96話
夢小説設定
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試合開始してすぐに私達は囲まれた。
ボールが雨のように広範囲から放たれ、私達は個性を使ってボールに当たらないようにする。
「予想通りの展開だね。
……あとこっちも。」
避ける私の隣では全てのボールに当たってるんじゃないかってくらいボコボコにされたウィスパーがいる。まだ開始30秒もしていないのにこの有り様だ。
誰かに当たりそうになると他の人が守り、攻撃派とサポート派で協力する。
傑物高校の握手をしてきた人が地面を隆起させて地震を起こした。私はフゥ2とウィスパーに掴まれることで回避する。
隆起した地面は小山程上がり余儀なく移動させられた。
『地形変えちゃった。セメントス先生みたい。』
「陰増やして何してんだか。背後狙ってんのかな?」
『余り合理的じゃないけど…。』
「霊和ちゃんあそこ見てください!」
ウィスパーの向いている方で竜巻が起き、大量のボールが一ヶ所に集まるのが見える。
上空に集まったボールが弾丸の如く降り注いだ。
直後アナウンスで一人目の合格者と大量の脱落者が出たと発表される。
「うわすごっ。風で集めたボールを風で吹き飛ばしたんだ。
何人もターゲットに当ててるってことはコントロールも相当だね。」
『数も相当減らしてる。仲間の為にも、って事だね。』
他人を感心してばかりいられないので辺りを見回すが知り合いが一人も見えない。皆散り散りにされたみたいだ。
協力云々を説いてた身としては誰かと合流したい。
着地して刹那にボールが飛んでくる。
『ボールの無駄遣いはダメだよ。』
軽く避けて後ろにいた人にボールはぶつかった。
「ちっ
外したか。」
「おい、こいつ雄英だ。
しかもオールマイトとの。」
「いいね。あんたを倒しゃ俺達の箔が付く。」
3人の男が個性を使って体制を崩そうとしてくる。
目の前の3人の攻撃は、強化合宿でやり合った"敵"連合の攻撃とは比べものにならないくらい遅く感じた。
ここで2人当てるのもいいと思ったが、A組と合流したいので早々に離脱する。
岩陰を伝いながら移動するが出会うのは知らない顔しかいない。
アナウンスで50人を切ったと発表され合流するのは諦めた。
『少しでも皆の助けになるようにしよ。』
「どうすんの?」
『少しでも敵を減らしたい。だから最初に風がワァーッてなったみたいに沢山脱落者を出したいな。』
「いいねソレ!でも風はダメだよ、芸がない。
他の属性にしよ。」
『そうかな?じゃあ…火にしよっか。』
圧縮訓練で轟くんと一緒に火と氷をぶつけ合っていたのでなんとなくそれにした。氷だとターゲットにボールが届かなかったら意味ないからね。
『ボールはフゥ2とウィスパーに任せるよ。』
「オッケー。」
「お任せください!」
頷きあって、私はキュウビと合体する。
上はハイネック袖無しの腹出しで、下は裾の絞まった弛いズボン。
生地は紫のチャイナ服(袍(パオ/ほう))だった。金色のラインが光を反射して綺麗だ。
肘から手首までのアームカバーに、カンフーシューズを履いている。
髪を下の方でお団子にし、狐の耳が生え九本の尻尾が動く。最初に合体した時は尻尾による攻撃や動き難さに戸惑っていたが訓練中に克服した。
私達は飛んで辺りを一周し、近くの高い岩場に着地する。わざと見つかる為だ。
誘き寄せられたと知らない人が群がり一斉に攻撃に仕掛けてくる。
『"紅蓮地獄"!!』
私の周り一面を炎が渦巻く。
火に呑まれていない敵は火を退かそうとするが水や巨大な風の力がない限り無理だ。
この炎に熱さは感じない。炎に埋まれた人達は何も感じない炎に疑問を持つ。逃げる人もいるけどもう遅い。
私は炎の中にあるボールとターゲットのみを全て焼き潰した。
<<うん?……え、これ夢じゃない…?
なんと、ターゲット損失により、また失格者が多数出ました…。>>
「いつの間に!?」
「こんなんありかよ…。」
フゥ2達に指示して、端で見てて狼狽えてる人にボールを当てさせた。
「クリアニャン!」
「楽勝だね。
もうちょっと腕のたつ人と当たりたかったなー。」
ターゲットが光り、控え室に移動するよう指示された。
ホールになっている控え室に行くと、既に轟くんが椅子に座っていた。
『轟くん先にいた!クリアしてたんだね!』
「ああ。
…一人か?」
『皆バラバラにされちゃって…。
探したんだけど残り人数も危なかったから、少しでも敵対してる人は減らしたよ。後は皆頑張ってくれるだけ。』
A組の誰かが欠けるなんて思っていない。全員クリアしてくれるだろう。
──皆、頑張れ。