89話
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お腹が空いてたらふく一番街で少し遅めのお昼ご飯を食べ、ガチャガチャ専門店に行きいろんなガチャガチャを見て回る。人形やアクセサリー、食べ物の引換券があり、ドーピングみたいな薬まで入っていた。
何回かガチャガチャを引いて楽しみ、上の階に行ってしまったウィスパーの所に行こうと階段を登っていると、螺旋階段の真ん中に巨大な白い棒が沢山あるのに気付いた。登るにつれそれが人間の骨格だと気付き、頭蓋骨の所まで来ると話し掛けられた。
「人間のお嬢さん、此方のガシャも一つやってみないかい?」
巨大な骨格標本のような妖怪にこれまた同じように巨大サイズのガチャガチャを勧められ、回そうとするとフゥ2とジバニャンに慌てて止められた。
「やらない方がいいよ!回す代わりに大切な何かを奪われるから!」
「そうニャン!昔オレっちの一人称を盗られてボクって言わされたニャン!。」
『私が私じゃなくなるの?面白そうだけどな~。』
「俺は3頭身になったよ、乳児みたいに。」
『それは嫌!止めとこー。』
「そんなに拒否られるとそれはそれで落ち込む…。」
暗くなっているフゥ2に気が付かずウィスパーのいる階に行くと、子供が来る場所ではないようなきらびやかな部屋になっていた。
受け付けだろうか、見た目がお猿さんの妖怪と話していたウィスパーがとぼとぼと戻ってくるところだった。
『ウィスパー何かあったの?』
「今日も空振りでした…。次こそは、必ず、マッチングしたいです!」
目を燃やして意気込む。空振りとかマッチングって言ってるから野球の試合か何かだろう。
ガチャガチャにハマっていたコマさんを回収し、閻魔宮殿の様に一つの島のような山の上に建てられた巨大な建造物、閻魔武鬪館鬼闘技場に来た。これから何かあるのかアナウンスが聞こえる。
『何かやるのかな?』
「毎日妖魔一武道会をやってるんだよ。これから始まるから見ていこうよ。」
面白そうなので頷くと、此処のスタッフがウィスパーに話し掛けてきた。
「貴方はまさか…どんな攻撃でも倒れない無戦無勝のウィスパーさん!?」
「うぃす?おかしな言葉があるような気がしますが…そうです!私がウィスパーでございますでうぃっす!!」
「貴方のご活躍は聞いておりますよ!是非ともまた審判をして頂きたいのです!」
『ウィスパーって武道会の審判してたんだ?』
「ええ、それはそれは観客全てを統一することの出来る有能な審判でした。
いいでしょう。今日だけですが、私が審判をしてさしあげましょう!
霊和ちゃん、私の雄姿を見ていてくださいね!」
張り切ってスタッフの後ろに付いて行ったウィスパーに手を振り、私達は観客席に移動した。
一番前の席に座り、試合が始まるのをワクワクしながら待った。
観客席が7割方埋まり、時間とともにウィスパーがステージに出てきた。
「皆様お待たせ致しました!
ご存知の方はお久しぶり、初めての方は初めまして、本日司会審判を務めさせて頂く、私ウィスパーと申します。よろしくお願いしますでうぃっす!!」
私は溢れんばかりに拍手する。だが周りの拍手はまばらでフゥ2とジバニャンも力なく叩くので、ウィスパーは拍手を強要させていた。
ウィスパーはそれでは、と腕を上げ、何やら指揮者みたいに腕を振る。
よくわからなくて周りを見ると、皆ポカンとしていてフゥ2だけが笑っていた。
「……うおっほん。本日の妖魔武道会は3人以上の団体戦。トーナメント形式で戦っていきます。一位のチームには豪華な景品が贈られます。
ではでは早速一チーム目のご入場でうぃすぅぅうう!!」
ドンッと太鼓が叩かれ音と共に一チーム目がステージに立った。
「Aチームはアッチィソウルブラザーズからあつがルル、のぼせトンマン、あせっか鬼の三体!
Bチームからはきびだんごで鬼退治集団からモモタロニャン、イヌニャン、サルニャン、キジニャンの4体でうぃす!」
Aチームの3人はよく会うアツイ系妖怪の仲の良い人達で、もう一人、メラメライオンがいるはずだが今日はいない。
Bチームは有名な童話の人達が妖怪になった姿らしい。犬なのか猫なのかどっちなんだろう?
人数差のある対決はあっさりとBチームが勝って、次の組になる。
「続きましてCチームから万尾獅子、どっちつかず、のらりくらり!Dチームからは宇宙行き隊のUSAピョン、USO、まぼ老師!」
「あれ、USAピョンじゃん。こういうの出ないと思ってたのに景品目的かな?」
『あの黄色いウサギだよね。知り合いなの?見たことないなー。』
私より身長の低い妖怪は大きい妖怪と比べて比較的よく人間界にいるが、USAピョンと言われる妖怪を見たことがなかった。フゥ2とも知り合いなことから人間が嫌いなわけではなさそうだけど…。
「友達の友達って感じかなあ。昔は人間と住んでたけど、最近見てなかったから妖魔界に留まってるんじゃない?」
USAピョンは、試合中にも関わらず「まだだ。」と目も開けずに動かない万尾獅子に痺れを切らして閃光銃を放つ。それでも万尾獅子は動かないが何故かUSAピョンの弾は当たらない。相当銃使いが下手らしい。
万尾獅子が満を持したと目を開け刀を掴むと驚異的なスピードでUSAピョン達を切り刻む。
「心配するな、峰打ちだ。」
「つ、強いダニ…っ。」
最後に吹っ飛ばされてUSAピョンは此方に飛んでくる。
…って、え!?
慌てて避けると、私とジバニャンの間の席にめり込むUSAピョンがいた。
「USAピョン場外に飛ばされたー!深手を負っているようですが起き上がれるのでしょうか!?」
意識はあるようで、白旗を振って負けの意思を示した。
「USAピョンリタイア!Dチームの勝利ぃぃい!!」
盛大な拍手の中、私達はUSAピョンを救出する。足を掴んで引っ張りあげると、そこにいたのは耳の長い黄色いウサギではなく丸っこい耳の水色の熊のような生き物だった。
『あれ、USAピョン?じゃないクマガオ?』
「どんなネーミングセンスダニ!?」
「あ、起きた。」
「無事で良かったズラ~。」
座席に埋もれていた黄色いヘルメットを取り出し、被るとウサギになった。USAピョンはウサギに憧れるクマの様な小動物らしい。
「ユー達助けてくれてありがとうダニ。…ってフゥ2とジバニャンダニ!?っっ妖怪ウォッチダニ!!?ってことは人間ダニ!?」
ツッコミまでしていたのに誰だか気付いていなかったみたいだ。
私を見ると一歩後退り、顔を背けて声を荒げる。
「ど、どうして人間が妖魔界にいるダニか!?人間は帰れダニ!此処は妖怪しかいちゃいけないダニ!」
「霊和ちゃんはエンマ大王に許可を貰って来てるんだから問題ないよ。御触れも出てるのにUSAピョン知らなかったの?」
「関係ないダニ!関係ないダニ!
ミーは人間が嫌いダニ!今すぐ帰れダニー!」
罵声を浴びせ、帰れと言った側が走って目の前からいなくなってしまった。
「き、気にしなくていいズラ。オラは霊和ちゃん好きズラよ。」
「そうズラ。オラも霊和ちゃん大好きズラ!
エンマ大王様も人間反対派がいるって言ってたズラ。その一見なだけズラ。気にしてたら妖魔界に来れないズラ。」
『そうだよね…、』
「そうかなぁ…?USAピョンは昔人間と一緒に住んでたくらい人間が好きなはずなんだけど…。」
「心変わりしたニャン?」
ジバニャンの問いに頭を悩ましたがフゥ2は答えなかった。