90話
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寮に入る日が決まり連絡が来てあっという間に入寮当日となった。
ベッドや机は先に送っていてもそれでも今日の持っていく荷物もそれなりに多く、電車などの移動も危険がある可能性があるために、かっちゃんのお父さんの運転で寮へと向かうことになった。
家のインターフォンが鳴り、バタバタしながら出ると元気そうなかっちゃんがいた。
『かっちゃん久しぶり!
あの後無事に救出されたって聞いてたけど心配だったんだよ。メールも返してくれないし!かっちゃん家に行こうにも外出禁止だし。』
会って早々ずっと言いたかったことを言いながら、何処にも怪我がないか服を捲って触って確かめる。全く傷が見当たらないから"敵"に酷いことはされてないのかもしれない。治療してあったらわからないけど。
「鬱陶しい!捲んな!
怪我もしてねーよ。」
顔が若干赤いような気がするが元気に怒鳴れるなら問題なさそうだ。
『良かったぁ。
──…オールマイト達と一緒に助けに行った時、私達はジバニャンと妖怪ウォッチだけに専念してって言われたけど、ホントはかっちゃんの事も助けたかった…。飛ばされる前に私が動いてたら何か変わったかもしれないって今でも思っちゃって…。』
どんなにたらればを言おうと後悔先に立たずだ。分かっているのに思考は止められなかった。
だが……──
「助けなんていらねーよ。」
『え…?』
「俺なら一人で逃げれた。
助けなんて必要ねぇんだよ。余計なお世話だっつーんだ。特にテメェには……。」
『そう、だよね。かっちゃん強いもんね。
それに私達が動かなければオール・フォー・ワンが動かなかったかもしれないし、町も破壊されなかったかも…。』
たらればの思考は止まらずネガティブになっていると、後から来たジバニャンとフゥ2がため息を吐く。
「そんな事言って…結構ギリギリだったニャンよ。
あそこでオールマイトが来なかったら"敵"に伸されてたニャン。」
「勝己は口下手というかなんていうか…。言い方悪いって何回言ったら直してくれるの?」
フゥ2がかっちゃんは利かん坊だなと呆れる。
「勝己の言葉を翻訳すると、"守るって誓ったはずの霊和ちゃんに助けられて男のプライドズタズタ。そんなことになるくらいなら助けなんていらねー。"ってこと。
霊和ちゃんが落ち込むことないよ。素晴らしいヒーローだったもん。」
『そうなの?』
私はかっちゃんの顔を見るが、フゥ2の声が聞こえないかっちゃんには何に対しての質問なのかわかっていない。
それでもかっちゃんが苦虫を噛み潰したような顔をしている。
「……早く行くぞ。
デクん家も行かなきゃなんねーんだから遅刻する。」
『うん…。』
かっちゃんは質問することなく背中を向けて車に行ってしまった。
結局かっちゃんの言葉がそのままの意味なのか、フゥ2が言った意味なのかわからない。
「勝己の言う通り入寮とはいえ、遅刻はマズイからそろそろ出発しよう。
お母さんにちゃんと挨拶してね。暫く帰ってこれないんだから。」
寮に入れば年末年始がある冬休みまで余程の理由がない限り雄英高校の敷地以外外出禁止になる。私の部屋のベランダにいるうんがい鏡も寮に連れて行くので簡単には帰れないのだ。
私は、お母さんと抱擁をして、いってきます。と挨拶をして車に乗った。
車が出てもお母さんは私達が見えなくなるまで手を振っていた。
いっくんの住んでるマンションの駐車場に車が止まると、既に荷物を持って待っていたいっくんが出迎えてくれた。
扉を開けて出るといっくんが飛び付いてきてそのまま抱き付かれた。
「霊和ちゃん!」
『わっ、どうしたの?』
ギュッと力を入れて肩に顔を埋めるので顔が見えない。
日陰といえど8月真っ只中。暑いから離れてほしいな…。
かっちゃんに引き剥がされ、いっくんは不満そうにかっちゃんを睨み付ける。
すぐに目を逸らし心配そうに此方を見つめて、かっちゃん奪還の時にテレビの中継で私が映っていた事を話してくれた。
「病院で目を覚まして霊和ちゃんの所に行ったら、霊和ちゃんにそっくりな偽物が寝てて僕びっくりしたんだから。
んでもって街のディスプレイに、オールマイトと"敵"が戦ってる処に霊和ちゃんが来るし、中継なんて信じたくないけど本当に起こってることで…。」
『やっぱり映ってたんだ…。』
メディアのカメラに気が付いたのはオール・フォー・ワンを倒した後だった。しかし実際は私が駆け付ける前には既にいたらしい。全然気付かなかった。
「霊和ちゃんが"敵"に捕まりそうになっているのを見てどんなに心配したか。
君はいつも後先考えずに突っ走って!僕達の気持ちを考えてよ!」
『っ…。』
いっくんの言う通りだ。
あの時私が"敵"に捕まっていれば人質としてオールマイトの足を引っ張ってしまったかもしれない。そして今度は私の奪還のために警察が動いて……。
私がかっちゃんとジバニャンを助けなければなんて考えや不安を今度はいっくんに持たせてしまうところだったのだ。
またいっくんはギュッと抱き付いてきた。いっくんの手が僅かに震えていた。
『うん、ごめんなさい…。』
でもヒーローになるんだから無理も無茶もすると思う。だから無理をするなと言われたら約束は出来ないな。
「…何度も抱き付くんじゃねえ!
そもそもデクテメェも人の事言えねえからな!」
またかっちゃんに引き剥がされながら、かっちゃんの言葉に疑問に思った。
『?
どういうこと?』
「ゔっ…そ、それは…、」
「"敵"の親玉の場所にこいつら(デク達)も居たんだよ。」
オール・フォー・ワンのいた場所に、いっくん、切島くん、飯田くん、轟くんになんと百ちゃんまでもがかっちゃん救出の為に独自に動いていたらしい。
オールマイトはオール・フォー・ワンで手一杯でかっちゃんをその場から逃がす術がない時にいっくん達が助けて離脱出来た。
「僕が霊和ちゃんをどんなに心配したか説得させようとしてたのに…!」
「あ゙ぁん゙?ブーメランもいいとこだぞ!
てめえの行いも反省しやがれ!」
かっちゃんは荒々しく足音を鳴らして先に車に乗ってしまった。
「……。」
『……。』
「結局は似た者同士ってことだね。
二人とも、心配する人が周りにいることを忘れないでよ。」
フゥ2は肩をすくませ車の扉を閉めた。
