98話
夢小説設定
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『善は急げ!今から行ってこよう!』
「今から!?
もう遅いから明日にしようよ。試験で疲れてるでしょ。」
フゥ2に同調するように、ジバニャンに寝たいと言われた。
『良い人だったら"敵"に嫌なことされてるかもだし、悪い人だったら"敵"と手を組んだ時危険なのに…。』
ムスッと不貞腐れていると遠くで激しい音がした。
─ドォォオンッ!!
『!?』
『何ニャン!?』
爆発があった場所から煙が立ち上っている。
「ねぇ、二人が行った方向じゃない…?」
『!』
フゥ2の呟きに、いっくんとかっちゃんが学校方面に向かった事を思い出す。
また"敵"の襲撃にあったのかもしれない。
急いで向かおうとすると、フゥ2の携帯に着信が入り、画面に一杯ウィスパーの顔が映る。
<<大変です!出久くんの個性が勝己くんにバレてしまい、喧嘩になってしまいました!!>>
画面の向こう側では、かっちゃんが一方的に個性を使っているのが見える。
「……。
すぐに相澤先生が駆け付けるだろう。相澤先生を止めてから私と君だけで向かおう。」
『は、はい!』
個性の事だから自分でケリをつけたいのだろう。
寮から出てきた相澤先生に事情を話し、私は雷オトンと合体してオールマイトを連れて二人の下に向かう。
「なんかピリピリしないかい?」
『そうですか?』
ウィスパーからのテレビ電話越しに二人の会話を聞く。
かっちゃんは、自分と同等に憧れであるオールマイトから認められたいっくんに嫉妬した。そして自分が"敵"に捕まったことで、オールマイトのヒーローを終わらせてしまった事を後悔していたのだ。
かっちゃんからの本音を聞き、いっくんも交戦に応じてしまった。
二人の個性がぶつかり、ウィスパーが吹き飛んでしまって中継は途中で終わってしまったが辿り着くと、
いっくんが拳を使ってかっちゃんの顔面を殴る処だった。
しかし、風圧でガラスが吹き飛ぶほどの激しい戦いは、かっちゃんの意地でいっくんを押さえ付けて勝った。
「オールマイトの力…そんな力を持ってても自分のモンにしても、俺に負けてんじゃねえか。
なあ、なんで負けてんだ…!」
「そこまでにしよう、二人共。」
二人共負傷していて、これ以上個性を使えるような体力も残ってないように見える。
「オール…!」
「…マイト。」
他者がいることに気付き、かっちゃんはいっくんから退いた。
「気付いてやれなくてすまなかった。」
私は変身を解き、少し離れて事を見守る。
かっちゃんは自分の気持ちをもう一度さらけ出す。オールマイトは受け止め励ましていた。
「……デクとあんたの関係知ってんのは。」
「リカバリーガールと校長、生徒では君と妖見少女だけだ。」
「「え/はあ!?」」
二人同時に驚きの声を上げる。オールマイトはいっくんに教えてなかったみたいだ。
『私は偶々知っちゃっただけだよ。かっちゃんみたいに頭良くて気付いた訳じゃないもん。』
「っ!」
「霊和ちゃん!?」
座り込んでいたいっくんの肩が上がる。
「偶然会ってね、此処まで連れて来てもらったんだ。」
「個性の事知ってたって…。」
『本当に偶々なの。
この姿のオールマイトと会って、最初はムキムキのオールマイトは変身してる姿なんだって勘違いしてたよ…。』
「この姿でオールマイトだとバレてしまってね…私に憑いている妖怪に事細かにネタバラシされてしまったんだ。」
「「(あり得ねえ/ない……。)」」
嘘付いてないのに、二人共微妙な顔をする。
かっちゃんは個性の事を秘密にすると誓い、オールマイトは個性の事、後継に至ったまでを全て話した。
「私が力尽きたのは私の選択だ。さっきも言ったが、君の責任じゃないよ。」
オールマイトの後に付きながら寮に戻る道で、もう一度かっちゃんが悪いわけじゃないと念を押した。
「…結局、俺のやることは変わんねぇや。」
「うん、そうだね。」
かっちゃんの言う通りだ。
私達はヒーローになるために頑張るのみだ。
「ただ、今までとは違ぇ。デク、お前が俺や周りを見て吸収したように、俺も全部俺のモンにして上に行く!選ばれたお前よりもな。」
「じゃあ僕はその上も行く!行かなきゃいけないんだ!」
「だからそのテメェを越えて行くっつってんだろうが!」
「否だからその上を行かなきゃいけないって話で!」
二人共譲る気はないみたいでまた喧嘩が始まってしまった。
だけど…、
『私も二人に負けないから!
オールマイトと約束したもん!』
「「!?」」
オールマイトみたいに存在だけで"敵"を抑制させるような強いヒーローになるって決めたんだ。
二人に負けてなんていられない。
またかっちゃんに、お前は守られてればいいなんて言われたけど絶対に頷かないよ。
R03.02.13