97.5話
夢小説設定
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
収容されたオール・フォー・ワンとはそれ以降会えていない。
恩師が捕まり精神も以前以上に病んだ。しかし自分の成せばならないことを思い出し今動いたのだ。
獣道から光輝く小川へと出た。小川沿いに緩やかな斜面を登ること5分…山の斜面にぽっかりと空いたトンネルが見えた。
「…此方のようですね。」
人2人がやっと並べるくらい小さなトンネルの中は暗く、反対側の出口は見えなかった。
黒霧が携帯のライトを照らして中に入る。死柄木も二歩遅れて進んだ。
トンネルの中は迷路のようになっていた。オール・フォー・ワンの地図を見ながら右へ左へと歩む。
手書きだが正確な地図を見て、オール・フォー・ワンは不祥事に備えていたのだと気付いた。
そして地図で記された最後の角を曲がると鉄の扉が現れた。横には何かを認証する機械がある。
「開きませんね…。これはカードか何か認証させる必要があるようですが分かりません。」
「……。」
後ろで突っ立っていた死柄木が一歩前に出る。
扉横の機械に右手を当てる。個性が使えないから出来ることだった。
──ガチャ
「!」
ロックが外され扉が少し開いた。
ドアノブを押し、中へ入ると廊下のような場所に出た。広々とした廊下は真っ直ぐ奥に繋がっている。
死柄木は左右にある扉に目もくれず真っ直ぐ進む。
一番奥まで着くと一つの扉がある。
それよりも目に届くのは、目の前の壁一面にあるびっしりと貼ってある紙だ。ミミズのような字で何と書いてあるか分からないが、このようなものを見たことはある。
「…御札、ですかね。」
「先生がこんな悪趣味だったなんて知らなかったぜ。」
皮肉めいたことを言っていないと正気ではいられない。そんな雰囲気を醸し出している。
中に何があるのか二人とも知らない。
未知への恐怖に一瞬怖じ気付いたが止まってられない。
黒霧が先頭を切ってドアノブに手を掛けた。
「これは……、」
黒霧に続いて死柄木も中に入ると、そこには鎖で繋がれた人が立っていた。立っていると言っても両手を大の字で拘束され座れないようにされている。
「……だれ?」
「!」
拘束された人間から発せられた声に驚く。
オール・フォー・ワンが捕まってから約2週間、誰もこの場所に立ち寄ることなどないだろう(もしかしたら脳無が巡回してるかもしれないが)。飲まず食わずで生きていられた事が奇跡だ。
拘束された人間はというと、20代の青年で、髪は長めの漆黒、片目が髪で隠れているが平凡な面をしている。ずっと拘束されているからか筋肉も無さそうな細身だった。服装はワイシャツにズボンとシンプルだが、ほこりや焦げ痕があって薄汚い。
「先生に言われて来た。お前が俺の役にたつと言われたけど盾にもならなそうな貧弱じゃん。」
しかも拘束されているところを見る限り協力者ではない。
オール・フォー・ワンが言っていた"覚醒"というのが気になるが……。
「私達は貴方の事について詳細を聞いていません。どうして拘束をされているのかお聞きしてもいいですか?」
「……、わからない。」
「…そうですか。」
暫しの沈黙に、何か知っている。黒霧はそう確信した。
しかし協力関係を築かなくてはいけないのなら無理に聞いてはいけない。
「ならお名前だけでも教えてくれませんか?貴方をどう呼べばいいのかわかりません。」
「……マオ。日影真生。」
…────
こうして"敵"連合と、日の影で生きる青年が出会ってしまった。
そして"覚醒"とはどういう意味なのだろうか……
R03.01.23
恩師が捕まり精神も以前以上に病んだ。しかし自分の成せばならないことを思い出し今動いたのだ。
獣道から光輝く小川へと出た。小川沿いに緩やかな斜面を登ること5分…山の斜面にぽっかりと空いたトンネルが見えた。
「…此方のようですね。」
人2人がやっと並べるくらい小さなトンネルの中は暗く、反対側の出口は見えなかった。
黒霧が携帯のライトを照らして中に入る。死柄木も二歩遅れて進んだ。
トンネルの中は迷路のようになっていた。オール・フォー・ワンの地図を見ながら右へ左へと歩む。
手書きだが正確な地図を見て、オール・フォー・ワンは不祥事に備えていたのだと気付いた。
そして地図で記された最後の角を曲がると鉄の扉が現れた。横には何かを認証する機械がある。
「開きませんね…。これはカードか何か認証させる必要があるようですが分かりません。」
「……。」
後ろで突っ立っていた死柄木が一歩前に出る。
扉横の機械に右手を当てる。個性が使えないから出来ることだった。
──ガチャ
「!」
ロックが外され扉が少し開いた。
ドアノブを押し、中へ入ると廊下のような場所に出た。広々とした廊下は真っ直ぐ奥に繋がっている。
死柄木は左右にある扉に目もくれず真っ直ぐ進む。
一番奥まで着くと一つの扉がある。
それよりも目に届くのは、目の前の壁一面にあるびっしりと貼ってある紙だ。ミミズのような字で何と書いてあるか分からないが、このようなものを見たことはある。
「…御札、ですかね。」
「先生がこんな悪趣味だったなんて知らなかったぜ。」
皮肉めいたことを言っていないと正気ではいられない。そんな雰囲気を醸し出している。
中に何があるのか二人とも知らない。
未知への恐怖に一瞬怖じ気付いたが止まってられない。
黒霧が先頭を切ってドアノブに手を掛けた。
「これは……、」
黒霧に続いて死柄木も中に入ると、そこには鎖で繋がれた人が立っていた。立っていると言っても両手を大の字で拘束され座れないようにされている。
「……だれ?」
「!」
拘束された人間から発せられた声に驚く。
オール・フォー・ワンが捕まってから約2週間、誰もこの場所に立ち寄ることなどないだろう(もしかしたら脳無が巡回してるかもしれないが)。飲まず食わずで生きていられた事が奇跡だ。
拘束された人間はというと、20代の青年で、髪は長めの漆黒、片目が髪で隠れているが平凡な面をしている。ずっと拘束されているからか筋肉も無さそうな細身だった。服装はワイシャツにズボンとシンプルだが、ほこりや焦げ痕があって薄汚い。
「先生に言われて来た。お前が俺の役にたつと言われたけど盾にもならなそうな貧弱じゃん。」
しかも拘束されているところを見る限り協力者ではない。
オール・フォー・ワンが言っていた"覚醒"というのが気になるが……。
「私達は貴方の事について詳細を聞いていません。どうして拘束をされているのかお聞きしてもいいですか?」
「……、わからない。」
「…そうですか。」
暫しの沈黙に、何か知っている。黒霧はそう確信した。
しかし協力関係を築かなくてはいけないのなら無理に聞いてはいけない。
「ならお名前だけでも教えてくれませんか?貴方をどう呼べばいいのかわかりません。」
「……マオ。日影真生。」
…────
こうして"敵"連合と、日の影で生きる青年が出会ってしまった。
そして"覚醒"とはどういう意味なのだろうか……
R03.01.23