101話
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始業式から4日、謹慎していたいっくんが今日から復帰した。遅れた分を取り戻そうと、いつにもまして気合いが入っている。
「全員席につけ。」
いっくんの応援をしていると、相澤先生が教室に入って来て皆は自分の席に着く。
「おはよう。
じゃあ緑谷も戻ったところで、本格的にインターンの話をしていこう。
入っておいで。」
『?』
相澤先生がそう言うと、教室のドアが開いて、3人の雄英生が入ってきた。
「職場体験とどういう違いがあるのか、直に経験している人間から話してもらう。
多忙な中都合を合わせてくれたんだ。心して聞くように。」
「自分で説明するんじゃないんですね。」
「こういう時いつも相澤先生って他人任せだよね。」
ウィスパーとフゥ2がこそこそと話している。
「現雄英生の中でもトップに君臨する3年生3名。通称“ビッグ3”の皆だ。」
「学校の中で一番プロヒーローに近い存在…。」
「あの人達が…的な人がいるとは聞いてたけど…。」
『そうなの?』
「めっちゃ綺麗な人いるし、そんな感じには見えねー…な?」
ビッグ3なんて初めて聞いた…。
「じゃ、手短に自己紹介よろしいか?まず天喰から。」
「……。」
相澤先生に促され、天喰と呼ばれた黒髪の人が顔を上げる。
「「「「!?」」」」
鋭い目付きに全員が怯んだが、すぐに天喰先輩は小刻みに震え出した。
「だめだミリオ……波動さん……。
ジャガイモだと思って臨んでも……頭部以外が人間のままで以前人間にしか見えない。
どうしたらいい、言葉が……出てこない……。頭が真っ白だ……辛いっ……!」
「うわぁ……。」
天喰先輩の発言に、皆の肩の力は抜けたがどう反応していいか困る。
フゥ2は呆れたような顔をしていた。
『緊張してるのかな?』
「あんなナリしていて上がり症なんですね。」
天喰先輩はしまいには帰りたい……!と体をくるっと回転させて背中を見せた。
「あ、聞いて天喰くん!
そういうのノミの心臓って言うんだって!ね!人間なのにね!不思議!」
女の先輩が止めを刺す。
ウィスパーがコントか!と思わずツッコんだ。
おでこと黒板をあわせる天喰先輩に代わって、女の先輩が話を続けた。
「彼はノミの"天喰環"。それで私が"波動ねじれ"。今日は"インターン"についてみんなにお話してほしいと頼まれてきました。」
ノミ……。
あ、あれかな?かっちゃんがいっくんの事デクって呼ぶ的なことかな?
今じゃいっくんも嫌がってないし、天喰先輩も好きで言われてるのかもしれない。きっとそうだ。
「けどしかしねえねえところでキミはなんでマスクを?風邪?おしゃれ?」
波動先輩は最後の一人を紹介せずに一番前に座っていた障子くんに質問する。
「これは昔に……。」
「あらあなた轟くんだよね!?ね!?なんでそんなところをやけどしたの!?」
「それは…、」
「芦戸さんはその角折れちゃったら生えてくる?動くの!?ね?
峰田くんのボールみたいなのは髪の毛?散髪はどうやるの!?
蛙吹さんはアマガエル?ヒキガエルじゃないよね?
どの子も皆気になるところばかり!不思議!」
波動先輩は質問の返事を聞くこともなく皆に質問を投げかけていく。
「幼稚園児みたいだ。」
「オイラの玉が気になるって!?ちょっとちょっと、セクハラですって先輩!」
波動先輩の好奇心旺盛さに中々話が進まず、合理性に欠くね。と相澤先生が怒りのオーラを放つ。
相澤先生の怒りに触れた最後の1人が慌てて前に出る。
「安心してくださいイレイザーヘッド!大トリは俺なんだよね!!」
天喰先輩がミリオと呼んでいた人だ。
「前途ー!?」
『??』
意味がわからなく周りを見渡すが皆も反応を示さない。教室がシーンと静まり返るなか、先輩はジェスチャーをぶんぶんしながら更に言う。
「多難ー!!つってね!よォしツカミは大失敗だ!」
つまらない話をさせるおすべり様が取り憑いているんじゃないかと疑う。
ポカーンとした表情を浮かべる私達に、その先輩は続けた。
「まァ何がなにやらって顔してるよね。
必修てわけでもないインターンの説明に突如現れた3年生だ。そりゃわけもないよね。
1年から仮免取得……だよね、フム。今年の1年生ってすごく……元気があるよね。
そうだねェ……なにやらスベり倒してしまったようだし──
──キミ達まとめて、俺と戦ってみようよ!」
先輩の言葉に、私達は驚きの声を上げた。
「戦って…?」
「いきなりかよ。」
「俺達の経験をその身で経験した方が合理的でしょ?
どうでしょうね、イレイザーヘッド!」
「…好きにしな。」
相澤先生の許可が下り、私達は体操服に着替えて、体育館γに向かった。
でも正直クラスの誰も納得いってない表情だ。そんな私達を気にも留めずミリオ先輩は準備体操をする。
「あの……マジすか。」
「マジだよね!」
そんな先輩に、また壁とおでこを合わせている天喰先輩は「ミリオ……止めた方がいい。」なんてぼそぼそ言う。
「形式的に"こういう具合でとても有意義です"と語るだけで十分だ。みんなが皆上昇志向に満ち満ちているわけじゃない。立ち直れなくなる子が出てはいけない。」
「あ、聞いて。知ってる?昔挫折しちゃってヒーロー諦めちゃって問題起こしちゃった子がいたんだよ。知ってた!?
大変だよねぇ。通形、ちゃんと考えないと辛いよこれ辛いよー。」
三奈ちゃんの角を弄る波動先輩は脅すように注意をする。三奈ちゃんは角を弄られちょっとだけ恥ずかしそうだ。
その言葉に常闇くんが待ったをかけた。
「待って下さい。我々はハンデありとはいえプロとも戦っている。」
「そして"敵"との戦いも経験しています!そんな心配されるほど、俺ら雑魚に見えますか?」
常闇くんに切島くんが便乗する。
だが遠形先輩は意見を変えない。
「うん、いつどっから来てもいいよね。
一番手は誰だ?」
「俺が…!」
「僕、行きます!」
切島くんが出ようとしたが、いっくんが先に前に出た。いつも以上に活気のあるいっくんは、謹慎があった3日間でついた差を取り戻すんだと意気込む。
「問題児!いいね君!
やっぱり元気があるなぁ!」
心做しかわくわくしてる通形先輩を前に、全員が戦闘態勢に入る。
「近接隊は一斉に囲んだろうぜ!」
「行くぜ!」