるので、私は慌ててウィスパーからハンカチを借りて飯田くんに渡すなんてやり取りもした。