暫くして事情聴取は終わった。

「事件の協力ありがとう。
これで次に進められそうだ。」

『お金ナイダーがお金ナイダーになれたからです。
妖怪にならずに成仏の選択も出来たはずです。』

今じゃ妖魔界を満喫しているらしい。
ただ"業"というのか、お金がないひもじい生活はお金ナイダーな限り続くだろう。

「ー…やはり世間の意見は当てにならないな。」

『？』

「…私は私の目で見た事を信用している。コイツの事もそうだ。」

ナイトアイはお金ナイダーを横目で見る。

「オールマイトはアホだがバカではない。それは相棒だった私が一番知っている。
背中を預ける人間を間違えるほど落ちぶれてはいない。」

『そうですね！
オールマイトとナイトアイの戦いは信頼しあってるのがテレビからでも伝わっていました。』

格好良いオールマイトの姿を思い出して興奮気味になる。
フゥ２にそうじゃないと咎められる。

『へ？違った？』

「…。
だから世間が何と言おうと、君は自分を信じろ。私が保障してやろう。」

『…っ！』

ようやくナイトアイの言いたい事が理解出来た。
ナイトアイはオールマイトとオール・フォー・ワンの戦いを見ていて、私に対して世間の批判的な意見も知っていたのだ。
それに対する慰めだったのだろう。まだまだ人の思考を読み解くのが苦手みたいだ。

『ありがとうございます。
私は大丈夫です。私を知っていて味方してくれる友達が沢山いますから。』

ジバニャンの頭を撫でる。
妖怪だけじゃない。いっくんもかっちゃんも、クラスの皆も私の友達でいてくれる。信じてくれる。

「…そうか。私の言葉など必要なかったな。」

ナイトアイはそろそろ帰ってお金ナイダーの資料を纏めなければならないと席を立った。

お金ナイダーも少し名残惜しそうに妖魔界へ帰り、ナイトアイもお父さんと学校を出ていった。
私達はもう暫く根津と一緒にいたくて、応接室から校長室へと移っておしゃべりをした。

R5.07.11
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