95話
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訓練の日々は流れ試験当日になった。
1年A組は試験会場となる国立多古場競技場にやってきた。身内での争いを避ける為B組は違う会場にいる。
「──…この試験に合格し、仮免許を取得出来ればおまえら志望者は晴れてヒヨッ子…セミプロへと孵化できる。頑張ってこい。」
相澤先生の激励の言葉に全員闘志を燃やす。
「っしゃあ!なってやろうぜヒヨッ子によォ!!」
「いつもの一発決めて行こーぜ!
せーのっ!"Plus…「Ultra!!」」
「!?」
皆が円陣を組んで拳を掲げようとしたその時、切島くんの背後に見知らぬ他校の男子生徒が言葉を被せてきた。彼はその鍛え抜いた身体に見合う大声を上げ、全員を驚かせた。
「勝手に他所様の円陣へ加わるのは良くないよイナサ。」
「ああしまった! どうも大変失礼致しましたァ!!!!」
同じ制服の人に咎められ地面にめり込むんじゃないかと思う程頭を下げられ、気迫に押された数人から悲鳴が聞こえる。
「なんだこのテンションだけで乗り切る感じの人は!?」
「待ってあの制服…!」
『?
近くの高校にいたっけ?』
「全然違う!
西の!有名な!」
「東の雄英、西の士傑…」
「ヒーロー科の中でも雄英に匹敵する程の難関校……士傑高校!」
知らないのは私だけのようで、皆あーアレね。という顔をしている。
「霊和ちゃんは高校選びちゃんとしてませんでしたからね。」
『うぅ゙…、』
当時は近くの高校でいいなんて適当な事言ってたからね…。雄英に入って後悔はしてないよ。
「一度言ってみたかったっス!!"Plus Ultra"!
自分雄英高校大好きっス!!
雄英の皆さんと競えるなんて光栄の極みっス!
よろしくお願いします!!」
「ずっとエクスクラメーションマーク付けてて騒がしいよ!
そして頭から流れてる血が怖い!」
フゥ2が全力でツッコむ。
同校の生徒に言われて退散していく男子生徒の後ろ姿を見つめながら相澤先生が呟く。
「夜嵐イナサ……。
ありゃあ…強いぞ。」
「「『え、』」」
「いやなのと同じ会場になったな…。
昨年度…つまりおまえらの年の推薦入試、トップの成績を出したにも拘らずなぜか入学を辞退した男だ。」
『!』
事前に聞いていた話では、仮免試験を受ける人は訓練や実績を積んだ2、3年生が多いと聞いていた。
それが先輩方と一緒に私達と同い年の人が加わり仮試験免を受ける程の実力…しかも雄英推薦トップなら轟くん以上ということになる。
「雄英大好きとか言ってたわりに入学は蹴るってよくわかんねえな。」
「変だが"本物"だ。マークしとけ。」
注意人物ですね。と電子タブレットに記入するウィスパーに意味あるのだろうかとぼんやり考えていると、相澤先生を呼ぶ声がする。
「イレイザー!?イレイザーじゃないか!!」
「また誰ですか。」
「ウィスパー知らないの!?
あの人はスマイルヒーローMs,ジョークだよ!
人を笑わせて思考が鈍ってる隙に倒す、"俺達に近い"人間なんだよ!」
相澤先生と絡んでる女性の隣でいっくんとフゥ2が興奮した様子で説明する。
人を笑わせるって…確か笑ウツボの取り憑きと同じだ。
「仲が良いんですね。」
「昔事務所が近くでな!
助け助けられを繰り返すうちに相思相愛の仲へと「なってない。」いいなそのツッコミ!いじりがいがあるんだよな!」
相澤先生は心底嫌そうな顔をしながらも大人な対応として話を反らす。
「何だ、おまえの高校もか。」
「そうそう、おいで皆!雄英だよ!」
複数の足音がこちらに近づいて来る。
「おお!本物じゃないか!」
「すごいよ!すごいよ!
TVで見た人ばっかり!」
「一年で仮免?へえーずいぶんハイペースだね。
まァ色々あったからねえ。さすがやることが違うよ。」
至ってシンプルな制服を着た軍団が各々の感想を述べる。
「傑物(ケツブツ)学園高校二年二組!
私の受け持ち、よろしくな。」
最前列にいた黒髪の男がいっくんの手を掴む。
「俺は真堂!
今年の雄英はトラブル続きで大変だったね。
しかし君達はこうしてヒーローを志し続けているんだね素晴らしいよ!!
不屈の心こそこれからのヒーローが持つべき素養だと思う!!」
何人かに握手したかとと思えば彼はバチコンと言う効果音がしそうなほどのウインクをプレゼントしてくれた。
「ドストレートに爽やかイケメンだ…。」
「中でも神野事件を中心で経験した爆豪くん、妖見さん。君たちは特別に強い心を持っている。
今日は君達の胸を借りるつもりで頑張らせてもらうよ。」
強い心が何なのかわからないが、私に手を伸ばして握手しようとしていたので返そうとすると、かっちゃんが手を払いのけた。
『かっちゃん?』
「ふかしてんじゃねぇ。台詞と面が合ってねーんだよ。」
私と真堂くんの間に割り込むようにして入り悪態を付く。
「こ、こらおめー失礼だろ!
すみません無礼で。」
「良いんだよ!心が強い証拠さ!」
「…ケッ。」
『ケッじゃないよかっちゃん。切島くんに尻拭いさせちゃダメでしょ!』
反省する気のないかっちゃんへのお説教は意味を為さなかった