95話
夢小説設定
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コスチュームに着替え会場に入る。
余りやる気の無さそうな不精そうな男性が壇上に立った。怠さを隠さないところが相澤先生に似てる…。
<<えー…ではアレ、仮免のヤツをやります。
あー…僕ヒーロー公安委員会の目良です。
好きな睡眠はノンレム睡眠。よろしく。>>
相澤先生と似てるなんて相澤先生に申し訳ないくらい気だるげそうだった。
ノンレム睡眠が好きというか、ノンレム睡眠を欲しているだけだと思う。
<<この場にいる受験者1540人一斉に勝ち抜けの演習を行ってもらいます。>>
そんなにここに集まってるんだ…。通りで人の熱気が感じたわけだ。
<<現代はヒーロー飽和社会と言われ、 ステイン逮捕以降ヒーローの在り方に疑問を呈する向きも少なくありません。
まァ…一個人としては…動機がどうであれ命がけで人助けしている人間に"何も求めるな"は…現代社会に於いて無慈悲な話だと思うけどワケですが…。
とにかく…対価にしろ義勇にしろ、多くのヒーローが救助・敵退治に切磋琢磨してきた結果、事件発生から解決に至るまでの時間は今、ヒくくらい迅速になってます。
君たちは仮免許を取得し、いよいよその激流の中に身を投じる。
そのスピードについて行けない者ハッキリ言って厳しい。
よって試されるはスピード!
条件達成者、先着100名を通過とします。>>
通過資格者は1割にも満たないという驚きに会場がざわめいた。
特にウィスパーが絶望とでもいいたげに喚き散らしている。
<<で、その条件というのがコレです。>>
目良さんは球体と円上のチップのようなものを取り出した。
<<受験者はこのターゲットを3つ、体の好きな場所、ただし常に晒されている場所に取りつけて下さい。
足裏や脇などはダメです。>>
目の前のスクリーンにチップの画像が映し出される。
<<そしてこのボールを6つ携帯します。ターゲットはこのボールが当たった場所のみ発光する仕組みで、3つ発光した時点で脱落とします。
3つ目のターゲットにボールを当てた人が"倒した"こととします。
そして2人倒した者から勝ち抜きです。ルールは以上。>>
「1、2発目はクリア条件にならないんだ…。卑怯でも3発目を横取りするとか…?」
『横取りは可哀想じゃない?』
「まあそうだけど…。
それでかっさられてたら馬鹿見るよ。」
『む~…。』
フゥ2の言う通りなんだけどなんか腑に落ちない。
出来る限り一人で3発決めよ。
<<えー…じゃ、展開後ターゲットとボール配るんで全員に行き渡ってから1分後にスタートとします。>>
役員のような眼鏡の黒服の人たちが箱を持って現れた。どうやらあそこにターゲットとボールが入っているようだ。
「"展開"って何ニャン?」
「さあ?」
疑問に思ってると、突然会場の天井が開いた。
やがて天井も壁も箱が開いたように倒れ外の世界を露にした。
そこはまるでUSJのような、様々な土地が一体化したような世界が広がっていた。
摩天楼、街、廃墟、工場、森、水辺……自分の個性を生かせるように地形が変えられているらしい。
<<一応地形公開をアレするっていう配慮です…。まァムダです。
こんなもののせいで睡眠時間が…。>>
委員の人からボールとターゲットを渡される。
『どこにしよっかな~。』
「当たり難いところって言ったらお腹かな?」
『そうだね。後は…急所なら反射速度が速くなるからいいかな。』
人は死なないように無意識に急所への攻撃を避けるように出来ている。
心臓だったり頭だったり。
『コレ変身しても消えない…よね?』
「大丈夫だと思うよ。期末の時も消えなかったし。」
少し思案してから、ターゲットは心臓の部分とお腹に2個付けた。
皆各々の場所に貼り付け、始まる合図を待つ。
「先着で合格なら…同校で潰し合いは無い。むしろ手の内を知った中でチームアップが勝ち筋…!
皆!あまり離れず一かたまりで動こう!」
いっくんの提案で雄英は全員固まる…と思ったが、団体行動が苦手なかっちゃんと轟くんは否定した。
「フザけろ、遠足じゃねえんだよ。」
「バッカ待て待て!!」
「俺も大所帯じゃ却(カエ)って力が発揮出来ねえ。」
『轟くん!?一人じゃ危ないよ!』
かっちゃんなら一人でもなんとか出来そうだが、個性重視で戦う轟くんじゃ危ないと思い止める。
『私達の個性は受験者全員に知られてるんだよ。一人になっちゃダメ!』
雄英は体育祭が全国放送されているので個性の詳細が知られている唯一の高校だ。まず最初に標的にされるだろう。
「……じゃあ妖見は付いてくるか?」
『え、』
「てめえ霊和を勧誘してんじゃねえ!」
轟くんに誘われ、どう答えを出そうか考えていたらかっちゃんに遮られた。
「合同で圧縮訓練していて、こいつなら俺と相性いいと思ったんだ。サポートも上手いからな。」
「ああん?それなら俺の方が、」
「いやいや!皆一緒に行動しようよ!ね、霊和ちゃん!」
いっくんに同意を求められ首を縦に振る。
『沢山仲間がいるだけで敵からの攻撃が分散出来る。こちらが協力すれば何倍のパワーも強くなるから皆一緒がいい。』
「…すまねえが今回は一人でやらせて貰う。」
「つるむ気はねぇ。」
二人とも顔を歪めて去ってしまった。切島くんはかっちゃんに付いて行った。
「あーあ行っちゃった。」
『私って説得苦手なのかな…。』
「そんなことありませんよ!あの二人が我が強いだけですっ!」
ウィスパーに慰められていると、開始のアナウンスが流れる。
<<第一試験開始5秒前。>>
『よし、いくよ!』
<<4
3>>
『私の友達、力を貸してジバニャン。』
<<2
1>>
『妖怪メダル セット・オン!』
<< START!!>>
変身と同時に試験開始は幕を切って落とされた。
R02.11.29