99話
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授業が終わり私達は早急に妖魔界へと向かった。
エンマ大王に会える最寄りのうんがい鏡に飛び、宮殿にある鏡の中に入る。
以前エンマ大王と会った場所ではなく、エンマ大王の座っている巨大な椅子以外何もない殺風景な場所だった。正式に会える謁見場らしい。
『こんにちはエンマ大王。』
「霊和じゃないか!仮免の報告に出向いてくれたのか!?」
どうして知ってるのか聞いたら、昨日の仮免試験は中継で妖魔界に流れていたらしい。
エンマ大王も結果は知っているが一応報告しておいた。
妖魔界へ来た本題の話をエンマ大王にする。
「──…妖魔界の汚点、悪意か…。
妖魔界最恐妖怪といえば空亡(ソラナキ)だ。ミケッティオもいるが奴らは無限地獄の中のはず…。
ぬらり、脱獄している者がいないかどんどろに確認を取ってくれ。」
「はっ。かしこまりました。」
妖魔界の牢獄と言われる無限地獄の監守に連絡するため、エンマ大王の横に立っていたぬらりひょんが鏡の向こうへ消えていく。
「気になるのが限られた者しか知らないってことだ。
限られた者が人間に情報を渡してるんだ。」
「そうか!"妖魔界の汚点"にばかりに目を向けていたけど、"敵"と接触していた妖怪を探せば何か分かるはずじゃん!」
「人間(オール・フォー・ワン)と接触していた被害者なら報告書があるはずだ。」
オール・フォー・ワンは、かつて妖魔界を征服しようと妖怪ウォッチを使って妖怪を隷属させていた。
その被害者は今も妖魔界で過ごしているらしい。
エンマ大王の後に続き鏡を通り、エンマ大王の執務室に移動した。
厳重に管理された書棚を物色し、一つのフォルダを取り出した。
「ここに載ってるはずだ。」
写真付きでその時の状況が記載されていた。オール・フォー・ワンも載っていたが、今の姿とは大分違っていてまだ人間らしい姿だった。
「人間(オール・フォー・ワン)の一番目の友達は──"USAピョン"だ。」
「USAピョン!?」
「アイツだったニャン!?」
USAピョンといえば、妖魔界に初めて来た時に武道会で会ったウサギ耳のヘルメットを被った妖怪だったはず。
「オール・フォー・ワンに支配されていたから人間が嫌いだと言ってるんですね。」
「みたいだね。」
私を見て逃げたのも、同じ人間に怖い目に逢わされたからだったのだ。
会いたいがメダルも持っていなく、あそこまで拒否られているUSAピョンに会って話をするのは難しそう。
フゥ2達に任せるか考えているとぬらりひょんが帰ってきた。
「此方にいらっしゃったのですね。」
「調べものをしててな。そちらはどうだった?」
「誰も脱獄した者はいないようでした。昔脱獄癖のあった者も人間界の牢獄を真似てからは大人しいようです。」
『(脱獄癖…。)』
凄い性癖のようだ。脱獄しなければ刑期も増えないのに…。
どうでもいい単語に気を引かれていると、ぬらりひょんが言葉を考えるように口にする。
「私も考えたのですが…、どうして"妖魔界の悪意"となるのかと…。最初は妖魔界イコール妖怪としていたのですが、それならば態々妖魔界ではなく妖怪と言えばいいはずです。」
「妖怪の悪意とか妖怪の汚点とかだとダサいからじゃない?」
「妖怪一の悪意なら空亡を指すが汚点と言われるほどではない。妖怪一の汚点ならば対した者ではなくなる。
そこで"妖魔界"がキーになっているのです。妖魔界ということは妖魔界の中心のエンマ族並びに歴代エンマ大王になるお方達を指しているのではないかと考えました。」
皆の視線がエンマ大王に集まる。
「……俺か?」
「いやいやいや、無いでしょう!今もこうしてここにいらっしゃいますし、一緒に調べる必要もないじゃないですか。」
ウィスパーが全力で否定する。私も同意件だ。
「人間界に居て、人間にも見える……エンマ大王様の片割れがいらっしゃいますよね。」
「「っ!!」」
『??』
どういうことだろう。エンマ大王には双子の兄弟でもいるのだろうか?
私とウィスパー以外が深刻そうな顔をする。
「200年前、先代閻魔大王様には息子がいました。名を──"紫炎"。」
何も知らない私のために簡単に説明してもらった。
紫炎は次期王になろうと腕を磨き配下を増やしながら力を入れていったが、過度な力への執着は他者の犠牲さえも厭わぬ歪んだ欲望へと変容してしまった。
当代閻魔大王は紫炎を次期王にするには王に足りる心を持ち合わせていないと判断し、大王の後継者を決める妖魔武道会を開催した。
納得の行かなかった紫炎が妖魔武道会で暴走してしまい、倒したのが"ウォッチ使い"と呼ばれた人間達だった。その中には未来からやってきたケータ──つまり人間の頃のフゥ2もいた。
なかなかの苦戦を強いられたものの、"ウォッチ使い"の一人の魂が"紫炎の善意"を呼び覚まし正気に戻した。その時"紫炎の善意"と"ウォッチ使い"の一人の魂が結び付き生まれたのが今のエンマ大王だった。
「紫炎様の"善意"はエンマ大王様となり、紫炎様の"悪意"は一つの個体となりました。それが…"マオ"。」
「っ、」
エンマ大王が苦虫を潰したような顔をする。
『悪意だけの存在って危ないんじゃない?その妖怪も無限地獄にいるの?』
「マオ様は先代閻魔大王様に妖力と記憶を封印され、"日陰真生"として人間界で暮らしております。」
一部の妖怪は人間に化ける事が出来る。チョーシ堂のおじいさんもそうだ。
しかし妖怪と人間じゃ寿命に差があるので年齢を偽って過ごさねばならない苦労がある。
『じゃあ"覚醒"ってその人の力の封印が解かれるってこと…?』
「恐らく…。」
「っ違ェ!!アイツは無悪だ!誰の脅威にもならない!
定期に連絡も取っている!"敵"の手になんて……っ!?」
自分で自分の言葉の矛盾点に気付き声を無くした。
「そうです。連絡が取れないと嘆いておられたのは大王様ですよ。」
「俺にも言ってたよね。」
以前此処に来た時にフゥ2だけ残され、連絡が取れないことを相談されたらしい。
「"妖魔界の汚点"とは隠さなくてはいけない事実のことでしょう。」
「USAピョンも俺達のサポートをしてくれてたからマオくんの事は知ってる。
"敵"に無理矢理吐かされたのかもしれない。」
まだ日陰真生が"敵"と接触した者なのかは定かでない。だが話を聞けば聞くほどその人なんじゃないかという可能性が高くなった。
此処で憶測を語ったところでどうにもならないと、USAピョンを呼んで事情聴取をしなければならない。
フゥ2が連絡を取り、エンマ宮殿に来るよう頼む。
数十分程待ってUSAピョンが来訪した。
「ダニっ!?人間がいるなんて聞いてないダニよ!」
私を見てすぐに帰ろうとするUSAピョンをフゥ2が止める。
USAピョンは私からだいぶ離れて話をした。
「──…お、覚えてないダニ!言ったとしても、あの時は怖くて痛くて逆らえなかったダニ!仕方なかったんダニ!」
「責めているわけじゃない。事実を確かめたいんだ。
お前がサポートしてくれたから俺は今こうしてこの座に座っていられるんだ。
感謝してこそ責めることはない。」
「っ…、」
長い間の後に「言ったかもしれないダニ。」と自供した。
エンマ大王はUSAピョンの言葉を聞きぬらりひょんに指示を出し、ぬらりひょんが各所に連絡を取り出した。
「…霊和にフゥ2達よ、マオを見付け出す為に力を貸してくれないか。」
「「『勿論!』」」
私達は間髪入れずに頷いた。
R03.03.14
エンマ大王に会える最寄りのうんがい鏡に飛び、宮殿にある鏡の中に入る。
以前エンマ大王と会った場所ではなく、エンマ大王の座っている巨大な椅子以外何もない殺風景な場所だった。正式に会える謁見場らしい。
『こんにちはエンマ大王。』
「霊和じゃないか!仮免の報告に出向いてくれたのか!?」
どうして知ってるのか聞いたら、昨日の仮免試験は中継で妖魔界に流れていたらしい。
エンマ大王も結果は知っているが一応報告しておいた。
妖魔界へ来た本題の話をエンマ大王にする。
「──…妖魔界の汚点、悪意か…。
妖魔界最恐妖怪といえば空亡(ソラナキ)だ。ミケッティオもいるが奴らは無限地獄の中のはず…。
ぬらり、脱獄している者がいないかどんどろに確認を取ってくれ。」
「はっ。かしこまりました。」
妖魔界の牢獄と言われる無限地獄の監守に連絡するため、エンマ大王の横に立っていたぬらりひょんが鏡の向こうへ消えていく。
「気になるのが限られた者しか知らないってことだ。
限られた者が人間に情報を渡してるんだ。」
「そうか!"妖魔界の汚点"にばかりに目を向けていたけど、"敵"と接触していた妖怪を探せば何か分かるはずじゃん!」
「人間(オール・フォー・ワン)と接触していた被害者なら報告書があるはずだ。」
オール・フォー・ワンは、かつて妖魔界を征服しようと妖怪ウォッチを使って妖怪を隷属させていた。
その被害者は今も妖魔界で過ごしているらしい。
エンマ大王の後に続き鏡を通り、エンマ大王の執務室に移動した。
厳重に管理された書棚を物色し、一つのフォルダを取り出した。
「ここに載ってるはずだ。」
写真付きでその時の状況が記載されていた。オール・フォー・ワンも載っていたが、今の姿とは大分違っていてまだ人間らしい姿だった。
「人間(オール・フォー・ワン)の一番目の友達は──"USAピョン"だ。」
「USAピョン!?」
「アイツだったニャン!?」
USAピョンといえば、妖魔界に初めて来た時に武道会で会ったウサギ耳のヘルメットを被った妖怪だったはず。
「オール・フォー・ワンに支配されていたから人間が嫌いだと言ってるんですね。」
「みたいだね。」
私を見て逃げたのも、同じ人間に怖い目に逢わされたからだったのだ。
会いたいがメダルも持っていなく、あそこまで拒否られているUSAピョンに会って話をするのは難しそう。
フゥ2達に任せるか考えているとぬらりひょんが帰ってきた。
「此方にいらっしゃったのですね。」
「調べものをしててな。そちらはどうだった?」
「誰も脱獄した者はいないようでした。昔脱獄癖のあった者も人間界の牢獄を真似てからは大人しいようです。」
『(脱獄癖…。)』
凄い性癖のようだ。脱獄しなければ刑期も増えないのに…。
どうでもいい単語に気を引かれていると、ぬらりひょんが言葉を考えるように口にする。
「私も考えたのですが…、どうして"妖魔界の悪意"となるのかと…。最初は妖魔界イコール妖怪としていたのですが、それならば態々妖魔界ではなく妖怪と言えばいいはずです。」
「妖怪の悪意とか妖怪の汚点とかだとダサいからじゃない?」
「妖怪一の悪意なら空亡を指すが汚点と言われるほどではない。妖怪一の汚点ならば対した者ではなくなる。
そこで"妖魔界"がキーになっているのです。妖魔界ということは妖魔界の中心のエンマ族並びに歴代エンマ大王になるお方達を指しているのではないかと考えました。」
皆の視線がエンマ大王に集まる。
「……俺か?」
「いやいやいや、無いでしょう!今もこうしてここにいらっしゃいますし、一緒に調べる必要もないじゃないですか。」
ウィスパーが全力で否定する。私も同意件だ。
「人間界に居て、人間にも見える……エンマ大王様の片割れがいらっしゃいますよね。」
「「っ!!」」
『??』
どういうことだろう。エンマ大王には双子の兄弟でもいるのだろうか?
私とウィスパー以外が深刻そうな顔をする。
「200年前、先代閻魔大王様には息子がいました。名を──"紫炎"。」
何も知らない私のために簡単に説明してもらった。
紫炎は次期王になろうと腕を磨き配下を増やしながら力を入れていったが、過度な力への執着は他者の犠牲さえも厭わぬ歪んだ欲望へと変容してしまった。
当代閻魔大王は紫炎を次期王にするには王に足りる心を持ち合わせていないと判断し、大王の後継者を決める妖魔武道会を開催した。
納得の行かなかった紫炎が妖魔武道会で暴走してしまい、倒したのが"ウォッチ使い"と呼ばれた人間達だった。その中には未来からやってきたケータ──つまり人間の頃のフゥ2もいた。
なかなかの苦戦を強いられたものの、"ウォッチ使い"の一人の魂が"紫炎の善意"を呼び覚まし正気に戻した。その時"紫炎の善意"と"ウォッチ使い"の一人の魂が結び付き生まれたのが今のエンマ大王だった。
「紫炎様の"善意"はエンマ大王様となり、紫炎様の"悪意"は一つの個体となりました。それが…"マオ"。」
「っ、」
エンマ大王が苦虫を潰したような顔をする。
『悪意だけの存在って危ないんじゃない?その妖怪も無限地獄にいるの?』
「マオ様は先代閻魔大王様に妖力と記憶を封印され、"日陰真生"として人間界で暮らしております。」
一部の妖怪は人間に化ける事が出来る。チョーシ堂のおじいさんもそうだ。
しかし妖怪と人間じゃ寿命に差があるので年齢を偽って過ごさねばならない苦労がある。
『じゃあ"覚醒"ってその人の力の封印が解かれるってこと…?』
「恐らく…。」
「っ違ェ!!アイツは無悪だ!誰の脅威にもならない!
定期に連絡も取っている!"敵"の手になんて……っ!?」
自分で自分の言葉の矛盾点に気付き声を無くした。
「そうです。連絡が取れないと嘆いておられたのは大王様ですよ。」
「俺にも言ってたよね。」
以前此処に来た時にフゥ2だけ残され、連絡が取れないことを相談されたらしい。
「"妖魔界の汚点"とは隠さなくてはいけない事実のことでしょう。」
「USAピョンも俺達のサポートをしてくれてたからマオくんの事は知ってる。
"敵"に無理矢理吐かされたのかもしれない。」
まだ日陰真生が"敵"と接触した者なのかは定かでない。だが話を聞けば聞くほどその人なんじゃないかという可能性が高くなった。
此処で憶測を語ったところでどうにもならないと、USAピョンを呼んで事情聴取をしなければならない。
フゥ2が連絡を取り、エンマ宮殿に来るよう頼む。
数十分程待ってUSAピョンが来訪した。
「ダニっ!?人間がいるなんて聞いてないダニよ!」
私を見てすぐに帰ろうとするUSAピョンをフゥ2が止める。
USAピョンは私からだいぶ離れて話をした。
「──…お、覚えてないダニ!言ったとしても、あの時は怖くて痛くて逆らえなかったダニ!仕方なかったんダニ!」
「責めているわけじゃない。事実を確かめたいんだ。
お前がサポートしてくれたから俺は今こうしてこの座に座っていられるんだ。
感謝してこそ責めることはない。」
「っ…、」
長い間の後に「言ったかもしれないダニ。」と自供した。
エンマ大王はUSAピョンの言葉を聞きぬらりひょんに指示を出し、ぬらりひょんが各所に連絡を取り出した。
「…霊和にフゥ2達よ、マオを見付け出す為に力を貸してくれないか。」
「「『勿論!』」」
私達は間髪入れずに頷いた。
R03.03.14