97話
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警報が鳴り響き、ウィスパーに起こされる。
<<敵による大規模破壊が発生!
規模は○○市全域、建物倒壊により傷病者多数!>>
『始まるね。』
「うん。」
「頑張りましょう!」
1次試験同様控え室が展開し外の世界に繋がった。
<<道路の損壊が激しく救急先着体の到着に著しい遅れ!
到着する迄の救助活動はその場にいるヒーロー達が指揮をとり行う。
一人でも多くの命を救い出すこと!!!
START!>>
合図と共に全員駆け出す。
散り散りになられる前に私は声を張り上げる。
『皆さん!怪我人は私の所に連れて来てください!治します!』
多くの人が足を止めてくれたので話を続ける。
『他にも治療など医療に精通した人や、救助に使えない個性の人は残って私の手助けをお願いします!』
「…何であんたに従わなきゃなんねえ。」
ジャージを着た男の人が顔を歪めて反論する。それに続いて何人もの声がする。
「雄英だからってリーダー決まりか。」
「お前に指示される気はねーな。」
「ガキがしゃしゃり出んな。」
「ガキってたった1~2歳の差でしょう!?」
ウィスパーがツッコミを入れている。
『勝負はもう終わってます。今は救助が最優先ですよ!
人の命を助けるのに他校もなんもありません!』
「…っ」
ジャージの人は舌打ちして先に走り出す。他の人も言い返せずジャージの人に続いた。
換わりにワンピースを着た女の人が躍り出る。
「私なら人の体調が判るわ。症状の判断と治療の優先度を決めてあげる!」
「俺が簡易救護所作るよ。」
傑物高校の真堂くんも名乗り出てくれた。
救護に向かう人と、私と一緒に移動してくれる人に別れる。
私はキズナースと合体して準備していると、百ちゃんが意気込み個性を発動しようとしていた。
「私はマットや包帯を出しますわね!」
『あ、百ちゃんには救助の方に回ってほしいな。百ちゃんは分析力に長けてるから現場の指示役してくれるとありがたいな。』
「わかりました!
妖見さんの期待に沿えるよう頑張ってきますわ!」
百ちゃんは先にいったいっくん達を追い掛けた。
数分もすると何人か運ばれてくる。
ワンピースの人が腕から血を流した青年を連れてくる。
「左腕の傷、深くないけど広範囲に切り傷あり。体調に変化はないようよ。」
試験とは言え本当に怪我をしていた。HUCの人達は自分の身を減らして私達の為に働いてくれているんだ。嬉しいけど痛々しい気持ちになる。
『的確な診断ありがとうございます。
──すぐに治しますからね。』
不安を与えないよう笑顔で対応する。
手から黄緑色の光を放ち、怪我人の怪我を治す。
「凄い…本当に治ってる。」
徐々に傷の塞がっていく光景にワンピースの人は感激する。
「貴女のソレ(個性)、本物なのね。」
『?』
「個性に本物も偽物もないでしょうに。」
ウィスパーが半目になってツッコむ。
私もウィスパーと同意見だ。
「知らないの?ネットじゃ貴女の個性を当てようと躍起になってるんだから。」
『そうなんだ…。』
パソコンは持ってなく、スマホも高校になる時に買って貰ったくらいネットには疎い。調べものがあっても基本フゥ2かウィスパーが調べて教えてくれる。
「個性を公開してないからいろんな憶測が飛び交ってる。それこそオールマイトが弱ってしまった原因が貴女じゃないかってね。」
『し、してないよっ!』
あり得ない憶測に声を荒げる。
治していたHUCの人に集中しろと叱られた。
『ごめんなさいっ。すぐ治しますからね。』
怪我を治すと、待機していた人がHUCの人を連れて会場から避難させた。
すぐにまた重傷者が運び込まれ治療をする。ワンピースの人も減点されるわけにはいかず持ち場に戻った。
士傑高校の人が怪我人を一気に救助して、治療現場も慌ただしくなる。
『ウィスパー、妖怪ウォッチ出して。』
「了解です!」
妖怪ウォッチで治癒が出来る友達を出す。キズナメコに聖おかん、キュン太郎、イケメン犬、ほのぼのさせる黄色い雲みたいな見た目のホノボーノ、緑色の宝石で出来た猫エメラルニャンの6体に指示して治して貰う。
周りから不思議がる声が聞こえるが説明しにくいので、心苦しいけど無視した。
暫くすると子供を抱えたいっくんがやって来た。
いっくんも立派に救護出来てることに嬉しくなっていると、近場で爆発がした。
「な、なんでうぃす?!」
「びっくりしたニャン。」
耳を押さえるジバニャンを横目に、手を止めずに爆発した場所を見る。
<<敵が姿を現し追撃を開始!
現場のヒーロー候補生は敵を制圧しつつ救助を続行して下さい。>>
「"敵"!?」
「そういえば""敵"による爆発"って言ってた。救護だけで終わるわけなかったんだ。」
救護所からそこまで離れていない場所で"敵"役の人が次々に会場に入ってきた。
"敵"役のヒーローランキングNo.10のギャングオルカとそのサイドキックが暴れる。
「皆を避難させろ!"敵"から出来るだけ距離を置け!」
真堂さんが"敵"に個性を使う。サイドキック達は潰せたがギャングオルカにやられる。
轟くんが駆け付け、氷でギャングオルカとの壁を作った。
1次試験で竜巻を起こしていた士傑高校の夜嵐イナサくんも来てくれてそうとうな戦力になったんじゃないだろうか。
尾白くんと三奈ちゃんが来てくれて救護者の避難を手助けしてくれる。
「いいぞ!戦力が集まってる今のうちに避難を進めよう!」
「うん!」
救護者をおんぶしたり手を引いたりする受験生を見て私はどうするか悩む。
"敵"を倒しに行くか、避難させるのに回るか…。
いや、治癒すると宣言したのだ。途中で投げ出すわけにはいかない。
そう考えて背を向けて走り出した時、背後で吼える声が聞こえた。
あろうことか"敵"を前にして轟くんと夜嵐くんが口喧嘩をし出した。といっても夜嵐くんが一方的に轟くんを嫌っているような感じだ。
「ヒーローってのは俺にとって"熱さ"だ。熱い心が人に希望や感動を与える。伝える!
だからショックだった。その目からはただただ冷たい怒りしか伝わってこなかったから…。
そして入試の時あんたを見て、あんたがすぐに誰かわかった。なにせあんたは全く同じ目をしてた!」
昔エンデヴァーにサインを求め、「邪魔だ。」と冷たくあしらわれたそうだ。
「あいつと同じだと…?
ふざけんなよ。俺はあいつじゃねえ。」
轟くんはエンデヴァーの標となる炎を使わない程嫌っていた。
体育祭の時に炎は克服したようだが、それでもまだ嫌っている。そんな人と同じにされたら嫌だろう。
エンデヴァーは轟くんの事誇らしく思ってるだろうが親の心子知らずだ。
「俺はあんたら親子のヒーローだけはどうにも認められないっスよ!!」
二人同時に放った個性はギャングオルカの目の前でぶつかり合い弾かれた。
風に煽られ曲がった炎の先に真堂くんが倒れていた。寸前でいっくんが引っ張って退いてくれたお陰で助かったが、これじゃ二人とも足の引っ張り合いしかしないじゃないか。
『私の友達、出てきてホノボーノ!』
救護者の避難に向かわせたホノボーノを申し訳ないが此方に喚び寄せる。
『意識飛ばさないように夜嵐くんに取り憑いて。』
「わかったボーノ!」
これで喧嘩を止めてくれるだろう。
しかし取り憑きは遅かった。喧嘩により隙が出来ていた所をギャングオルカの超音波が襲い、個性を止めてしまい落ちてくる。
『ウィスパーごめんっ!』
「うぃいいっす!!?」
咄嗟に掴んだウィスパーを投げてクッション代わりにする。上手くウィスパーの上に落ちてくれた。